ゴッホよりゴーガン イスラエル博物館所蔵 印象派・光の系譜 10/19
三菱一号館のイスラエル博物館所蔵 印象派・光の系譜に行ってきた。
年間パスポートを買ったのだからもっと行けばいいと思うのだけれど、最近めっきり体力が落ちたり全く予定が立たなくなったりして全然いけていない。そしてたまに行ったところでブログ更新までたどり着けないでいる。
中年だなぁと思う。つらみ。
そんなしょうもない愚痴は置いておいて、やはり三菱一号館は印象派展示が多い。そしてよく似合う。
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レッサー・ユリイ「風景」
非常にドラマティックな絵です。夕暮れの水辺、光を反射する水面。
単純化され、まるで切り絵のように見える風景。
絵の具を盛り上げ、パレットナイフを押し付けて力強く描かれた木々と鏡面のようにのっぺりした水。左手側一本だけ立った柳?だけがなんだか妙に葉の色が目に付いて調和を乱しているようないないような。心に引っ掛かりを残す絵です。
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クロード・モネ「ジヴェルニーの娘たち、陽光を浴びて」
娘たちってだれよ?というと、この積み藁のことなんだとか。この藁の形が女性の姿に見えたということらしい。確かに当時流行りのボリュームたっぷりなスカートのシルエットに似ている。真昼の強い日差しの中すべてが溶け合うようなパステル調の色彩の中で、遠くの積み藁など女性のシルエットをとらえたもののように見えなくもない。
屋外でのダンスパーティのようだ。
夢の中のような世界の手前に強く落ちた影だけが現実のもののようだ。影の中だけが現実世界で、その向こう側の世界との境界線のようだ。
だとしたら向こう側は天国かもしれないな。
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ポール・セザンヌ「湾曲した道にある樹」
セザンヌはいいよね。緑色がいい。
油絵なのにまあるで透明水彩みたいなきらめきを持っている。
なかなか複雑な面白い地形を描いているなと思う。
手前から奥へまっすぐ伸びる道、左手の高台の淵に沿う急カーブの道、そして台地から平地へと降りる緩やかな坂。遠くに見える広場。
見たときに面白い構図だなと思ったんだろうな。多分写真だとそれほど趣がある感じじゃなくて、このくらいのデフォルメの絵画だからこそ、この坂道の面白さが見えてくるんだろうなと思う。
ぽんぽんと点描のように置かれた筆の重なりでうまく傾斜を表現している。
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ポール・ゴーガン「ウパ・ウパ(炎の踊り)」
上野でゴッホ店をやっている関係か、公式サイトとかではややゴッホ推しのこの展示。
でも見ていて面白かったのは何といってもゴーガンだった。
一室丸まるゴーガンをかけられた部屋があり、初期からタヒチにわたってプリミティブアートのような作品に移行するまでの経緯が見れて興味深かった。
この作品はちょうど中間くらいだろうか。タヒチ原住民の宗教儀式を印象的に描いてはいるものの、まだ西洋美術の範疇に収まっている段階の絵柄。
燃え盛る炎とその照り返しとが非常に幻想的だ。
個人的な趣味でいえば、このくらいの時期が一番好きだ。
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初来日の作品も多く、写真撮影可能エリアも広く、贅沢な感じの展示だった。
歴史的なものをおさらいしたりといった勉強っぽさは薄く、モチーフで部屋を分けたりして純粋に作品を楽しめる感じだったと思う。