完全に理解した オラファー・エリアソン ときに川は橋となる8/2
やっと晴れたので、現代美術館に行ってきました。
ここ来るの、初めてです。現代より近代のほうが好きだからなぁ、基本は。でもすごく気持ちのいい建物だったし、他に2つやってた展示も面白そうだからまた行きたい。
あと、周辺の清澄白河がめっちゃいいお店大量だったから研究が必要。
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「クリティカルゾーンの記憶(ドイツ-ポーランド-ロシア-中国-日本)」(部分)
作品をトラックで運んだ軌跡の作品。白い紙をトラックの荷台に敷いた上に茶色の枠を置き、その上に黒いチョーク的なボールを置いて、転がった痕が紙に残るようにした作品だそうです。日曜美術館でやってた。
どう言う基準で紙を交換したのか、真っ黒になっているのもあれは白っぽいのもある。見ているとなんとなく世界地図みたいに思えてくるから不思議だ。
京都人がやたら長いこと見てるから気に入ったのかと思ったら、「あんま気に入らなかった。ただ、どこから書き始めたのか探してた」言ってて変な人だなと思った。
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「人間を超えたレゾネーター」
小さな光が反射し、屈折し、驚くほど大きくくっきりした光輪を投げかけている。
ライトをすぐ正面の円盤で遮り、その外側に漏れた円周の光を輪になったレンズで捉え、強いリング状の光に変えている。同心円状の光の輪がとても美しい。
灯台の原理を応用しているそうです。フレネルレンズなのかなぁ?よくみるとリングに段がある気もするけどよくわかりません。
ここで、ん?って思うわけです。オラファー・エリアソンってエコでサステナビリティな現代アート作家ってことになってるけど、違わない?って。
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「おそれてる?」
原題が「Who is afraid」なのにこの日本語おかしいよね…これだと「"あなたは"おそれてる?」になってしまう。「誰が恐れているの?」だよね直訳だけれど。けど現代のニュアンスにWhoの中にあなたは入っているの?というのも含まれるのだろうか。だったら「おそれているのは?」とかさぁ。
液晶とハーフミラーを組み合わせた円盤を使用しています。その液晶はそれぞれ赤青黄という三原色を透過するよう作られています。円盤を透過して奥の壁に当たる光と円盤から反射して反対側に投影される光とが反対色になっています。まぁ理屈ですよね。円盤に投影されている白色光は全ての色を含む光なので、その一部のみを反射させれば、残りが透過されるわけです。白色光を二つに、透過光と反射光とに分けたならば、それぞれには相手の波長色は含まないわけですよ。透過光は円盤の影なので、三原色が重なったところは黒くなりますね。それで面白いのがただの色付きフィルムではなくて液晶を使っているところで、光源から出る光の方向は変わらないけれどこの円盤が回ることで当たる角度が変わり、反射光透過光の色が変わるんですよ。それで最高なのが円盤が光の向きと並行になる時で、円盤の縁から光が入ることで液晶を通過せず、白色光の反射と無彩色の影とが重なるのが本当に面白い(ここまで早口)
僕と京都人はガチクソ理系なのでこう言うのをみると原理の解明の方で盛り上がってしまう。特に僕は大学で高分子や液晶をやってたこともあり、熱くなりがち。だいたい原理は理解したと思う。
てかオラファー・エリアソン。きさま、光学好きなただの理系オタクだな?エコな理屈、後付けだろ?
作品はICC | 《RGB|CMYK Kinetic》 - アート+コム (2015)を思い出すね。
全然違う作家のだけれど美しいから動画を見るがよい。もっと長い動画がほしい。
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「9つのパブリック・プロジェクトの記録写真」より「30秒間の鏡」
ほらー!エコ関係ないじゃん!鏡が面白くて試しまくってるだけじゃん!!!
不思議な鏡像ですが何をやっているかというと、ドーナツ状の鏡を持った人が3人、それぞれ互いに垂直になるように立っているそうです。中段右端の写真がわかりやすいですね。そうするとこんな面白い写真が撮れるのだと。
他にも鏡を街の至る所に置いてみたり、トラックの荷台に巨大な鏡をつけて街を一蹴させてみたり。
鏡というのは向こうを映さずにこちら側の情報をすべて跳ね返すものであるから自己と他者との境界であり、同時に思いもかけない場所の情報をこちらに伝えてくれる伝達手段でもある。自分と他の人との断絶とつながりを表すもの、自己の輪郭を表すものである。
でも、光学オタクなんでしょ?エリアソンさん。
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ときに川は橋となる
表題作ですね。水の入ったお盆を、周囲からスポットライトで照らしています。
そしてそれが上部の壁ぐるりに投影されている。水面は時に激しく波打ち、投影された光も思いがけないほど姿を変える。立体感を持ち、まるで踊っているかのように。
見ていて、禅だなって思った。すごく美しく、見ていてとても穏やかな気持ちになります。空港とか、ホテルのロビーとかにあって欲しい。壁際にいすを置いて、これを眺めながらお茶したい。
見てるとホスチアのことをちょっと思い出す。意図してはいないだろうけれど。
ワンタンの皮でもいい。
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「昼と夜の溶岩」
39秒から映るやつです!
こちらのブログさんでも紹介されてます!
いや、めっちゃよかったんですよこれ。めちゃくちゃ面白かったんですよ。
円錐状の凸面鏡のまえに半分白く塗られた溶岩がつるされているんですけれど、横から見てもその溶岩の姿が見えないのです。それなのに真正面から見ると、鏡一面が溶岩で埋まってしまう。
この理屈はですね、鏡が円錐状だからなんですね。光って鏡に対して入射角と反射角が同じになるじゃないですか。だから鏡が斜めってると自分の目線の反対側しか見れないわけじゃないですか。それが円錐だから一周して、鏡の上部には足元が、株には天井が写って上下も反転するのが面白いですよね。だけど鏡の真正面に映っているものはそこからの光が(ほぼ・角度ついてるから)垂直にしか反射されないから、斜めに見ることはできないんですよ。理解した。完全に理解した。ちょっと図示してみたから伝われ。伝わるんだ(早口
こうだよこう。どうしても中心を通る光は斜めにいかない空白のスポットが出てくるんだよ。
胸像がめちゃくちゃ立体感あるのも面白くて理屈を理解した時のアハ感もすごくてめっちゃ興奮して……写真を撮り忘れたんだよ!悲しい!!!動画を取るべきだろこれは!!!!!
あとから京都人に「この人は何を興奮しているんだろうって思った」って言われた。うん、ごめん。
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展示、英語公式サイトが面白いので見るといいです。
反省点としては、途中から視点がアート鑑賞ではなく、科学技術館を見に来た人になってしまった。作りの面白さに夢中になって、だから何を表現しているのかみたいなのを感じるまでいかなかった。
昼と夜の溶岩、「問題は斜めからでなくて真正面から見据えないといけないんだね」って京都人が感想を言っていて、俺は…おれはいったい何を見ていたんだ…って気持ちになった。
落ち着き、大事だね。