せつな怖い系 ショーン・タンの世界展 9/22
そごう美術館のショーン・タンの世界展に行ってきた。
ショーン・タンはオーストラリアの絵本作家で、結構話題作を出している人なのだが、残念ながら私はまだ彼の絵本を読んだことがない。絵本の予習してから行くってのもありかと思うけれど、なんも知らないまま見に行くのも楽しいよなと思ってあえてそのまま。
そごうが35周年ということでお祝いムードの展示。すごいかわいい。
そごう意外と新しいな…もっとずっと昔からあるもんだと思っていた。
エリックが持っているショッパー、今お買い物するともらえるらしい。ちょっといいよね。かわいい。
以下すべてショーン・タンの作品。図録からなのでゆがんでいる。
のどにかからないように配置してほしいけど大きい画像も欲しいよねぇという
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「『アライバル』四季」
この絵が一番好き。植物の芽吹きで四季を表現している。
植物といってみたことのない、植物なのか動物なのかも定かでない生き物。一番上の段などは特に鳥が翼を広げるような優雅さで好き。
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「葬列(ウェイク)のイメージ『遠い町から来た話』オリジナル版表紙」
不思議なタイトルで不思議な風景の絵。電源コードの外れたテレビがなぜかついている。
絵本の粗筋は書いてあったけど、なんでこんな絵になっているかは書かない。
明るく、切なげで、でもなんだか明るい不思議な絵。
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「せっかくの計画を台無しにしないこと」
この人は画風の幅が広いなぁ。油絵で描いたようなこの絵は少年二人の夏休みの絵だそうです。どういうことだ。
無彩色でまとめた中に苺の赤色が印象的。
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「オウム」
オウムを飼うとはどういうことか、みたいな話の挿絵らしい。
オウムのことで頭がいっぱいになって他のことが何も見えなくなる。そして他の人から見れば何が良いのか分からないようなことに夢中になっている様が異様に見える。
そんなペット飼いの様子がよく現れてる。
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「記憶喪失装置」
これは何のストーリー説明もなかったので全くわからない。これが記憶喪失装置なんだろな。何のために記憶を消したいんだろうか。そんなたくさんの人が記憶を消したいと思うようなことがあったのだろうか。すごくきになる。
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展示を見た後「セミ」という絵本を読んだらかなり怖かった。結局人間が怖い系か〜と思わせつつセミが怖かった。全く子供向けではないですねこれは。
絵本の下絵やコンセプトアートなどもたくさんあってすごい興味深かった。今度絵本を読んでからまた図録を読み直したい。
宇宙を入れた器 美の競演 静嘉堂の名宝 9/15
和工芸は全然詳しくなくてだめなんですけどね。これは行くしかないでしょの展示があるので静嘉堂文庫までえっちらおっちら行ってきた。
だって、曜変天目と油滴天目が同時に見れるんですよ?!!
もともとこの時期は静嘉堂文庫で油滴天目が、三菱一号館で曜変天目が展示されるはずでした。だから両方行くつもりではあったんです。
でもコロナの影響で三菱のほうの展示が取りやめになり、急遽静嘉堂で同時展示に変更になったという、がぜん見逃せない展示なわけです。
だから行ってきたよ静嘉堂。どの駅からも徒歩25分周りに何にもないところにめちゃくちゃ蚊に刺されながら行ってきたよ。
ところでなんで三菱一号館が中止になったから静嘉堂に来たかっていうと、この2つの美術館はともに岩崎家、三菱財閥の創業家のコレクションが元になっているからなのです。両方同じ一族の持ち物なのね。
こないだ行った上野の旧岩崎邸もそうだし、清澄庭園もそうだし、東洋文庫もそうだし、六義園もそうだし、みなさんがおいしく食べてるヨーグルトの小岩井農業も元は岩崎家の持ち物。
そう考えると戦前の財閥ってマジぱねぇ。解体もされるわけだわと何となく納得してしまう。
あ、ついでに京都人に『文庫って何?』って言われて気づいたんだけどあまり一般的言い方ではない?博物館の事ですよ。美術館というよりニュアンス的に博物館。
もともと『文(ふみ)を入れておく庫(くら)』の意味で、文庫本はそういう集めた全書的なものを広く公開する敵な意味で名づけられたんでしょう。
こちらが静嘉堂文庫なのだけれど、この建物には入れない。横に作られた美術館に行きます。
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「藍釉粉彩桃樹文瓶(らんゆうふんさいとうじゅもんへい」
入口の3作品だけ撮影できました。
なかなかこった作品で、瓶の口の部分など好み。
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国宝「曜変天目」
撮影不可だったのでパンフから。やっぱりすごいねえ。宇宙だよねこれは。
横から見るとシンプルでうっすら青みが買った黒一色。それが覗き込むとこんななのだから、驚きしかない。
上の気泡が大きく不均一に並んでいる。暗い土台の上に輝く青い光の軌跡に導かれるままに底のほうへと視線を移すと、環状の光に捉えられる。そのちゅおうは、また闇。
宇宙をワープしているような、ブラックホールを見ているような気持ちになる。
これは美。
でもさ、これ抹茶の緑合わないよね。何を入れることを想定していたんだろう。何を入れても器に負けてしまいそう。
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重要文化財「油滴天目」
曜変天目、油滴天目はともに構造食の青い輝きが魅力なのだけれど、それは焼成中に釉薬がはじけた後なのだといいます。そしてこの二つの違いは、曜変は穴の周りが、油滴は穴そのものが光っていることなのだそう。
油滴とはよく言ったもので、弾けて器の中央へと滴り落ちるその輝きは確かに油のように見える。アスファルトに流れたガソリンのような不思議な色をしている。
けれどその輝きは曜変を見た後には弱く、きらきら光って見えていたのは撮影の下限によるものなのかなぁと思ってしまう。
でも油滴天目はサイドですね、この横顔が美しい。
光をまとって滴り落ちるこの釉薬の、底のほうにねっとりと溜まったこのしずくがとてもいい。そこまでしっかり輝きがあるのが、這い寄る闇のようでとても素晴らしい。
この茶碗を支える漆の入れ物もあったけれど、ここを隠してしまうなんてもったいないなぁと思った。隠れている部分を取り出して眺める驚きも捨てがたいけれどね。
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入場料千円だったけど、曜変天目に500円、油滴天目に500円で全然元が取れるなぁって思った。最高。
あとは酒井抱一がたくさん展示されていて、とくに牧童の絵が良かったのだけれどグッツがなかったのでパス。
「美の競演」というタイトル通り、同じ画題をもとに子弟や時代の違う人が描いたものを並べて鑑賞するというコーナーがあり、コンセプトはとても良いのだけれど、その作者の関係性が開設されていないのがとてももったいないなと思った。
岩崎家の霊廟というのもあった。割と大きいけどずんぐりしている。扉には中国の故事と思しき物語が彫られている。
この中には骨壺が収められているのか、それとも棺が収められているのか。それがどうしても気になる。
その差ってなんですか INTENSITY9/2
無料だけど事前予約制の展示です。
平日は当日でも大丈夫だけど、週末は前日に予約したほうがいい。本当は8月末の週末に来たかったのだけれど、もう枠が埋まっていて入れなかった。
小さな展示場で、作品も3つだけ。写真可否は書いてなかったけどバシバシ撮ってる人がいたから多分OKなんじゃね?と思ってる。
松尾高弘「FRALE」
きれいです。単純にきれい。虹色のフィルムを折り重ねてタンポポやヒマワリのような花を表現しています。写真で見るととてもソリッドで、ポスター写真とかだとまるでクリスタルのように見えるけれど、実物はもっと柔らかく繊細。触ったらチクチクするんだろうな。
いろんな角度からぐるぐる見てしまった。
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SPECTRA
新作の「SPECTRA」は世界初の技術を使った光と水のインスタレーションで、太陽光の放射角を持つ特殊な光が水を透過して反射することにより、閃光のような眩い光を放ちます。
とのことで、特殊なLEDを使用しているそうです。確かにその通りで様々な色を含む光であるからこそ水のプリズムを通してゴールドのチェーンのような美しい光を放つのですが。
ですが。
「これ、銀座の古いビルの入り口にあるやつだな」
って思っちゃったんだよね…一回思っちゃうとだめだよね…
これこれ。昭和ビルによくあるやつ。
原理はこれが詳しいね
べつによく見るやつだから悪いってわけじゃないんだけど、やっぱりそことは格が違うぜっていう圧倒的な何かを見せてほしいわけよ。無料とはいえわざわざ予約取ってまで見に来ているこちらとしては。LEDが違う!っていわれても太陽光で見てるからさ、違うっていえば違うけどびっくりするほど大違いってほどではないなって思っちゃうわけよ。
既存技術を使ってアートにするのなら、理屈ではなくてこう見るだけで圧倒するような違いを見せつけてほしい。
コレクションあるんだ なんでもない日ばんざい 8/29
シェアアートでチケットが当たったんで久しぶりに上野の森公園に行ってきた。
コロナの時期ということでWebで日時指定チケットを買うようにとの案内がWebにあるんですけど、手元に招待券があるときの手続き方法が全くなくて困った。
結局朝いったら混んでなくてそのまま入れたけれど、人気の展示はどうすればいいんだろうねぇ。
しかし今回そもそも「上野の森美術館って所蔵作品あったんだ!」ってのに一番驚いたよね。
売れ筋の人気作家企画展示ばっかりで常設展なんてやったことなかったじゃん。どこに作品隠してたのよって。
いつも宣伝バンバン売って大行列を作るタイプの美術館だけれど、これから方針も買えていかないとなんだろうねぇ。
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藤原 早苗「ピクニック」
ポスターのメインビジュアルにもなっている日本画。パステル調の鮮やかな色彩が美しいです。
(なんか今回写真が全然うまく撮れなくてめちゃくすみ&手振れしています)
きっちりと描くというよりなんというか断片的な光を重ねたような、浮遊感が軽やかな作品です。
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千葉 美香「神秘」
先ほどの作品が春ならば、こちらはもう間違えようのない夏。真夏です。
水辺に浮かぶ女性とその腕が巻き起こす漣とを時間を止めたかのような緻密さで表現しています。
でもよく見ると割とざっくり塗られているのが面白い。
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原田 久万「日本の行方 Ⅱ」
こちらは1958年の作品。日本でシュール・レアリスムが流行したころだそうです。
アメリカのような広大な農地の前で顔を梱包された男の体が砕けちってゆく。どう見ても「日本の行方」が良いものであるようには見えませんが、梱包された男の体から新しい芽が出ているのは復活の兆しでしょうか。
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奥津 真紀子「reflexion 交差する風景」
パチンコ屋さん。何重にも重なった窓ガラスに街の風景が繰り返し映しこまれ、反射し、80年代ポップスのような軽やかさを見せています。こちらも写真のように緻密に正確に描かれていますが、店の外であろう足元のマンホールまで三十になっていて、どこまでが現実かわからなくなっています。とにかくおしゃれ。
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池田 真弓「水の戯れ」
モネが水中と水上を同時に描くことに腐心したのなら、この絵は水中と水面を同時に描くことを目的としたものでしょう。深く青い水底、たゆたう水草、そして強い光の反射で示される水面の存在。
デザイン的にとてもパッキリとしていて気持ちよく、深い色合いが落ち着く絵です。
水面はどこまでも続いていくけれど、強い夏の光に目がくらんで何も見えなくなる。そういう永遠の広がり。夏への扉の表紙。リーピチープが漕ぎ出していった遠浅の海。そういう世界へつながる水面。
いいなぁ。
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上野の森は派手な作家が好きだよね~などといつも言っているが、ちゃんと自館のコレクションもあるし、そもそもこのコレクションが上野の森主体の美術展によって選ばれたものだということで大層反省をした。派手な作家ばっかり見に言ってるのは私のほうだったね。
幅広い年代の幅広い表現のコレクションで、大きな画面の作品が多くてかなり良かった。思わせぶりというか、派手な色彩で不穏な空気を出しているのが多くてこういう作風が好きなのかなって思ったけど、全部しっかりとした技量を感じて基礎力がある感じがとてもよかった。
普段からちょっとずつ見せてくれればいいのにねぇ。
GGG雑感 8/21
銀座に行ったからGGGに行ったけど難しいね!って思った。
軽く雑感だけ。
高田 唯「一花一日」
3Dで描かれたCGの花。レトロキッチュ。ウゴウゴルーガの時代。好きです。
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Andy Simonato + Karen ann Donnachie「The Library of Nonhuman Books」
本をスキャンして、機械学習でページ上の詩的な言葉を選択して保存、それ以外の文字を消して、残った文字に合うイメージをググって貼り付けるというプログラムを作成し、自動生成された本とのこと。
難しい。なぜやろうと思ったし。
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以下は作品名等目も忘れたので写真だけ。
本というイメージの彫刻
部品の組み合わせによるフォント
塗り絵のポスター
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なんかねぇ、雑だなって思う作品が多かった。
商業作品、主にポスターとしての展示だから雑なのではなくラフな味なのだろうけれど、でもやっぱり雑だなって思った。
永遠の湖 幻想の銀河 8/21
GINZA SIXの裏に変わった入口のビルがあるのは知ってたけど、それがギャラリーとは知らなかった。というわけで初来訪。
山本 基「たゆたう庭」
土屋 応仁「鹿」
「鹿」達の足元に「たゆたう庭」その上にある「見晴台」
庭は、鏡の上に塩で描かれています。湖のような、波打ち際のような。輝く足元からするとウユニ塩湖のような。
そんな世界が見晴台に上ると一変するのがとても魅力的です。
土屋 応仁「月」
天井にも貼られた鏡で合わせ鏡となり、今まで足元だったものが空になり海になり、永遠と続いてゆく。静かな庭。神の使いである鹿。永遠はなんでだかとてもさみしい。
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山本 基「たゆたう庭」
土屋 応仁「鹿」
タイトル同じだけど、こちらは鹿の王様とのこと。
銀河の中を旅する鹿の群れと、彼らを見守る鹿の王
とパンフにありました。
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山本 基「たゆたう庭」
全部同じタイトルなの、マジやめたほうがいいよ…
こちらは鏡にアクリルで描いたものとのこと。渦巻く雲のような、波のような。でもやっぱり湖に見えるなぁ。
こういうレースみたいな模様描けるの、すごいなぁと思う。私全然どうしたらいいのかわからなくて手が止まってしまうタイプです。
静謐で、無限の広がりのある、とても気持ちの良い空間だった。とてもさみしくて、とても好きな世界の作品だ。
でも、全部同じタイトルなの、マジやめたほうがいいよ、この時代もう少し検索性考えたほうがいい。
悲しみの京都 8/10
京都の一乗寺にラーメンを食べに行こうと地図を見ていたら、「古代ギリシャローマ博物館」というのを見つけたので行ってみた。
コロナで閉まってた…雑草が生えはじめ、千と千尋感がある。
公式サイトもない不思議な美術館だ。たぶんこの高級住宅地に住んでいる人が、コレクションを自慢するために建てたものではないかと思う。京都父は不振がっていたが、京都人の学友は「観光ガイドではない何かのちゃんとした本で紹介されているのを見たことがある」と言っていたので、たぶん中身はちゃんとしているんだと思う。
コロナが終わったら見に行きたい。
こちらは風俗博物館。
ココ、実はずっと前から行きたかったのですよ。それこそ小学生のころから。
高校の修学旅行が京都で、一日自由時間があるということなので班の人と行こうとしたんですよ。
でも途中で迷子になって、地元のおばさんに道を聞いたら「突き当りを曲がったところ」だと教わってひたすら突き当たるまで道をまっすぐ進んだんです。
ひたすらにまっすぐ。
京都の碁盤の目の町で”突き当たる”ことなんてなくね?と気づくまで。
そして再び迷子になり、集合時間に遅れ、夕飯に間に合わず、先生にめちゃくちゃ怒られ、班の人が過呼吸を起こしたとんでもない思い出があるんですよ。
京都人の学友(京都在住神戸出身)の人にそれを言ったら「大きい筋にぶつかることを”突き当たる”って言わないこともない」とのこと。
確かに大きい道路沿いにありましたよ。風俗博物館。
公式サイト見ていったのにやってねー!!!!
左が入口なんだけど、シャッター閉まってる!でもなぜかその奥の自動ドアは開く!なんなんだ!!!
20年越しに行けると思ったのになぁ……おばさん、私、まだあの道を突き当れていないみたい。
コロナのせいかなぁ?
なぜか横に謎の彫刻があったからそれで良しとしよう。
小松 純「左女牛」<h4
白っぽい縦長がそれです。怖い。おばけ?
植葉香澄「ノアの壺」
いやこっちもまあまあ大概怖いって。狂気強いって。
タヌキのおめめはキラキラでした。謎。