人の金で美術館に行きたい+読

美術館に行った話とか猫の話とかします。美術館に呼んでほしい。あと濫読の記録。




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結構変わってた 西洋美術館常設展 7/7

常設展を見るのは結構久しぶりだったけど、結構変わってたよ。前からある三連祭壇画の位置が変わってて、扉の裏もチラッとだけど見れるようになってて興味深かった。

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アンリ・ファンタン=ラトゥール「聖アントニウスの誘惑」

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アンリ・ファンタン=ラトゥール | 聖アントニウスの誘惑 | 収蔵作品 | 国立西洋美術館

ロンドンナショナルギャラリー展に対応して、コレクション内のイギリス絵画のミニコーナーができていました。

好きなんですよね、ラトゥール。薔薇の画家。
きっちり写実的なイメージの強い画家ですが、こちらの絵画は夢の中のようにぼんやり淡いタッチで描かれています。風に吹きすさぶような表現は、アントニウスの体験する幻惑の中のような非現実的リアリティを感じます。自分もその幻覚の一部に取り込まれてもてあそばれているような感じ。
すごくいいですね。

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ジョヴァンニ・パオロ・パニーニ「古代建築と彫刻のカプリッチョ

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ジョヴァンニ・パオロ・パニーニ | 古代建築と彫刻のカプリッチョ | 収蔵作品 | 国立西洋美術館

こちらはイギリス絵画コーナーではないけれど。
この理想風景画もロンドンなしょらるギャラリー展に通じるものがあります。
18世紀にイギリス上流階級の子息たちが学業の集大成としてイタリアをめぐるグランドツアー。この絵画もその記念として求められた風景画の流行の一部であると思います。
カプリッチョ」という「幻想」は現実の風景ではなく、イメージに合う建物などを自在に組み合わせた、現実に存在しない絵画であることを表しています。 

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ウィリアム・アドルフ・ブーグロー
左「武器の返却を懇願するクピド」
右「クピドの懲罰」

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ウィリアム・アドルフ・ブーグロー | クピドの懲罰 | 収蔵作品 | 国立西洋美術館

ウィリアム・アドルフ・ブーグロー | 武器の返却を懇願するクピド | 収蔵作品 | 国立西洋美術館

ともに初展示作品です。
なんか変わった絵。壁画みたいだけれど普通に持ち運びできる板に描かれた油彩。背景真っ白で、どういうところに展示する目的で描いたのだろう?と調べてみたら、装飾パネルだった模様です。

nmwa.repo.nii.ac.jp

硬質で古代的な表現。強い非現実感。それが神性の表現となっているのかもしれません。

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フランシスコ・デ・スルバラン「聖ドミニクス

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フランシスコ・デ・スルバラン | 聖ドミニクス | 収蔵作品 | 国立西洋美術館

カッケー!とにかくカッコいい絵画です。すごく大きくて迫力があり、凛とした力強さがあります。そして犬がかわいい。かわいい。カッコいい。それだけでいい。

ドミニコ会修道院の創設者、聖人ドミニクスの肖像です。右にいる犬が咥えているのは書類かなんか課と思ったけど松明とのこと。その炎は画面に描かれていないけれど、後光のように聖ドミニクスを照らすことでその存在を示唆しています。
というか、暗闇から人物を浮き立たせる仕組みとして使用されているわけですね。ドラマティックで面白い仕掛けです。
この額縁も絵画にぴったり合っていてめちゃくちゃカッコいい。ポストカードとか作るなら額込みでやってほしい。だいすき。

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バルトロメ・エステバン・ムリーリョ「聖フスタと聖ルフィーナ」

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バルトロメ・エステバン・ムリーリョ | 聖フスタと聖ルフィーナ | 収蔵作品 | 国立西洋美術館

ムリーリョといえば無原罪の御宿り。その華々しさはないけれど、しっとりとまとまっていて、しみじみと良い絵です。下絵なんだね。
都市の守護聖人が、その都市の象徴的建物を持っているというのはなんだか不思議な構図に思えるけれど、たぶん割と当時はよくあった構図だと思う。他でも見たことがある気がする。
ざっくり描かれているローブの美しさ、色彩配置がやっぱ実力者だなって思う。

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展示替えがあると新しい絵が見れてわくわくする反面、お気に入りの絵がなくならないかとドキドキしてしまう。

私のお気に入りはこの辺です。

エドワールト・コリール | ヴァニタス-書物と髑髏のある静物 | 収蔵作品 | 国立西洋美術館

ジョヴァンニ・バッティスタ・ティエポロ | ヴィーナスによって天上に導かれるヴェットール・ピサーニ提督 | 収蔵作品 | 国立西洋美術館

ギュスターヴ・ドレ | ラ・シエスタ、スペインの思い出 | 収蔵作品 | 国立西洋美術館

ジョアン・ミロ | 絵画 | 収蔵作品 | 国立西洋美術館

特にギュスターヴ・ドレが好き。そしてジョアン・ミロは順路の最後にあることもあって、ベンチに座ってゆっくり鑑賞したい作品です。
お勧めだよ。