コレクションあるんだ なんでもない日ばんざい 8/29
シェアアートでチケットが当たったんで久しぶりに上野の森公園に行ってきた。
コロナの時期ということでWebで日時指定チケットを買うようにとの案内がWebにあるんですけど、手元に招待券があるときの手続き方法が全くなくて困った。
結局朝いったら混んでなくてそのまま入れたけれど、人気の展示はどうすればいいんだろうねぇ。
しかし今回そもそも「上野の森美術館って所蔵作品あったんだ!」ってのに一番驚いたよね。
売れ筋の人気作家企画展示ばっかりで常設展なんてやったことなかったじゃん。どこに作品隠してたのよって。
いつも宣伝バンバン売って大行列を作るタイプの美術館だけれど、これから方針も買えていかないとなんだろうねぇ。
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藤原 早苗「ピクニック」
ポスターのメインビジュアルにもなっている日本画。パステル調の鮮やかな色彩が美しいです。
(なんか今回写真が全然うまく撮れなくてめちゃくすみ&手振れしています)
きっちりと描くというよりなんというか断片的な光を重ねたような、浮遊感が軽やかな作品です。
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千葉 美香「神秘」
先ほどの作品が春ならば、こちらはもう間違えようのない夏。真夏です。
水辺に浮かぶ女性とその腕が巻き起こす漣とを時間を止めたかのような緻密さで表現しています。
でもよく見ると割とざっくり塗られているのが面白い。
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原田 久万「日本の行方 Ⅱ」
こちらは1958年の作品。日本でシュール・レアリスムが流行したころだそうです。
アメリカのような広大な農地の前で顔を梱包された男の体が砕けちってゆく。どう見ても「日本の行方」が良いものであるようには見えませんが、梱包された男の体から新しい芽が出ているのは復活の兆しでしょうか。
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奥津 真紀子「reflexion 交差する風景」
パチンコ屋さん。何重にも重なった窓ガラスに街の風景が繰り返し映しこまれ、反射し、80年代ポップスのような軽やかさを見せています。こちらも写真のように緻密に正確に描かれていますが、店の外であろう足元のマンホールまで三十になっていて、どこまでが現実かわからなくなっています。とにかくおしゃれ。
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池田 真弓「水の戯れ」
モネが水中と水上を同時に描くことに腐心したのなら、この絵は水中と水面を同時に描くことを目的としたものでしょう。深く青い水底、たゆたう水草、そして強い光の反射で示される水面の存在。
デザイン的にとてもパッキリとしていて気持ちよく、深い色合いが落ち着く絵です。
水面はどこまでも続いていくけれど、強い夏の光に目がくらんで何も見えなくなる。そういう永遠の広がり。夏への扉の表紙。リーピチープが漕ぎ出していった遠浅の海。そういう世界へつながる水面。
いいなぁ。
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上野の森は派手な作家が好きだよね~などといつも言っているが、ちゃんと自館のコレクションもあるし、そもそもこのコレクションが上野の森主体の美術展によって選ばれたものだということで大層反省をした。派手な作家ばっかり見に言ってるのは私のほうだったね。
幅広い年代の幅広い表現のコレクションで、大きな画面の作品が多くてかなり良かった。思わせぶりというか、派手な色彩で不穏な空気を出しているのが多くてこういう作風が好きなのかなって思ったけど、全部しっかりとした技量を感じて基礎力がある感じがとてもよかった。
普段からちょっとずつ見せてくれればいいのにねぇ。