人の金で美術館に行きたい+読

美術館に行った話とか猫の話とかします。美術館に呼んでほしい。あと濫読の記録。




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この時代が好き 1894 Visions ルドン、ロートレック展 三菱一号館 11/17

コロナで開幕が危ぶまれた展示だけど、何とか構成を変えて開催が決定したというので行ってきた。ルドンが出ると聞いたら見逃せねぇ、なんだけど、聞いてくれ。俺の叫びを聞いてくれ。
このご時世だから、まず公式サイトをチェックすると「日時指定のチケットが必要だよ!2000円だよ!こっちから買ってね!」って書いてあるわけよ。
そして素直にチケットを買って現場に行くと、建物の外にポスターが掲示されていて「日時指定の事前販売チケットが必要だよ!」って書いてあるわけよ。
そんで美術館の中に入ったらこれですよ。

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はあああああ???????なんでそういうことチケット買う前に明示しないわけえええええええ!!!!!!
しかも年間パスポートの場合は予約が不要だそうです。その日にきてその日に見れるんだって。じゃあ通常券買うメリットないじゃん。言えよマジでさぁ~~~そういうところ~~~そういうところ好きじゃない~~~~~~

この展示の後期の後半になったら買いに行きますから。ふんだ。

 

というわけで気を取り直して。

mimt.jp

開館10周年ということで、初代三菱一号館が建てられた年にフォーカスした展示です。華やかなりしアール・ヌーヴォーアールデコの時代。世紀末のパリを中心にロートレック、ルドン、ゴーギャンといった贅沢な作家の作品を見ることができます。かなり豪華。 

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ベルト・モリゾー「若い女性と子供」

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これが好き。これが一番好き。何かの下絵か、下塗りのままなのでしょうか。ざっくりとした形に不思議な色使い。凛とした女性の顔が神秘主義の女王のようで非常に美しいです。後光がさしているようだ。うねる筆遣いも力強く、完全に完成した美しさがあります。
大好き。

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アンリ・ド・トゥールーズロートレック「アリスティド・ブリュアン」

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こちらも下絵。これが何の下絵かというと、もちろんあの有名な巨大ポスターです。(この巨大ポスター、実物大複製が売っていたよ。誰がどこに飾るんだろうね)
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ロートレックといえばやっぱりポスターのほうが作品としてはメジャーなのですが、肉筆バージョンのほうがめちゃくちゃ好きです。白で修正されていたりして試行錯誤の途中、完成品とは言えないのだけれど、この表情よ。生き生きと脂下がった顔。実に皮肉っぽく、性格が悪い。友達の前でしか見せない顔。
改めてポスターを見ると全く同じ表情で、どの線も同じなのに、不思議と全然違って見える。やっぱり肉筆画には独特の良さがあるんだなぁ。

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オディロン・ルドン仏陀

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ルドンたくさんありました。見たことがあるやつも、ないやつも。モノクロも、カラーも。そして後期にはまた別の作品が来るらしい。大興奮だよ。
ルドンの描く仏陀はいつも蛇だ。冷たくじめりと暗い物陰からこちらを見つめてくる蛇。私が思うブッダ仏教徒から見るブッダとは全く違う。仏陀をこういう風に描く人を他には全く知らない。
ルドンがブッダのことを知ったのはもちろん仏教芸術塔であろうはずなのに、どうしてこうなるのだろうか。彼は仏教の教義のことをどの程度知っていたのだろうか。どの程度信じていたのかとても気になる。
仏陀というよりも、古代エジプトの神官のようだと思う。

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ポール・セリジュ「急流のそばの幻影 または妖精たちのランデヴー」

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最初ゴーギャン?って思った作品。というのも当然のことで、ポール・セリジュはゴーギャンとともに作品作成に励み、クロワソニスムを進めた人なんだそうだ。
この作品も木々に阻まれて手前が現実、奥が非現実の幻影、精神世界というゴーギャンのお約束を守っているよね。

なのになんでこの二人は知名度が段違いなのかな~タヒチに行かなかったからかな~(ちがう(違わない気もする(プロデュース力は大事

 

ルドンの展示スペースで、

ルドンの画業後期、ドムシー男爵からの私的な注文を主に受けていたことで経済的には安定したが、他から作品が見られないことから世間からは忘れられていた

というようなことが記載されていて切なくなりました。奇しくも最近ツイッターで現役の芸術家さんが「ギャラリーが自分の作品をすごく安く売ってしまう。それじゃ生活できないし、何より安すぎてすぐに売れて人目に触れないから有名になれずに値段が上がらない悪循環にはまってしまう」というようなことを言っていて、芸術で生計を立てるのはただいいものを作る以上に大変なことなんだなぁと考えこんでしまいました。
芸術家、頑張ってくれ…僕は買えるお金持ってないからどうこう言えないけど、応援してるから頑張ってくれ……