人の金で美術館に行きたい+読

美術館に行った話とか猫の話とかします。美術館に呼んでほしい。あと濫読の記録。




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境界線 3/6 そして、あなたの視点

gallery.shiseido.com

 資生堂ギャラリーに行ったら事前予約なしでも入れるようになってたし、パンフレットも復活していた。ありがたやありがたや。いや、マジで銀座で1時間弱時間調整ってお金かかるからね…

というわけで展示。今回はグループ展です。公式サイトによると

共通するテーマは、「境界」です。それぞれのアーティストが捉え、真摯に向き合っている「境界」はどのようなものでしょうか。作風のみならずキャリアもライフステージも多様なアーティストの視点を通して見る世界は、わたしたちが見ている世界とは違っているかもしれません。もしかしたら、似ているかもしれません。

「そして、あなたの視点」。

生まれるのは共感でしょうか、新たな境界でしょうか。

 とのことで、確かにギャラリーに大きな壁ができていたり面白かった。

撮影・横須賀功 「太陽に愛されよう」ポスター

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あ、石岡瑛子じゃん。て思ったけど制作者にその名前はなかった。
撮影者、デザイナー、プロデューサー、モデル。ポスターの製作者って誰になるんだろうね?
このポスター群はなんか接写禁止とか一枚で撮らないでとかいろいろ注釈があったので、ここではさらっと流しましょう。ショートストーリー的なものもついていてよかった。

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春木 麻衣子 「みることについての展開図」等

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展示室を大きく区切る白い壁があって、そこに穴が開いている。裏側にまあ割り込むとこんな感じで写真が展示されている。なるほど、境界線。という趣向なのだけれど、その白い壁を撮り忘れるっていうね。細部ばかり撮影して全体図を撮り忘れるのは本当に悪い癖なので何とかしたい。

写真で印象に残ったのは、窓。窓の写真が多い。相手と自分とを区切る境目。自分の安全なインナースペースからそっと覗いている他者の姿。そういうイメージの写真。

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片山 真理「shadow puppet」

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先天性の障害で足を切断された方ですね。セルフポートレートが代表作になっている作家さん。このぬいぐるみの義足は左手をモチーフにした自作のものなんだそう。すごいな。確かによく見ると爪がある。
クロッチの部分がセクシーだなと考えていた。

 

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おとぎ話の世界じゃないですか、素敵…パンズラビリンスとか、ダーククリスタルとか、そういう世界。

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潮田 登久子「本の景色」

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廃墟?火災現場?と思うような背景の、朽ち果てた本たち。


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これだけびっしりと付箋をつけた本がこんなにダメになってしまう。持ち主はどこに行ってしまったんだろう?
本を読んでいる人と本の中の世界の断絶。その上に、読んでいた人がとうの昔にいなくなって打ち捨てられたという二重の断絶。つらいなぁ。
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でもこれはめちゃくちゃ気になって仕方ない。芸術作品とか写真のできとかじゃねぇ。
「日本の昔話:お団子をなくしたおばあさんの話」
なんなの?どの話?ってその場でめちゃくちゃ気になってた。
今調べたら小泉八雲だって。広島民話という説もある。
小泉八雲「だんごをなくしたお婆さん」お団子ころりん
「お団子ばあさん」 | ひろしま民話図書館 | RCC
気になるじゃねぇか。ちょっと本探してみようかな。

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なんか、寂しい作品が多かった。「境界」というテーマとのことだけれど、どちらかというと「拒絶」や「断絶」だなあと思った。
「わたしたちが見ている世界とは違っているかもしれません。もしかしたら、似ているかもしれません。」という主催者側の「似ているかも」というのが見えなかった。
あなたと私は違うけれどもそばにいる。そういう世界ではなかった。
ちょっとつらいなぁ。