人の金で美術館に行きたい+読

美術館に行った話とか猫の話とかします。美術館に呼んでほしい。あと濫読の記録。




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何が見えますか? 若林奮展 町田市立国際版画美術館 11/19

版画美術館の常設展、こちらは無料だそうです。太っ腹!

 

hanga-museum.jp

 

若林奮さんは町田出身の版画家、彫刻家だそうです。でもほとんど情報ないね。

若林奮 - Wikipedia

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若林奮「BLACK CONNTON」

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綿をテーマにした連作です。綿、といってもふわふわではなく、ロール状に巻かれている。多分ぎっしりと圧縮されてとても重いのだろう。

解説にはこうある。 

題名に付されたCOTTONはそのとおり綿のことです。(中略)その理由は、生家が綿屋であったことと関係がありそうです。若林の記憶の中にある綿とは、本作品集に描かれたような大きな塊であったと思われます。その塊がBLACKであるのは、表面が焼けて黒くなった状態をイメージしていたのかもしれません。

はて、なぜこの解説を書いた人はそう思ったのだろう。「表面が焼けて黒くなった状態」など、火事でも起こらなければそんな風にはならないのではないだろうか。実際実家が火事になったならそう書きそうなものだと思うしなぁ。
私が思うに、これは単純に逆行の中の綿ではないか。子供の目線で見上げた、ずっしりとあっとうっ的な質量をもつ綿。あんなに軽く吹けば飛ぶようなもののはずなのに、自分ではピクリとも動かすことのできない圧倒的な質量をもって迫ってくる綿。その変異に対する恐怖心。そう言う巨大な物体が、部屋の中で日差しを遮り真っ黒に迫ってくる異質となって表現されているのではないか。
連作となっているのは、綿を分解して再構築を行っているのではないかと思う。

私はNo3が好きです。

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若林奮「GRASS」

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この人の作品は、一見して何を描いているのかわからないものが多い。これもGRASSと、直訳すれば草であるが、草原を描いたのかといえば全くそうは見えない。
私には海のように思う。岸辺、砂浜ではなく工業港の波止場。コンクリートで断ち切られた地面の先の海。月に照らされた海水面に現れる道。その先はただ夜の闇。そういう世界が見えるような気がする。
多分正解はないのだろうけれど。

作品はたくさん展示されていましたが「これすごく好きだなぁ」というものから「なにこれ、ただ適当に線引いただけでは?」と思うようなものまで振れ幅が激しかったです。面白かった。