人の金で美術館に行きたい+読

美術館に行った話とか猫の話とかします。美術館に呼んでほしい。あと濫読の記録。




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完全に理解した オラファー・エリアソン ときに川は橋となる8/2

 やっと晴れたので、現代美術館に行ってきました。

www.mot-art-museum.jp

ここ来るの、初めてです。現代より近代のほうが好きだからなぁ、基本は。でもすごく気持ちのいい建物だったし、他に2つやってた展示も面白そうだからまた行きたい。
あと、周辺の清澄白河がめっちゃいいお店大量だったから研究が必要。

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「クリティカルゾーンの記憶(ドイツ-ポーランド-ロシア-中国-日本)」(部分)

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作品をトラックで運んだ軌跡の作品。白い紙をトラックの荷台に敷いた上に茶色の枠を置き、その上に黒いチョーク的なボールを置いて、転がった痕が紙に残るようにした作品だそうです。日曜美術館でやってた。

どう言う基準で紙を交換したのか、真っ黒になっているのもあれは白っぽいのもある。見ているとなんとなく世界地図みたいに思えてくるから不思議だ。

京都人がやたら長いこと見てるから気に入ったのかと思ったら、「あんま気に入らなかった。ただ、どこから書き始めたのか探してた」言ってて変な人だなと思った。

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「人間を超えたレゾネーター」

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小さな光が反射し、屈折し、驚くほど大きくくっきりした光輪を投げかけている。

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ライトをすぐ正面の円盤で遮り、その外側に漏れた円周の光を輪になったレンズで捉え、強いリング状の光に変えている。同心円状の光の輪がとても美しい。

灯台の原理を応用しているそうです。フレネルレンズなのかなぁ?よくみるとリングに段がある気もするけどよくわかりません。

ここで、ん?って思うわけです。オラファー・エリアソンってエコでサステナビリティ現代アート作家ってことになってるけど、違わない?って。

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「おそれてる?」

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原題が「Who is afraid」なのにこの日本語おかしいよね…これだと「"あなたは"おそれてる?」になってしまう。「誰が恐れているの?」だよね直訳だけれど。けど現代のニュアンスにWhoの中にあなたは入っているの?というのも含まれるのだろうか。だったら「おそれているのは?」とかさぁ。

液晶とハーフミラーを組み合わせた円盤を使用しています。その液晶はそれぞれ赤青黄という三原色を透過するよう作られています。円盤を透過して奥の壁に当たる光と円盤から反射して反対側に投影される光とが反対色になっています。まぁ理屈ですよね。円盤に投影されている白色光は全ての色を含む光なので、その一部のみを反射させれば、残りが透過されるわけです。白色光を二つに、透過光と反射光とに分けたならば、それぞれには相手の波長色は含まないわけですよ。透過光は円盤の影なので、三原色が重なったところは黒くなりますね。それで面白いのがただの色付きフィルムではなくて液晶を使っているところで、光源から出る光の方向は変わらないけれどこの円盤が回ることで当たる角度が変わり、反射光透過光の色が変わるんですよ。それで最高なのが円盤が光の向きと並行になる時で、円盤の縁から光が入ることで液晶を通過せず、白色光の反射と無彩色の影とが重なるのが本当に面白い(ここまで早口)

僕と京都人はガチクソ理系なのでこう言うのをみると原理の解明の方で盛り上がってしまう。特に僕は大学で高分子や液晶をやってたこともあり、熱くなりがち。だいたい原理は理解したと思う。

てかオラファー・エリアソン。きさま、光学好きなただの理系オタクだな?エコな理屈、後付けだろ?

 

作品はICC | 《RGB|CMYK Kinetic》 - アート+コム (2015)を思い出すね。

www.ntticc.or.jp

 

全然違う作家のだけれど美しいから動画を見るがよい。もっと長い動画がほしい。

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「9つのパブリック・プロジェクトの記録写真」より「30秒間の鏡」

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ほらー!エコ関係ないじゃん!鏡が面白くて試しまくってるだけじゃん!!!
不思議な鏡像ですが何をやっているかというと、ドーナツ状の鏡を持った人が3人、それぞれ互いに垂直になるように立っているそうです。中段右端の写真がわかりやすいですね。そうするとこんな面白い写真が撮れるのだと。

他にも鏡を街の至る所に置いてみたり、トラックの荷台に巨大な鏡をつけて街を一蹴させてみたり。
鏡というのは向こうを映さずにこちら側の情報をすべて跳ね返すものであるから自己と他者との境界であり、同時に思いもかけない場所の情報をこちらに伝えてくれる伝達手段でもある。自分と他の人との断絶とつながりを表すもの、自己の輪郭を表すものである。

でも、光学オタクなんでしょ?エリアソンさん。

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ときに川は橋となる

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表題作ですね。水の入ったお盆を、周囲からスポットライトで照らしています。

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そしてそれが上部の壁ぐるりに投影されている。水面は時に激しく波打ち、投影された光も思いがけないほど姿を変える。立体感を持ち、まるで踊っているかのように。
見ていて、禅だなって思った。すごく美しく、見ていてとても穏やかな気持ちになります。空港とか、ホテルのロビーとかにあって欲しい。壁際にいすを置いて、これを眺めながらお茶したい。

見てるとホスチアのことをちょっと思い出す。意図してはいないだろうけれど。
ワンタンの皮でもいい。

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「昼と夜の溶岩」

39秒から映るやつです!

sayomaru.blog.fc2.com

こちらのブログさんでも紹介されてます!

いや、めっちゃよかったんですよこれ。めちゃくちゃ面白かったんですよ。
円錐状の凸面鏡のまえに半分白く塗られた溶岩がつるされているんですけれど、横から見てもその溶岩の姿が見えないのです。それなのに真正面から見ると、鏡一面が溶岩で埋まってしまう。

この理屈はですね、鏡が円錐状だからなんですね。光って鏡に対して入射角と反射角が同じになるじゃないですか。だから鏡が斜めってると自分の目線の反対側しか見れないわけじゃないですか。それが円錐だから一周して、鏡の上部には足元が、株には天井が写って上下も反転するのが面白いですよね。だけど鏡の真正面に映っているものはそこからの光が(ほぼ・角度ついてるから)垂直にしか反射されないから、斜めに見ることはできないんですよ。理解した。完全に理解した。ちょっと図示してみたから伝われ。伝わるんだ(早口

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こうだよこう。どうしても中心を通る光は斜めにいかない空白のスポットが出てくるんだよ。

胸像がめちゃくちゃ立体感あるのも面白くて理屈を理解した時のアハ感もすごくてめっちゃ興奮して……写真を撮り忘れたんだよ!悲しい!!!動画を取るべきだろこれは!!!!!
あとから京都人に「この人は何を興奮しているんだろうって思った」って言われた。うん、ごめん。

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展示、英語公式サイトが面白いので見るといいです。

olafureliasson.net

反省点としては、途中から視点がアート鑑賞ではなく、科学技術館を見に来た人になってしまった。作りの面白さに夢中になって、だから何を表現しているのかみたいなのを感じるまでいかなかった。
昼と夜の溶岩、「問題は斜めからでなくて真正面から見据えないといけないんだね」って京都人が感想を言っていて、俺は…おれはいったい何を見ていたんだ…って気持ちになった。

落ち着き、大事だね。

作者と解釈違い 開館記念展 珠玉のコレクション 7/29

私事だが、うちにはプリンタがない。基本的にこのネット社会でプリントアウトしたいものはなかなかないし、今まではどーしても印刷しなければならないものがあったら、職場のプリンタでこっそり印刷すれば済んでいたのだ。
しかしこのコロナである。職場プリンタが使えない。仕方ないので最近はコンビニのマルチプリンタを使用している。高いが仕方ない。
そしたら突然、百枚ほどカラー印刷をする必要ができてしまった。コンビニでこれをやると、普通に五千円かかる。
ふぁーっく!!!
仕方ないのでわざわざ交通費をかけて新宿のセルフプリントサービスに行ってきた。だってそしたら二千円代で済むんだもん。


と言うわけでなんの関係もない前置きが長くなったが、もう定期もないのにわざわざ新宿まで来て直帰は無いわ〜となったので行ってきたんだよ、SOMPO美術館。

www.sompo-museum.org


もともと新宿西口の損保ジャパン日本興亜損保ビルの上階にあった美術館ですが、今年リューアルが完了しました。メインビルの横に五階建ての小さなビルを建て、美術館として専有しています。象みたいでかわいい。元々は一階を地域に開放したかったんだろうなあと言うコンセプト図を見るとちょっと悲しくなるが、普通にコロナなので日時指定券を買わないと入れない。平日の午後だからか、普通に当日チケット取れたよ。フロアに5人くらいしかいなかったよ。
今回は所蔵品展と言うことでちょっと期待してたんだけど、基本的には撮影禁止でした。ちぇっ。FACEの受賞作とか前撮影できたじゃんかよ〜とか言っても仕方ない。
数点だけ撮影できたよ。

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ポール・ゴーギャン「アリスカンの並木道、アルル」

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すっごい綺麗。ずっと見てられる。秋の田舎町、紅葉、そして積もる落ち葉。時間のとまったような世界で、落ち葉の輝く道だけがまるで川のようなこちらに流れてくる。控えめな輪郭線が全体を整えているが、イラスト感があるともいえる。画面の上半分に関して言えば非常に大人しく、彩度を落として落ち着いたトーンであるのに対し、地面から迫る色彩の奔流が非常に心に迫る。あっさりしたタッチなんだけどぐわーってこっちに流れ落ちてくるものがあるんだ。

最近読んだ本に絵を見る視点として「この絵は左右どちらから見たほうが良いか」と言うのが書かれていたのだけれど、この絵に関しては右側かしらね。この色彩の流れを直接浴びて押し流されたいと思う。

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ピエール=オーギュスト・ルノワール「浴女」

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こちらは今回の展示に合わせて修復をしたそうだ。作業前後の写真がかかっていたが、ぱっと明るくなっているのが印象的だった。そう、油絵って古いの表面が黄変するんだよね…

さらりと描かれた、後期ルノワールらしい絵だ。全体的にふわふわとして夢の中のような世界。近景も遠景もないような画一的なトーンで描かれた不思議なシチュエーションの背景だが、リズム感があって良いと思う。


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グランマ・モーゼス「夕暮れ、森のキャンプ」

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グランマ・モーゼスの珍しい刺繍絵。

いきなり個人的な趣味を言うけど、私、グランマ・モーゼス嫌いなんだよね。初めてこの人の絵を見たのは中学の英語の教科書だったと思うけど、その頃から嫌い。アウトサイダーアーティストとしても迫力ないし、ファインアートとしてはもちろん実力が足りない。アーリーアメリカン、大草原の小さな家的な世界観で当事者作品としては意味があるかもだけど、芸術的には無駄にチヤホヤされてると思う。単純に下手じゃん。(言い過ぎ

しかし、この絵はいいなぁと思った。そしてもう一枚、夕暮れを描いた絵もちょっと良かった。
彼女の絵は基本的に本人の楽しい思い出なのだろう。青空の下、素朴な町の中に遊ぶ人々が描かれているものが中心だ。だけど私は彼女のその手の作品があんま好きじゃない。

私が彼女の作品を取り扱う画商だったら「もっと赤い絵、人のいない絵、夕暮れや夜の炎を描きなさい」っていうんだけどな。

とはいえ、大人気作家であるグランマ・モーゼスの人気シリーズにケチをつけるこちらがおかしいというか、少数派なんだろ、けっ、ってのは理解してるよ。

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東郷 青児「パラソルさせる女」

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曲線で構成された女性像。かわいい。色がおよそ人物画に使う色じゃないのもいいし、構成がデザイン的というか、まるでブロンズ像みたいなところもすごくいい。
時代的にというかジャンル的には、キュビズムの絵ということになるらしい。
東郷青児は当時はやっていたキュビズムシュルレアリスムの絵をたくさん描いていて、とても評価が高かったそうだ。その時代の絵を見るといかにも日本人が描くキュビズムの典型だなぁとはおもうものの、とても美しい作品だった。
また、今回は彫刻が2作品あって、特に「傾斜」という作品が良かった。具体的に何というわけでもない抽象的な作品だったが、私はオーバーサイズのコートを風になびかせて進む女性のように見えた。風を切ってかっこよく歩く女性のようでとてもよかった。

 

しかし、東郷はこのての作風をあっさり卒業して、よく知られている美人画ばかり描くようになる。
ばかり、という言い方はよくなくて、かれの美人画は大人気なんだからそっちに進んで正解といえば正解なんだけどね、私が好きじゃないんだよね。Not For Meなんだよね。
私が身近な人間だったら、「もっと抽象と彫刻をやれ」っていうのにね……大きなお世話だってわかってはいるけどね……

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撮影不可でポストカードもなかった作品としては、紘規 宮里の「WALL」という作品が良かったです。隅に小さく描かれた人物の前に、広告を細く刻んで貼り付けた巨大な壁が迫っているミクストメディア作品。とてつもなく巨大な情報の洪水に阻まれて、前に立つ人物が途方に暮れているように見える。すごくよかった。

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あと、今回初めて東郷青児の自画像を見たんだけど、すごかった。すごかった。
なんというか、「すごいよ!マサルさん」だった。

sekisindho2.seesaa.net

いや、あえてこういう作風で描いてるってことはわかるけど、それにしてもすごかった。

私は、その横にあった岸田劉生の自画像がかなり好きです。

岸田劉生 自画像 - Google 検索

何とかして手に入れたい JIZAI 満田晴穂個展

※虫注意

 

 

情熱大陸は見ているか? 

www.mbs.jp

というわけで、自在置物ですよ自在置物。アツい!!!!

いやー、前々から自在置物欲しいなぁって思ってるんですよね。
絵画とかも欲しいなぁとは思うけどさすがにいいやつはケアできないなって思うし、リトグラフとかだと写真印刷ポスターでもいいかなぁって思っちゃうんだけれど、自在置物だけは欲しい。本物がほしい。
だって、自分で所有しないと動かせないじゃん。自在にいじれない自在置物、彫刻と変わんないじゃん。

いやまぁ、ヤフオクとかで売ってるのは知ってるんだけどさ。普通に写真からして「室町時代とか言ってるけど明らかその辺で売ってるおもちゃだろ」ってクオリティだったりするからさ…2万超えるもんヤフオクで買うの不安あるなとも思うし。

というわけで、個展に行ってきた。

www.mitsukoshi.mistore.jp

 さすが日本橋三越様である。普通に自在置物が売っている。
今回は先着ではなく抽選販売ということで、初日ダッシュとかはせず普通にゆっくり見に行きました。

 以下すべて満田晴穂さんの作品です。

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「自在大女郎蜘蛛」

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うわー、キモチワルイ(褒めてる)
この展示方法もカッコいいですよね。上からぶら下げるとかもう本物にしか見えない。
女郎蜘蛛のお尻から蜘蛛の糸、ワイヤーが出ていてそれでぶら下がっています。
蜘蛛のお尻、赤くなってるね。本物も赤いんだろうね、たぶん。知らんけど。

 

……なんで最初に虫注意って書いたかっていうとね。
私自身が虫めっちゃめっちゃ苦手なんだよね…

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「自在大蚰蜒」

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あー!これは無理!むりむり!

これはねーむりですねー。家にあったら見るたびヒッてなるし、猫が狩ろうとして暴れるやつですねー。

リアルすぎて怖い。マジ。

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「自在葦原蟹1・2」

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というわけで、こちらの蟹さんを購入申し込みしました。丸っこいフォルムが可愛らしく、リアルな蟹です。

足とかどういう感じで動くのかなぁって触りたかったんだけどさ…

もちろん抽選には落ちたよね。ちぇっ。

またいつか購入のチャンスがあるといいなぁ。

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自在置物、本気で欲しいです。虫はちょっと怖いから、甲殻類か魚、でなければ蛇とかが欲しい。そのうち個展とかでまた見ることができたら、ノータイムで購入したいと思う。

 

それまでは、海洋堂のトルメキア兵自在置物で遊ぶもんね

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なにがどうしたらこうなるの 和巧絶佳展 7/22

現代工芸が好きだ。

民藝調のやつや伝統的なものをやってる現代作家ではなく、歴史や伝統技術を踏まえた上で新しいことをやってる人たちが好きだ。スタイリッシュで都会的なやつが好物だ。

wakozekka.exhibit.jp

大量生産も簡単にできて3Dプリンタも手頃になってきた今わざわざ工芸をやってる人、それを専業にしている人達はみな、まあまあ変態的に技術が高い。今回展示されてる作家さんたちは、その前提をさらに超えてやべぇとしか言いようのないクオリティである。

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桑田 卓郎「空桃色化粧梅華皮志野垸」「黒化粧梅華皮志野垸」

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桑田 卓郎「空色化粧白金彩梅華皮志野垸」

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ほら、やべえ。

最初見たとき、どうやって作ってるのか全くわからなかった。パンクの地に白いのが細い線でつながっているのだから、内側と外側を別に作ってくっつけてるのかな?て思った。特に完全に金属にしか見えないバージョンは絶対後付けだろー?って。

しかし、会場外で流されてるインタビュー動画によると、すべて焼き物らしい。しかも、一度の焼成で出来上がるというのだ。
外側の部分は特殊な釉薬で、焼いているうちに半ば流れ落ちつつ硬化するのでこうなるらしい。
うん、わからない。まったく。

かいらぎ - Wikipedia

梅華皮とかいてカイラギと読むのですが、これはいわゆる梅華皮なのか…?違うよね。

 焼いている最中を動画で見てみたいものだ。

 

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深堀 隆介「百船」(ももふね)

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既に何度か展示を見た、金魚シリーズ。フィギュアではなく、セル画のように何層にも分けてアクリル樹脂を流し込んではその上に金魚を描く、という作品です。20層を超えるものもあるのだとか。

今回は升に入ってるのがメイン。透明容器も好きなんだけど、これはこれで。

とても大きな箱にたくさんの金魚が群れ動いています。

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ここが好き。もちろん葉っぱも全部手書き。
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波紋の表現はアクリル樹脂の良さですね。
しかしこれ、水底の層から下書きもなしで描いてるんだよなぁ。どうしたらそんなことができるのか。

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池田 照将「Neoplasia-engineering」

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池田 照将「百千電脳図飾箱」

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池田 照将「電脳六面尽飾箱」

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全部螺鈿です。どうかしてる。細かすぎて写真が撮れない。

電脳図飾箱とか、名刺入れにしたらめっちゃ欲しい人多いんじゃないかなぁ。私はこの最後の六面のが欲しいです。ロボットアニメみたいじゃない?主人公がこれを手にすることから冒険が始まりそうじゃない?私が幼児の頃これを見つけたら、絶対この世のものじゃ無いと思うだろうよ。

 

ところでこの展示を実際見る前に、友人とこの箱たちの中身は何色なんだろう?という話をしました。漆の螺鈿箱なのだから、普通に考えれば朱漆か黒漆ですよね。でもなんか一捻り欲しいじゃない。個人的には黒色無双がいいんだけどなぁ。バグっぽくて。

蓋を開けたところは展示されていなかったので、確認は持ち主さんだけの特権です。欲しい。

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見附 正康「無題」

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アラビアンナイトのような、モスクのような赤絵。こちらも下書きどころかデザインの構想もなしに一発描きだそうです。作りながらデザイン決めてるんだって。

ところでこれは大鉢なのですが、中心、一番深いところどこだと思います?
柄の中心、左側じゃないんだな。普通に円の真ん中が中心です。皿の形の中心と、がらの中心がずれている。

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脳が混乱するよ。

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山本 茜「渦」

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今までの作品も大概「なんでこんなことができるんだ意味わからん」と思いながら見ていたけれど、この作品が一番どうやって作っているのかわからない。
ガラスの中に金属の板が封入されているのだそうですが、金属すごく細かいカッティングがされているんですよ。よくヨレないなぁって。
よーく見るとガラスにラインが入っていて、分割しながら作成しているんだなということはわかりますが、それでもやっぱものすごいなと思う。これは円錐に平面が封入されているけれど、球体の表面に沿うようになっているのもあってすげええってなります。

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写真撮影OKの展示だったのですが、とにかく仕事が細かくて全然きれいに撮影できなかった。そして必要だろうなと思って単眼鏡持っていったのだけれど、それでもよくわかんないなってくらいこまかかった。

あなたの知らないクレー 新収蔵作品特別展示:パウル・クレー

アーティゾン美術館の最後は、クレーです。 というか、一つの美術館でこんなに書くことがあるのがすごい。これで1100円とか!(また言う)

www.artizon.museum

所蔵品展の一角に、パウル・クレーのコーナーがありました。
閉館中であった去年、大幅にクレー作品を追加で購入したそうです。既存収集品1つを含めて網羅的な展示となっていました。
そう、網羅的なんですよね。典型的なクレーというより、クレーってこんな絵も描いてたの?と思うような、まるで全部の作品が別々の人が描いたかのような、いろんなタイプの絵でした。

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「庭師の家」

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クレヨンで描いたかのようなざっくりと下地を活かした作品。
幾重にも重なる世界の中にたくさんの木が描かれています。それで庭師なのかな。
リズミカルな作品で、にぎやかになりそうなところを落ち着いた色合いでしっとり大人びた仕上げになっています。

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「数学的なヴィジョン」

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何かの回路図のような作品。何の図なんだろうね。教会かな。ネズミ取りかな。上にあるベルを鳴らすためのものなのだろうね。
ブルーノ・ムナーリのような世界。特許用の構造図、建築青写真。
いろんな可能性を想像する。

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「宙飛ぶ竜の到着」

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すごく好きです。この中で一番好きかもしれない。
竜というより龍。中国の長い龍。中華街のお祭りのような、ねぶたのような。
お祭りの日に掲げられる長崎くんち
絵本の一場面のようです。物語がある。
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「立ち向かう矢」

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これも好き。さっきの絵とどちらがいいか迷うほどに。
本当にシンプルな絵で、碁盤と矢印しか描かれていない。それでも動きがあるし、これからどんな話が始まるのだろうかという期待感、革命がおこる前のような高揚感がある。

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「羊飼い」

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 こわーい。
パウル・クレー無宗教ということになっているそうだけれど、時々ファナティックなものを感じるんだよね……たまに急にアウトサイダー感だしてくるっていうか。普通この色使い出さないでしょうよ。
羊飼い、と言えばもちろんキリストのことだし、美術館の解説でもそう書かれているのだけれど、実際にはどうなんだろうね。
神の子キリストの後光というにはあまりに色遣いが怖いし、キュビズムというにはちょっと違う感じに顔が二つある。どちらかというと二面性を表しているような気がするよ。
キリスト教嫌いなのかな……

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いろんなタイプが見れて面白かったと思う反面、私の好きなタイプのクレーがなくてさみしかったともいう。
しかし閉館中も絵を増やしてるってすごいなぁと思いました。ブリヂストン余裕ある。
リクシルギャラリーみたいに閉館する美術館も増えている中、頑張ってほしいよね。

お久しぶりね 所蔵品展&印象派の女性画家展

さて、所蔵品展です。
リニューアル前、ブリジストン美術館が閉館するときに見に行ったときに見た物もちらほらあったし、その時は見なかったものもいっぱいありました。

ただ全体的に「君、どっかで会ったよね?」という作品がわりとありました。
国立西洋美術館や国立近代美術館にあるやつの下絵かな?とか、芸大美術館にあったやつのバージョン違いかな?とか言うのもあったし、単純に閉館中に他の美術館に貸し出されてましたよね?というやつもあった。ので、見たことないやつを挙げてみよう。

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オディロン・ルドン「神秘の語らい」

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ルドン!私の一番好きなルドン!思いがけず出会えるとうれしくなるよね。
ポーラ美術館にあった「神秘的な対話」と同じ二人組ですね。

ルドンのためならエンヤコラ ルドン ひらかれた夢 11/23 - 人の金で美術館に行きたい+読

あの場面より少し前の時間でしょうか。ベールをかぶった女性が、もう一人を説得しているようです。考え込むかのように下を向く女性を神のしもべであるベールの聖女が連れ出して、中庭で対話を行う物語。対話を続けている二人は神学的な問答をしているというよりは、ベールの女性が相手を説得しているように見える。そうして説得が終わったら、何が起こるのだろうか。

キャンバスに油彩で描かれているけれど、色鉛筆やチョークで描かれたような乾いた質感が、壁画のような時代感を出している。好きです。

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エドゥアール・マネオペラ座仮装舞踏会

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これを見てマネって気づかないよね。暗い画面に浮かび上がる色彩が、オペラ座に集う紳士淑女を描き出している。足も露わな女性の姿は仮装舞踏会だからこそなのでしょう。
下絵、というよりはたぶんスケッチと思われます。これをもとにして作られた作品がどこかにあるのかもしれません。

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クロード・モネ「睡蓮の池」

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後期っぽいモネ。
モネの作品は、所蔵品展で見るのが良いです。写真撮影ができるところで見るのが良いのです。
というのも、この作品は生で見たときと、それをカメラのレンズ越しに見たときで印象ががらりと変わって驚きを感じられるからです。
この話何度もしている気がするんだけどね。モネは色彩とか筆遣いとかも素晴らしくて、直接見るとそっちに気を取られるのだけれど、立体感が本当にすごいんですよ。それがカメラのレンズを通すと一気に世界が浮かび上がって、VRみたいな3Dの世界を見ることができるのです。
出だしぶりにそれを今回体験して、やっぱすげえなって思いました。

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さて、次は所蔵品展ミニコーナー。
印象派の女性画家展」です。数名の女性画家に焦点を当て、その作品を1つずつ紹介しています。

www.artizon.museum

女性の人権が確立していたとはとても言えない時代、女性が活躍していた印象派は得意なものであったという観点です。

ただ、惜しむらくは、作品の制作年代のせいだと思うんだけどあんま印象派っぽくないんだよね……
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マリー・ブラックモン「セーヴルのテラスにて」

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一番印象派的だった作品。
乾いた質感の画面は風が渦巻くかのようで、一瞬を切り取った感が強く今にも動き出しそう。
マリー・ブラックモンはアングルに師事したのち、印象派に移行した画家だそうです。
逆光のテラスの中にたたずむ三人のうち、この男性はアンリ・ファンタン=ラトゥールであるという説もあるそうです。

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エヴァ・ゴンザレス「眠り」

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ロマン的な絵。ギュスターヴ・ドレを思い出す。なんだかスペインのような、南の国の風を感じる。
印象派というよりもっと現代的な感じするよね。大胆に塗り残された左下、キャンバスの質感がシーツの質感と相まって力強くも面白い効果になっています。

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何ともゴージャスな展示です。これが全部所蔵品なんだからすごいなぁ。

結構難しい世界 宇宙の卵

アーティゾン美術館の企画展その2。ヴェネチア・ビエンナーレの再構成です。
制作は下道基行さん、能作文徳さん、 服部浩之さん、石倉敏明さん、安野太郎さん。共同制作で一つの世界、神話、そして聖歌を作り上げています。

 

www.artizon.museum

 基本的に内容は同じで、サイズを90%に縮小しての展示だそうです。その代り作品制作プロセスを展示したり、英語が日本語になったり、ちょっとしたバージョンチェンジが行われています。

会場に入ると、作品を見る前にその制作プロセスが展示されています。

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グループ展だからなのか、国際芸術祭だからなのか、それとも芸術というのはいつもこういうものなのか。非常に精細な計画書があることに驚きます。
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会場の塗装に関してもこれだけサンプルをチェックしてやっているんだなとか。
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会場に流れる聖歌のような神楽のような音楽。これが一番興味深い。でも難しい。

沖縄の宮古島などに残された『津波岩』のループ映像。f:id:minnagi:20200716115836j:image

津波で打ち上げられた岩がいくつもそのまま残されているのだそうです。
東日本大震災の時に津波で打ち上げられた船などをモニュメントとして残すかどうかと言う議論があったことに触れ、モニュメントとは、人の心とはなんなのかといった考察も示されていました。

というわけで、いよいよインスタレーション作品の中に入ります。

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「宇宙の卵」

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メインビジュアルの奴だ~~と思って見ると、なんだかシューシュー音がする。そして謎のチューブが大量に。チューブを追ってみると…

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リコーダーにつながっている…このシリコンの指を電子制御して、中に空気を通すことで音楽という過去の作品の言うとコロン『さえずり』を実現しています。おもしろい。
ポスターではヴェネチアで観客がこのオレンジのところに座っている写真が使われていたけれど、座っていいかどうか書いてなかったな。というか、圧倒されて座るどころか触る発想すらなかった。

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壁にはオリジナルの神話が彫られています。印刷ではなく、彫刻。

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そして津波岩の映像が投影されている。

 

なんだか、不思議な世界でした。「宇宙の卵」というタイトル通りに創世の神話が語られていて、不思議な音楽が流れていて、これはこういう宗教設備なのだろうかという気持ちになる。音楽がね、本当に宗教音楽みたいなんですよ。メロディというようなメロディでもないと思うんだけれど。そこがまた。
新しい世界が生まれる様を見ているような気持ちになりました。よくわからないけどなんか荘厳でいい感じ。