ノブリス・オブリージュを言い訳にした趣味 前田利為 春雨に真珠を見た人3/14
前田利為というのは旧加賀藩主、前田家の第16代当主である。東條英機と同期の軍人であり、侯爵でもあったらしい。芸術に造詣が深く、歴史的な作品だけでなく同時代のもの、そして当時の芸術家に発注した美術品からなる彼のコレクションは、ノブリスオブリージュの一環でもあったらしい。
文化保護に軍務にと活躍した前田利為は最終的に戦地で行方不明になるというなかなかドラマチックな生涯をおくっている。
そんな前田家がなぜ目黒に所縁があるかというと、もちろん住んでたからだ。元々は本郷に住んでいた前田利為だが、そこに東京大学を作るから立ち退いてくれと言われて代わりに提供され移り住んだのが目黒区駒場にある今で言う旧前田侯爵邸。設計が宮内省内匠頭であるあたり、結構有利な交渉をした気配がある。
前田侯爵邸行ったことないんだよね〜
フランソワ・ポンポン「パン」
のっけからパンフ写真。
こういう公民館的なところでやる小さな展示は量の割に安いという利点があるのだが、一方でグッズが少なすぎると会う欠点もある。特にこういう和洋混合の展示だとポストカード類は和物に偏る傾向にあり、要するに私がいいなと思った作品のグッズがあった試しがない。
フランソワ・ポンポンのシロクマとガンがありました。やはり可愛らしい。滑らかなライン、ユーモラスな抽象化、今にも動き出しそうな重心。家に一個欲しい。
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アルベール・ギョーマン「湖水図」
ささっと走り描きしたかのようなタッチの絵。紅葉と湖水の深い青との対比が美しく、明暗の強さもあってドラマチックではありますが、空の抜け感が爽やかな印象になる作品。
自然を描いた作品が多かったと感じました。
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あとはパンフに部分図しかないのでパスしますが、ピーテル=フランシス・ピーテルス「月光」が好き。ロシア絵画のようなメルヘンの強いロマンティック。輝く夜の水面が美しい作品です。
ちょっと作品少ないけど趣味の良いコレクションでした。
あと、前田利為のお孫さんのインタビュー動画が流れてたのだけど、岩崎彌太郎のことを「岩崎さん」って気軽に呼んでて御大臣様(本物)はすげーな!て思った。
ど派手結婚式場 百段階段の縁起物 3/14
ホワイトデーだけどダイエットをしないといけないので和食レストランに行きました。その天井に貼られていたこちらの絵。
約90年前の門井掬水と言う人の絵だそうです。
というわけでここは日本で一番トイレが派手なことで有名な目黒雅叙園です。
雅叙園の中の百段階段という木造建築は昭和初期に建てられた日本初の総合結婚式場で、国の重要文化財になっています。レストランのお姉さま曰く、全国から集めた職人に金に糸目をつけず、好き放題やらせて作らせた豪華絢爛たる建物で、当時は「仕事がなければ雅叙園に行けば仕事をもらえる」と有名だったのだそうです。
雅叙園の他の部分はもう当時の面影は残っていないのですがバブル期に現代的に改修されて率直にいうとアホみたいに派手になっています。トイレ内に川が流れて橋がかかっていたり、建物内に茅葺の日本家屋があったりする。なんだかんだあって今は外資の会社が建物を所有してたり、ここを使用してるウェディング関連会社が倒産しかけたりしてるけど大丈夫かいな。
今回は「百段階段の百の縁起もの」というイベントをしていたのでしばらくぶりに行ってみました。
壁画、天井画、調度品、そして建物自体と見どころが多すぎて脳がつかれる。
ちょっと順不同に出してみたい。
床の間の柱というか蹴上?なんていうんだろ。見事な螺鈿。
こちらは廊下のガラス障子。縁起ものである瓢箪をデザインしているそうです…よくわかんないけど、まあ言われてみればそうかな?
階段上部にある清方の間の入り口。富士山がすらりとした線で描かれている。かっこいい。
格の高い部屋には、廊下からわきに伸びる通路を進んだ先、部屋の入り口にこうして屋根を模したものがついている。
どの部屋も障子がめちゃめちゃ細かいから見てほしい。ビビる。
荒木十畝 「五位鷺」
十畝(じっぽ)の間の天井画。ほとんどの部屋は講師天井になっていて、こうして見事な花鳥図が設置されています。いろいろあったけどこれが一番かっこいい。
漁礁の間、柱
菊池華秋による美人画
下から2番目の部屋なので多分格的にもそんな高くない部屋ですが、派手さでは一番の漁礁の間。趣味が悪いっていえば悪い、ぎりぎりのライン。
尾竹竹坡(おたけちくは)原画・盛鳳嶺(さかりほうれい)彫刻
天井も彫刻だし欄間も彫刻。彫の重なり、えぐい。
小山大月「静水(せいすい)の間、欄間」
漁礁の間よりずっと地味というか落ち着いているけど、明らかに格式の高い部屋。こちらは次の間(控室)。
池上秀畝「天井画」
小山大月「欄間」
奥の間はぐっと華やかでわかりやすい吉祥図です。
鏑木清方「清方の間 欄間」
さっき入り口だけ出した清方の間、あの鏑木清方が天井画、壁画を担当しためちゃ豪華な部屋になっています。
鏑木清方「天井画」
天井の組み方も豪華だし、すごい変わったデザインです。
とにかく派手すぎてホエーってなること間違いなしです。
大体いつも和系の展示をしているけれど、当然建物自体は変わらないのでこういった建築装飾はいつでも確認できます。
だけど展示内容によっては写真撮影は不可なので、撮影をしたいなら確認していくべき。
あと、雅叙園内のカフェは予約しないととてもは入れないからそれも要注意だよ。
偏執狂的分割 吉田博展 3/13
東京都美術館も予約なしで入れるようになってきた。
「ダイアナ妃も愛した」というキャッチコピーで開催されている吉田博展だが、写真が1枚あるだけでとくにダイアナ妃がフューチャーされているというわけではない。
彼女が吉田の版画を2枚所有してオフィスに飾っていたのは事実だけれど、それについてのコメントとかがあるわけではない。別にダイアナ妃目当てに行ったわけじゃないからいいけどね。
吉田博は明治生まれで久留米出身の日本の画家。明治、大正、昭和初期にかけて活躍した人です。画風的には洋画でメインは版画という日本にしてはちょっと珍しい人。
アメリカに自分や友人の絵を売りに行ったら油絵が全然売れなくて版画ばかりが売れたという経験から、版画をメインに据えたそうです。職業画家だね。
「渓流」
これは画業初期の油絵作品。結構大きい。けどなんか油絵っぽくないんだよね。特に背後の崖とか。なんか水彩みたいな色をしている。色っていうか、描き方?グラデーションというよりきっちり色分けしてる感じ。
この人は元々水彩の人なんだなっで思った。
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左「帆船 午後」
右「帆船 夕」
同じ版木を使って一日の移り変わりを表したシリーズ。なんか印象派みたいなことをやってるね。色が違うだけでだいぶ印象が違います。
そして版画ならではの技として、版木の組み合わせを変更して少しだけ風景がかわっているのが面白いところ。背景左側の小舟、午後にはいなかったのが夕方やってきたというところでも時間の経過を表しています。
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「陽明門」
かなりの作品に「自刷り」って書かれていたのでふーんくらいにしか思ってなかったのですが、吉田は下絵を描いて、版木の彫りは基本的に職人に外注していたそうです。
版画というのはご存知の通り色ごとに何枚かに分割した物を使用して重ね刷りをする物ですが、この作品がどれだけ分割してるかっていうとか96分割だって…どうかしている。
作品のサイズはせいぜいA4くらいなんだよ?そんで96色たしかに使ってますなあってほどカラフルな作品でもない。どこをどうそんなに分けたのかわからない。
そんで一番わからないのは、職人にどうやって支持を出したのかなぁ?てところ。まさか彫り職人が96枚に分けましょうって提案したわけじゃないよね、多分。コピー機のない時代、トレペやカーボン紙でよくずれずに複写できたなぁとも思うし、全体的にやべえとしか言いようがない。
作品自体はスッキリとまとまっていて、どちらかといえば実物の東照宮より大人しく寂しげですらある。
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「フラワテプールシクリ」
吉田は海外を多く旅し、各地の情景を版画に残しています。アメリカの国立公園やインドのタージマハル、エジプトのスフィンクスなど。そんな中の一枚です。
インドの、今で言うファテプール・シクリ。16世紀アクバル帝の旧都です。検索してみるとこの都庁的な格子窓の建物の現在の様子を見ることができます。
室内にいる男達を通して眺める光あふれる格子窓。逆光で暗く感じる手前に対してまるで海のように輝く外は魔法の国のよう。強烈なノスタルジー、異国情緒を感じます。
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全体的に、波立つ水面に映る複雑な世界がとても美しい作品が多かったです。そして登山家だったと言う彼のライフワークであったであろう、世界中の名峰。人物、動物などバリエーション豊かで楽しめました。
吉田自身は洋画家、それも水彩画が専門の人なのでしょう。しかしその下絵を版画に起こした職人達は時代的に浮世絵職人だったはずです。表現方法は決して日本画ではないのにどこか浮世絵めいた日本らしさが漂う世界。そんなところが海外からも愛されたのかもしれません。
鏡花ファン必見? 3/6 複製芸術家小村雪岱
パナソニック汐留ギャラリーが見たかったんだけど、なぜだか行列ができていて30分以上かかるというのであきらめてこちらに来た。あそこ、普段そんな混むところじゃないのにね。何かで紹介されたかな?
というわけで、日比谷図書文化館。千代田区日比谷…皇居が半分くらい占める街…強い文化資本を感ずる。
これはね、おすすめです。たった300円で写真撮り放題だし。すぐ隣の市政会館もかっこいいからおすすめだよ。
小村雪岱は明治生まれ、大正から昭和初期にかけて活躍された方です。肩書は何だろうね。この展示では「複製芸術家」とされていて、それは本の表紙や挿絵、ポスターといった「印刷・複製されることが前提」の作品を主に手掛けた人だからだそうです。要するに画家兼デザイナーのハシリといったところでしょう。
鏡花本に代表されるこの時代の豪華本は本当に美しくていいです。今だってきれいな本がもっとあってもいいのになぁ。そもそも最近箱入りの本とか見なくない?とは思うけど昔に比べて本高くなってるし買えないかな……
ただ今回の展示、大変に不覚なことに展示されている本を読んだことが全くないんですよね…
いや、私本は読むんですよ?人一倍本は読むんですけどほとんど欧米翻訳本しか読まないうえにこの時代の和書はクオリティ面に難があってあんまり読まないんですよ…
泉鏡花くらい読みますかね。内容わかったうえで想定見たほうが楽しいよなぁ絶対。
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「装丁デザイン:泉鏡花『龍蜂集』」
かわいい…メルヘンでキッチュでめちゃくちゃかわいい。童話の世界みたい。こういう柄の布が欲しい。幼稚園くらいの女の子にワンピース着てほしい。最高。
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「装丁デザイン:泉鏡花『粧蝶集』」
こちらはぐっと大人びたデザイン。先ほどのと同じ作者とは思えないほどにモダン。きれいなお姉さんの着物の柄って感じですね。箱もまたいいなぁ。デザインは違うけれど色が共通でちゃんとセット感ある。
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「装丁デザイン:久保田万太郎『薄雪双紙』」
鏡花だけではなくたくさんのデザインをされています。雪が降るように花の降る夜。それを部屋の中から窓越しに見ているイメージ。もしかしたら降っているのはただの雪で、でもそれが花に見えてしまう乙女心なのかもしれない。
内容読まないとわからないけれど、温かく優しい世界を感じる。
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「装丁デザイン『花椿』」
資生堂の意匠部の人だったそうです。このフォントの製作者なのだとか。さすが。資生堂意匠部と宮内省内匠寮は信頼できる(センスにおいて)
大人の女性向けの優雅なデザインです。青がいい。
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「装丁デザイン『資生堂月報』」
こちらは少しおとぎ話感があるけれど、それでも大人向けにキリっとした紺色でしまりのあるデザインです。いいなぁ。こういう詩集のお道具カバンとかほしい。この唐草の床をイニシャルにデザインしてさ。
とても点数が多く見ごたえのある展示でした。満足。
番外編として小村が挿絵を描いた新聞小説の紙面が展示されていたのだけれど、その無関係な広告が面白くて見入ってしまったよ。
境界線 3/6 そして、あなたの視点
資生堂ギャラリーに行ったら事前予約なしでも入れるようになってたし、パンフレットも復活していた。ありがたやありがたや。いや、マジで銀座で1時間弱時間調整ってお金かかるからね…
というわけで展示。今回はグループ展です。公式サイトによると
共通するテーマは、「境界」です。それぞれのアーティストが捉え、真摯に向き合っている「境界」はどのようなものでしょうか。作風のみならずキャリアもライフステージも多様なアーティストの視点を通して見る世界は、わたしたちが見ている世界とは違っているかもしれません。もしかしたら、似ているかもしれません。「そして、あなたの視点」。
生まれるのは共感でしょうか、新たな境界でしょうか。
とのことで、確かにギャラリーに大きな壁ができていたり面白かった。
撮影・横須賀功 「太陽に愛されよう」ポスター
あ、石岡瑛子じゃん。て思ったけど制作者にその名前はなかった。
撮影者、デザイナー、プロデューサー、モデル。ポスターの製作者って誰になるんだろうね?
このポスター群はなんか接写禁止とか一枚で撮らないでとかいろいろ注釈があったので、ここではさらっと流しましょう。ショートストーリー的なものもついていてよかった。
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春木 麻衣子 「みることについての展開図」等
展示室を大きく区切る白い壁があって、そこに穴が開いている。裏側にまあ割り込むとこんな感じで写真が展示されている。なるほど、境界線。という趣向なのだけれど、その白い壁を撮り忘れるっていうね。細部ばかり撮影して全体図を撮り忘れるのは本当に悪い癖なので何とかしたい。
写真で印象に残ったのは、窓。窓の写真が多い。相手と自分とを区切る境目。自分の安全なインナースペースからそっと覗いている他者の姿。そういうイメージの写真。
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片山 真理「shadow puppet」
先天性の障害で足を切断された方ですね。セルフポートレートが代表作になっている作家さん。このぬいぐるみの義足は左手をモチーフにした自作のものなんだそう。すごいな。確かによく見ると爪がある。
クロッチの部分がセクシーだなと考えていた。
おとぎ話の世界じゃないですか、素敵…パンズラビリンスとか、ダーククリスタルとか、そういう世界。
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潮田 登久子「本の景色」
廃墟?火災現場?と思うような背景の、朽ち果てた本たち。
これだけびっしりと付箋をつけた本がこんなにダメになってしまう。持ち主はどこに行ってしまったんだろう?
本を読んでいる人と本の中の世界の断絶。その上に、読んでいた人がとうの昔にいなくなって打ち捨てられたという二重の断絶。つらいなぁ。
でもこれはめちゃくちゃ気になって仕方ない。芸術作品とか写真のできとかじゃねぇ。
「日本の昔話:お団子をなくしたおばあさんの話」
なんなの?どの話?ってその場でめちゃくちゃ気になってた。
今調べたら小泉八雲だって。広島民話という説もある。
小泉八雲「だんごをなくしたお婆さん」お団子ころりん
「お団子ばあさん」 | ひろしま民話図書館 | RCC
気になるじゃねぇか。ちょっと本探してみようかな。
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なんか、寂しい作品が多かった。「境界」というテーマとのことだけれど、どちらかというと「拒絶」や「断絶」だなあと思った。
「わたしたちが見ている世界とは違っているかもしれません。もしかしたら、似ているかもしれません。」という主催者側の「似ているかも」というのが見えなかった。
あなたと私は違うけれどもそばにいる。そういう世界ではなかった。
ちょっとつらいなぁ。
初期作品が好き コンスタブル展 2/26
三菱一号館は英国絵画が多いよね。好きです。
そして今回の展示、芸術新潮の今月号を読んでから行くとかなり楽しいと思うよ。お土産コーナーにあったから思わず買ってしまった。
読み終わったらまた行こうかな。ほら、年パス買ったから。年パスをさ!
さて、ジョン・コンスタブルは18世紀後半のイギリス画家です。この時代絵画がどうだったかというと、宗教改革が起こって宗教がの需要が下がり、かといって宗教画・歴史がを上位とする絵画のヒエラルキーはまだ残っていた状態。新興市民からの肖像画注文が増え始めたころですね。専業画家にとってはやや不遇の時代だったかもしれません。コンスタブルも経済的理由から多くの肖像画を描いています。
一歳違いのウィリアム・マロウド・ターナーもコンスタブルと同様に風景画を好んで描いていますが、どうやら才能というか商才はターナーのほうがあったようで、ちょうどこのころ開設されたロイヤルアカデミーの正会員にわずか14歳でなると自前のギャラリーを開設したりしてかなりの人気画家だったようです。
コンスタブルとターナー、この二人の天才画家が同時代にともに風景画を志したおかげで、イギリスが団に大きな影響を与えて風景画の地位が大きく向上したことは間違いないようです。
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ジョン・コンスタブル「モルヴァ―ン・ホール、ウォリックシャー」
初期のコンスタブルの絵、かなり好きです。
屋外で好んで制作し、スケッチだけでなく本番作品も屋外で完成させたというコンスタブルは、印象派の初流といってよいと思います。(プレ印象派としてはターナーのほうが有名ですが)
特に木の葉の表現がいいなぁと思います。それまでのまるで粘菌類のような執拗に細かい北方美術の木の葉表現と異なり、風が吹いてざわめいている姿そのままを映しとったような表現が見事です。ゆったりとした強い風が吹き、大地全体をゆすっているような気持のよい平原の表現です。
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ジョン・コンスタブル「雲の習作」
写真のない時代に雲を屋外でスケッチってどうやってたの?というのが正直な感想。
しかもものすごく正確で、日時のメモがない習作も当時の気象情報と照らし合わせれば何年のものか特定できるほどなのだそうです。
すごく筆の早い人だったのかなぁ。結構しっかりした風景画を2日で完成させたとかいうのもあったし。
嵐の来る前のような不穏な空。いつ振り出してもおかしくない雨雲。でもその向こうには光がさしている。
ドラマティックで美しい絵です。
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ジョン・コンスタブル「ウォータールー橋の開通式(ホワイトホールの階段、1817年6月18日)」
でも中期~後期になると、正直あんまり好きになれない…のでポストカードは買わず芸術新潮から。
自然をありのままに写し取るというよりピクチャレスクな、様々な景色を組み合わせてより理想的な風景を作り出すことにコンスタブルの関心は移っていきます。
まあわかるよ。そのほうが売れるだろうしね。俺の考えた最強の風景!って楽しいだろうしね。
でも正直くどいよね。
この絵画もとにかく圧が強くて抜きどころがないし、かといって細かく緻密に描かれているというわけでもなく全体的にぶれたような線で表現されています。
そうじゃないんだよな~~~という気持ちでいっぱい。
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ジョセフ・マロード・ウィリアム・ターナー「ヘレヴーツリュイスから出航するユトレヒトシティ64号」
さて、こちらはターナー。ロイヤル・アカデミーでの展示で先ほどのコンスタブルの絵と同じ部屋に飾られたものだそう。
中央の赤いブイはもともと存在せず、コンスタブルの絵と並べたときに物足りなさを感じたターナーが後から付け足したものなのだとか。
展示の準備期間に加筆できる日ってのが設けられていたのが面白いなと思います。
この二つの絵だったら私はこちらのほうが好きだなぁ。開放感があってすっきりまとまっている。風が吹き抜けていく動きのある絵です。
とはいえターナーも後期になるとコンスタブルのようにピクチャレスクな、ゴリゴリ塗り込んだメロドラマみたいなギラギラした絵も描いてるんだけどね。
ミニマルな絵で終わらせるっていうのは難しいことなのかもしれないな。
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ジョン・コンスタブル「虹が立つハムステッド・ヒース」
この1作品だけ撮影可能。
きらきら光るというよりはギラギラぺかぺかメッキみたいな光に満ちた作品。(悪口か)
雲の表現は美しいなぁと思うけど、虹はないほうがいいのでは?というか虹を見せるためにその後ろの雲が急に黒くなってるのがすごい不自然で気になる。
でも作品の評価的には中後期のほうが高いのかなぁ。ポストカードもそっちの作品ばかりで残念でした。
またゆっくり見に行きたい
ざっくり常設展 1/30
東京国立博物館の本館に入ったのは久しぶりなのでうろうろしたよ。
「遮光式土器」
教科書で見たやつ!
「子持高坏」
日本でも外国でも古代でこういう小皿をひとまとめにしたやつあるけど、使いにくくないのかな?って思う。洗うの大変じゃない?
法隆寺宝物館に初めて入ったよ。このフロア、日本の国宝密集度No1だと思う。
この迦楼羅のお面は金曜と土曜しか公開していないそうです。
「竜首水瓶」
こいつも教科書で見たやつだ!よく見るとペガサス?が描かれています。かっこいい。
「糞掃衣」
うぉお!これが糞掃衣!さすがボロボロ!!って思ったけど8世紀のものなんだよね。
糞掃衣だからボロボロなのか、元はもっとましだったけどさすがに劣化したのか、どっちだ?
「聖徳太子絵伝」
こちらは14世紀初頭のものですがかなり絵の具の剥落が激しく、特に後半になると何が描かれているのかほとんどわかりません。
解説パネルがあって助かりました。
東京国立博物館は一つ一つ巨大な建物がいくつもあって本当に全部見るのはまず無理というサイズなのですが、油断していると新しい展示を見逃すのでもっと豆に行きたいなぁと思います。難しいけどね。