遠い世界 Ask him 資生堂ギャラリー 11/13
資生堂ギャラリーに行ってきた。第14回shiseido art eggの2期目。
橋本晶子さんの作品は初めて見たのだけれど、この資生堂ギャラリーの部屋にとても合う作品だと思った。繊細で、緻密で、どこか人を寄せ付けない。距離感が遠い感じがとてもこのスペースに合っている。
作品はすべて無題です。
リトグラフかと思ったら鉛筆画らしい。ということはオリジナル。なのにこんな折りたたんじゃうんですか?
空を飛ぶ鳥の絵が、高いところに掲示されている。観客はそれを見上げる形になる。
逆光で描かれた鳥の顔は影になってみることができない。触れることもできない遠い影。
この展示は距離がテーマなのかなと思う。
こちらはトレーシングペーパーに描かれた、実物大、というかそれ以上のサイズのカーテン。こんなに大きなものをよくバランス崩さずに描けるものだと素直に思う。
カーテンの奥にはうっすらと風景画が透けて見える。とはいえ作品に手を触れるのはもちろん不可なので、いったいどういう景色なのだろうかと想像をめぐらすしかない。
趣向としてはこちらも同じ。細密に描かれた風景画を覆う白い紙。少し風が吹けばのぞけそうな気がする、絶対に届かない世界。
絵に描かれた時点でこちらからは遠い世界であるのに、こうして覆われてさらに静かに拒絶されている。
壁に貼られた写真の上に木陰が落ちている、といった騙し絵のような作品。
SLOW、と書かれた道路の写真が妙に疾走感があって面白い。
ただきれいな絵、というよりも空間を使って独特の世界観を作り出していて、インスタレーションのようだなと思った。すごく好き。