印刷技術の向上 町田市立国際版画美術館 11/19
三菱一号館に行ったらパンフレットコーナーでこの展示を知って、もうすぐ終わるというので急いで行ってきた。
東京の公立美術館というのはなぜか大体公園の中にある。世田谷美術館とか。板橋美術館とか。駅からちょっと遠いのと、公園がめちゃ森だったりしてビビるのが欠点。
ここは初めて来たけれど広くてすごくよかったよ。
タイトルは「西洋の木版画」だけれど、印刷の発明期の木版画から始まってリトグラフもあるし、デューラー、ドニときて日本美術の影響を受けて多色刷りへ発展していく様を丁寧に追っていてとても良かった。
---
作者不明「『魂の庭』より地獄の責め苦」
初期の印刷はやはり宗教がらみ。飽食の罪で無理やり食べさせられている人、飲酒の罪で無理やり飲まされている人。虚栄の罪で鏡を見せられている人。あと男女ペアは咽頭の罪かな?焼き網みたいなのを持っているのは何の罪なのでしょうか。
この赤が毒々しくて怖いねぇ。生き生きと描かれていて、こういうの天国より地獄のほうが筆が乗っていていいよねと思う。
---
アルブレヒト・デューラー「子羊の前の選ばれし者たち」
木版画といえばやはりデューラーは外せない。すごい細かいねぇ。神の子羊=キリストの前に集う天使や聖人たち。棕櫚の葉を持つ殉教者たち。新たに一人昇天する若者もその中に迎え入れられる。
黙示録の一場面だそうで、よく見るとキリスト羊にめっちゃ目があったりしてちょっと怖い。胸から汁出てるし。
多分すべてがシンボルなんだろうなぁ。黙示録って途中で飽きちゃって独はできないんだよなぁ。ちゃんと読まないとなぁ。
細かいところまでわかると楽しいでしょうが、そうでなくても美しくいい絵です。
---
ヴィンツェスラウス・ホラー「マフとレース」
これすごく好き。純粋に美術作品なのだろうか?何かの挿絵なのだろうか。
防寒用のマフや手袋、レースが無造作に積み重なった情景。上流階級の女性たちが帰宅して、温かい家の中で窮屈な防寒着を無造作に放り出した場面。緻密に描きこまれた毛皮の美しさと、どこかほっとする情景がとても暖かくゆったりした、親密な気分を起こさせます。
---
アンリ・リヴィエール「『時の魔法』より 水の反映」
印象派のような、浮世絵のような構図。
日本の浮世絵が入ってきて、その影響を受けた作家だそうです。最初はもっと浮世絵ライクな作品を作っていたけれど、下絵、彫、印刷まで分業せず一人でやるのは大変すぎてリトグラフに転向したのだとか。
とてもいいです。水面の絵ものすごく好き。あえて断ち切られた船の帆、水面に広がる空の情景。ありのままの夕方の色。気持ちよく開放感があり、一抹の寂しさとともにずっと見ていたくなる世界。
---
フェリックス・ヴァロットン「夕立」
ヴァロットンって本当にフランス的だなぁと思う。好きだよ?好きなんだけど、この性格の悪さよ。
急に降り出した雨の中猫も杓子もあわてて逃げ惑うさまをシニカルに滑稽に描いている。冷たい雨の中では紳士も貴婦人も子供でさえみんな同じく平等にひどい目に合っている。
---
リチャード・ドイル「妖精の国で」
子供向けの絵本のような作品。きれいだなあって思うじゃない?すごく細かいな、リトグラフかな、って思うじゃない?
木版画なんだって。しかも手彩色じゃなくて、色も版画でやってるんだって。
信じられない。マジすごい。ある意味狂気。
妖精の国では馬車はチョウチョに曳かせるんだね。かわいいな。手前の黒字に赤の長が好きです。この色がすごく好き。
基本的に撮影可能ですが、新しい作品だけ負荷でした。カンディンスキーとか。
ジャン・アルプの作品がすごく好きだったからポストカードあれば買ってたなあ。