人の金で美術館に行きたい+読

美術館に行った話とか猫の話とかします。美術館に呼んでほしい。あと濫読の記録。




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シャレ乙の極み クリスト&ガンテンバイン

関東に生まれ関東に育ち、東京在住のべ10年はいってるだろう私にも、いまだに都内で訪れたことのない場所はいくつもある。
そのひとつ、代官山についに行ってきた。

代官山の感想としては、あんまし何にもないなって思った。みっちりしてない、余白が目立つ街。統一された無機質な建物が多く並ぶその一棟に、目的地がある。

 http://js-aa.org/event001.html

クリスト&ガンテンバインとは、エマニュエル・クリストとクリストフ・ガンテンバインが設立したスイス・バーゼルを代表する建築設計事務所とのこと。
大きくて、都会的で、金属質のすっきりとした建物が特徴的。取り付く島もないほどに無機質な外観だけれど、明るい色のせいか威圧感が無い。きちんと整理された人工空間は好みだ。

 

もう、入口からしてカッコよすぎるじゃん。

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今回の展示は無料だったのだけれど、入口で名刺または記帳を求められたから、業界向けの展示だったのかもしれない。撮影可能だったよ。
建物自体が面白い作りで、回廊になっているギャラリーの前半が建物の写真、後半がデザイン画と建築模型だった。

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バーゼル州立美術館増築
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表面に文字が浮かび上がる建物。ぐるりと建物を取り囲んで文章が描かれている。外壁の表面をうまいこと並べることで影ができ、文字が浮かび上がってくるようだ。

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多分これが仕組みの説明図なんだと思う。わかんないけど。

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駅舎側のオフィス・ビルディング

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方舟みたいな建物。こちらは建築前、企画段階で示される模型でしょう。
普通はプラスチックとかで作られる模型だけど、これはどう見ても金属使ってるよね。リッチ!
f:id:minnagi:20190402121151j:image実際の建物がこちら。経年劣化もあって、ぐっとシックな色に落ち着いている。

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デザイン画を見るとより船感が強くて好きだな。

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線路沿いの複合用途タワー

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変わった窓が特徴的な建物。ギュンギュンにとがっている。
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建築模型は写真だからよくわからないけど、木か紙のボードか何かでできているよう。
すごくぬくもり感がある…実物はめっちゃメカメカしいんだけど、「思ってたん違うな」ってならなかったのか気になる。

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谷のハイテク・ラボラトリー

難解!難解だよこの建物。
これが真上から見た図。
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これは横から見た図…多分、第1図の下から見たところ?

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こちらも横から見た図。多分第1図の右から見たところ、だと思う。f:id:minnagi:20190402145643j:imageよくわかんないよ!
小学校の算数とかで、「サイコロはいくつあるでしょう」みたいなやつ苦手だったんだ…建築模型をください。

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3Dプリンタで作ったという建築模型がいっぱい。
あちこちの角度から見ると楽しい。特に真ん中のムカデみたいに連結した建物とか、2次元情報じゃわかりづらいよね。

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一番気になったのはこの建物。

f:id:minnagi:20190402122305j:imageなんだよ。サーカスのテントかよ。気になりすぎる…

 

しかしね、私、わかりましたよ。
こういう日本でわざわざ企画展とか開かれちゃうような有名建築家はね、お高いんですよ。デザイン費とか諸々が。
そういう建築家に設計を頼むような施主さんはね、お金持ちなんですよ。当然のこと。
だから、平面図を見てデッドスペースが多いなぁとか使いにくい間取りだなぁとか、ピロティって1階部分に部屋無くて勿体なくない?とか考える必要ないんですよ。
なぜなら彼らはお金持ちだから!底面積が十分広ければ、多少デッドスペースがあったってこまりゃしないから!!

お金持ちになりたい(この結論多い)

【 粗筋】ノーストリリア

主要人物

ロッド・マクバン:主人公。ノーストリリアの地主一族の息子。親は死亡している。
ク・メル:猫人の女性。政府に仕えている
イ・テレケリ:鳥人の老人。地下の下級民のリーダー

舞台
遥かな未来。世界一金持ちだが敢えて質素な生活を送る惑星ノーストリリアと、母なる地球。

 

レタスを食べる猫を見ろ。

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↓粗筋開始(白文字)↓

惑星ノーストリリアは風土病にかかった羊から取れる不老長寿の薬を全宇宙に販売することで莫大な富を得ていたが、精神の退廃を防ぐために他の惑星との貿易に莫大な関税をかけ、貧しいと言えるほど質素な生活を続けている。その自律心は人口の抑制にも働いていた。子供達はある一定の年齢に達すると成人判定としてその精神状態を調べられ、惑星にとって有益と認められないと安楽死させる制度となっている。

主人公のロッドは普通のノーストリリア人とは異なり、テレパシーが使えないので障害者とみなされていた。彼は今までに3度成人判定を保留され、子供の体に戻されて人生のやり直しをしていた。彼を密かに愛する娘や親族達に送り出されて4度目の判定を受けた彼はついに成人判定に合格する。

 

しかしその直後、ロッドは自分の命がオンセックに狙われているのを知る。オンセックはロッドの最初の子供時代での幼馴染で、不老長寿薬が効かない体質。それを恨みつつ老人となったオンセックは昔ロッドにいじられていたことを憎んで復讐しようとしていた。

実際に殺されそうになったロッドは一族に密かに伝わるコンピュータに対策を相談する。コンピュータはロッドの財産を担保に地球で先物取引をさせ、地球を全て買い取れるほどの大金を稼ぎ出す。一気に宇宙の重要人物となり、財産を目当てに世界中から命を狙われる立場ともなったロッドは、政府の保護のもと地球へと向かうことになる。

 

地球は人間と、その生活を維持するための奴隷、下級民と呼ばれる獣人とで成り立つ世界だった。周囲の目をごまかすため猫人の姿に変えられ、同じく猫人であるク・メルと夫婦を偽って地球を移動するうち、ロッドは下級民に対する差別を知る。ロッドはク・メルに連れられてデパートに行く。そこでは密かに老猫の精神科医が治療を行っていた。地球に来る前は手に入れた大金でなにをしたいかと聞かれて骨董品である郵便切手が欲しいと答えるような子供だったロッドは、治療で自分を見つめ直した結果、本当に必要なことは昔オンセックをいじめたことを認めて謝り、和解することだと気づく。老猫精神科医はロッドに補聴器のようにテレパシー能力を補助する道具を与え、健常者のようにテレパシー会話ができるようにする。

 

ク・メルに連れられてロッドは地下深くへと移動する。そこは下級民と呼ばれる獣人達の世界。そこでロッドは地球の現状を知る。人間は獣人達を支配して仕事をさせているつもりだが、実際には労働の仕方を忘れた人間を獣人達が支えていたのだ。人間の社会は獣人がいなくては成り立たないほどに獣人達に依存していた。しかし現状のまま獣人を使役していては、人間社会自体も破滅してしまう。使役されつつも人間を愛する獣人達のリーダーイ・テレケリはそれを防ぐため、ロッドに彼の財産を寄付して財団を設立してほしいと頼み、ロッドはそれを了承する。

 

ロッドはいつしか本当にお互い愛しあうようになったク・メルを連れてノーストリリアに戻ろうとするが、それは許可されない。代わりにロッドはク・メルと一緒に夢を見、その中で共に幸せな生活を送る。夢から覚めたロッドは財団の手続きを終え、人間の姿に戻ってノーストリリアへ帰途につく。

 

ノーストリリアに戻ったロッドは以前から自分を本当に愛してくれていた娘と結ばれて、たくましい農夫として生きていく。2人は双子の息子を成人認定へと送り出す。1人は成人認定に合格するが、もう1人は失格して安楽死されてしまう。残された息子は何故自分が選ばれてもう1人はダメなのかとロッドに問いかける。

 

↑粗筋終了(白文字)↑

誰も勝てない 華ひらく皇室文化 3/29

こないだ目白に行ったらやって無くて涙をのんだ展示、リベンジしてきた。
ここ、無料だけど日曜祝日やってないし、学校行事とかで変則的に休むから要注意だよ。

www.gakushuin.ac.jp

 

大学入口の警備員さんに、これがみたいですってポスター指さしたら行き方を教えてくれる。ついでに、このポストカードも置いてあるからもらえる。

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面白かったです。大学の一室だし無料だからそんな大したことないかなぁと思ったけど、意外とよかった。
明治時代の洋食器とボンボニエール(贈答用金平糖入れ)が中心。あと象牙細工やドレスなど。

 

こちらは、輔仁会館、要するに生協の二階にある売店で売ってるポストカード。展示の建物とは結構離れてる。

色々な形のボンボニエールがあって楽しかったです。この飛行機のやつとか、よーく見ても、どこに金平糖が入ってるのかわからないデザインも多い。素材とかまでは記載がないから気になる。
あと、結構「個人蔵」ってなってるものが多くて貴様何奴っておもったよ。だって皇室からのボンボニエールをもらえて、しかも学習院に貸せる御身分って本当になにものだよ。意外とヤフオクに出てるけど、ヤフオクで買った人は学習院資料館とつながりないだろうしなぁ。
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食器の展示もけっこうある。晩さん会を再現したテーブルセットがよい。
イギリスのミントンに発注した食器や、それが割れたりして足りなくなったからと日本でそっくりに作った食器。デザインや細工は本当にそっくり精巧なのだけれど、発色がやっぱりオリジナルの方が綺麗だった(最初の画像、ピンクのカップなど)。釉薬の配合とかは企業秘密なのだろうなぁ。
このかわいいくまちゃんや天使は、爪楊枝立てとのことです。
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鹿鳴館で実際に出された料理のメニュー表!
わたし、こういうのマジ大好き。大興奮ですよ。
しかしこのメニュー肉ばっかりだね。
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今回目玉の一つとして展示されていたのが、この碁盤型のボンボニエール。
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徳仁親王、現皇太子が一般の七五三にあたる着袴の儀を行った際、記念に配られたものだそうです。

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実際の写真も飾られているし、何より本人がこの時どういう状況でどんな気持ちで、というコメントを寄せている。

資料館の研究室、めっちゃ皇族関わってるじゃん~~~~
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これはもう他の博物館とかかなわないよね。だって、当人からの証言付きだもんね、この資料館。
なんかすげえもん見たなぁと思いました。

【 感想文】ノーストリリア

書籍データ

今日の猫。ツーショット撮り忘れ
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面白かった。人類補完機構というシリーズの一部だけと、第1巻じゃなかったからこれから読み始めたの失敗かな~って思った。独立した物語だからこれだけ読んでもわかるし面白いけど、取りこぼしないかなと気にはなる。
 

王道の行きて帰りし物語。少年が生まれ故郷を離れて旅に出て、少し大人になって帰ってくる。その中にSF要素を詰め込んで、過酷な環境で朴訥な農夫達の世界から、サイバーパンクな大都市、そして宗教的指導者の支配する地下ゲリラ世界と、舞台を鮮やかに移して進む物語は鮮やかで実に面白い。

基本的に主人公を追っていくスタイルなのだが、時折第三者の様子がカットインされたり、妙に詩が多かったりするのが面白い。序章であっさりストーリーの骨子を明らかにし「お話はそれだけだ」と言い切るのも昔話を語り出すようで良かった。本当にそれだけの物語を、それでもしっかり読ませる自信があるのだろう。そして現実にわかっていて読んだ本が面白いのだからすごいなぁと思う。

 

各キャラクターたちがとても魅力的で良い。刊行年は相当前だけど、古さを感じさせずサクサク読める。細かいところは放りっぱなしなとこもあるけど、まぁ全てを説明するのが小説ではないし。

結構面白くてよかった。

【粗筋】 藤子・F・不二雄大全集 SF・異色短編1

何の関係もなく猫。

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↓粗筋開始(白文字)↓

ミノタウロスの皿

宇宙飛行士が遭難した星は人間にそっくりなウスを牛にそっくりなズン類が支配する世界。といってもウス達は迫害されるわけではなく、愛玩用・使役用・そして食用と大切に愛情を持って育てられている。
宇宙飛行士が出会ったのウスは食用に育てられた美しい少女。次の祭りで神にささげられる生贄として殺され、皆に食べられることが決まっている。それを喜び誇りとする少女と、なんとかそれを食い止めようと奮闘する宇宙飛行士。ウス達と何度も交渉するが誰からも理解を得られず、結局少女はうれしそうに調理場へと運ばれて行く。
なすすべもなくそれを見つめていた宇宙飛行士は地球に戻り、一人ビフテキをかみしめる。

 

カイケツ小池さん

正義の人を自認する小池さん。世の中の様々な不正や不道徳に憤りを覚えて各所に抗議をまき散らすが、周りからは冷たい目で見られている。ハレンチな番組を流すテレビ局に抗議の電話を入れるも、周囲からうるさいとクレームが入ったり。
ある日唐突に小池さんはスーパーマンのような不思議な力を手に入れる。彼はその力を使って、目についた悪党たちを私的に罰するようになる。ちょっとした犯罪で撲殺してしまったりとその行動には限度が無い。
前から目を付けていた美女の家を手に入れた力で透視していた彼は、彼女が年上男性の妾をしていることに気づいてしまう。そのことに怒りを覚えた小池さんは「世界を破滅させることだってできるんだぞ!」と叫ぶ。そこに野球のボールが飛んできて…というところで唐突に終わる。


ボノム=底抜けさん=

職場の同僚男性を誘いだした男性が、同僚があまりに人がよいのを嘆き始める。底抜けに人のよい同僚はそれに付け込まれ、さまざまな不都合を被っている。不倫中の女性が恋人をかばうために夫をだまし、同僚を不倫相手と勘違いさせて殴られたこともある。
なぜそこまでされても怒らないのかと皆に聞かれた同僚は、「人がすることはすべて遺伝子のせいで、本人のせいではない」と達観したことを言う。周り中が同僚を怒らせようと躍起になるも、嫌な顔一つしない彼は、懐から一枚の写真を取り出す。写っていたのは妻と、先ほどの不倫女性の夫。慰謝料だなんだとまとわりつかれて家に押し掛けられたものの、今では家族のように感じているという。まるでキリストの再来だと言われた同僚はいい気分で家に帰るが、中に入ろうとして妻と男が布団でいちゃついているのに気づく。
しかし自分が真の人格者だと思う彼はそっと家を出、新しい遺伝子の誕生を邪魔しないように外で過ごす。※オチの解釈はいろいろ取れそう


じじぬき

息子夫婦と孫と同居している妻を亡くした偏屈な老人。彼は他の家族からうとまれている。幼い孫がトランプのババ抜きを「じじぬき」だと教えられているなど、その対応はあからさまだ。家族へのあてつけで雨の中釣りに出かけた老人は、風邪をひいて死んでしまう。あの世で妻と再会した老人は自分の葬式の様子を見て、家族が自分に冷たくしたことを後悔していることを知る。
喜び勇んで生き返った彼は家族に歓迎されるものの、すぐにまた邪険にされるようになる。あのとき死んでいればよかったのに、とあからさまに態度に出されてショックを受け……というところで我に帰る老人。生き返った後のことは、「もし生き返ったらこうなる」というシミュレーションだったのだ。老人は生き返ることをやめ、あの世で妻と暮らしていくことにする。


わが子・スーパーマン

父親が遊びに行く幼い息子の後をつけるが、見失ってしまう。ヒーローもののドラマに夢中なわが子が家を空けているとき、悪人を狙った暴行事件が起きているのに気づいた父親は、もしや自分の子供が犯人ではないかと不安に思う。
一体普段何をしているのかとなかなか答えようとしない子供を問い詰めると、暴行犯としか思えない答えが返ってくる。暴行犯が着ていたというヒーローの衣装を息子が隠し持っていたことに気付き、愕然とする父親。息子がヒーローものドラマの悪役の住所を知ったことに気づき、役者に警告の電話をかけるがいたずらと思って取り合ってもらえない。しかし役者は家が爆発して死亡してしまう…
報道ではガス爆発と発表され、父親はやはり息子のせいではないのでは?と思う。


気楽に殺ろうよ

平凡なサラリーマン。気分が悪くなった彼が気づくと、世界が少しおかしくなっている。周りの人は皆いつもと同じに見えるのに、なぜか性欲は子供の前でも堂々とあけっぴろげに見せるのに、食欲ははしたないこととしてコソコソ食事をしている。そのため街中に飲食店は存在しない。また、子どもを一人産んだら人間を一人殺してもいいことになっていて、出産も殺人も平然と行われている。サラリーマンは今までとのギャップに悩むが精神科を受診し、医者と話し合って結果現状の性欲肯定食欲否定の世界に順応できるようになる。
同僚が自分を殺そうとしていることに気付いた彼は、逆に自分が相手を殺してやろうとする。翌日決行することを心に決め、眠りに就いた彼は朝気分が悪い事に気づく。しかしその程度の体調不良でせっかくの決心を鈍らせることもなく、包丁を持って出ける。彼は町中に飲食店が再び現れていることに気づいていない。


アチタが見える

幼い少女を持つ両親は、娘に予知能力があるのではないかと疑っている。家にやってきた同僚が少女に会うと、彼女は同僚が車に轢かれる絵を描いて渡す。それを気にした同僚は車を避けようと出社もせず家に引きこもるが、車が突っ込んできて轢き殺されてしまう。
少女は[パパとママの絵が描けた」と両親に絵を渡すが、そこに描かれているのは明らかに現在の両親とは似ても似つかない姿である。


劇画・オバQ

大人になった正太のところに、オバQが訪ねてくる。結婚し家庭を持った正太の家に居候するオバQだが、正太の妻に迷惑がられていることに気づく。久しぶりに昔の仲間で集まり飲み会を開き、子ども時代の思い出話に花が咲き、みんなでずっと子供のまま自由でいるんだと盛り上がる。翌日妻に妊娠を告げられた正太は大喜びし、昨日の決心など忘れてしまう。オバQは親となる正太がもはや子どもではないことに気づき、その家を後にする。


イヤなイヤなイヤな奴

長期航路についている宇宙船。乗組員たちはストレスからかいがみ合い、一触即発の雰囲気が漂っている。その中でも特に性格が悪い男はなぜか他の乗組員の部屋を盗聴し、全員の不満をあおるような行動ばかりとっている。目的地到着まで数日のところでついに全員の不満が爆発し、男を排除しようとする動きが出るが、彼は船の自縛操作を盾に立てこもる…
しかし航海終了後、彼はとがめられることもなく船のオーナー会社の上役と平然と会話している。実は彼は「共通の敵があるとき人間は結束する」という心理を利用してトラブルを防ぐ「憎まれ屋」だったのだ。仕事を終え、彼はまた新しい任務に就く。


休日のガンマン

宿屋に泊る西部の荒くれ者…だがどこか様子がおかしい。ここは西部劇をテーマにした遊園地。客はギャングたちの紛争をし、やられ役のスタッフを倒してストレスを発散するのだ。友人と遊びに来た男性は日ごろとは違う世界を楽しもうとするが、持ち前の不器用さもあってどうにも様にならない。この世界で暴れるのも活躍するのも結局は料金次第で世知辛い。
友人と金を出しあって人気アトラクション銀行強盗をしようとするが、友人の客である金持ちにその機会も奪われてしまう。我慢の限界に達した男性は金持ちと決闘をするが、実力でも敗れてしまう。なんともしまりの悪いまま西部劇の世界に浸った休日は終わりを迎える。


定年退食

人口が増えすぎた世界。食糧不足のため一定年齢以上の人間は医療が受けられず、食料も支給されない。近づくそのリミットに備え、老人は食料を節約し、健康を心掛けて生きている。
ある日何の前触れもなくその規定年齢が引き下げられ、老人は食料を手に入れることができなくなる。憤る友人に対し、老人は自分たちの席はもうどこにもないのだと若者に席を譲り、達観した様子。


権敷無妾付き

なんのとりえもない中年男性に、ある日ラブレターが届く。妻からはいたずらだろうと笑われるが、もしかしたらと指定された公園に行くも、誰も現れない。
格安の家が手に入るとのチラシを見て男性は現地に赴くが、そこにも何もない。二度も騙されたと怒る男性のもとに、あやしいセールスマンが現れる。セールスマンは愛と自由に飢える男性に妾付きの家を売り込もうとする。最初は信じない男性だが、もし本当妾候補の女性に説教しようと指定された家に行く。
果たしてそこには美女が待っており、かいがいしく世話をしてくれる。こんな商売はやめるんだと説得すると彼女は男性に本当に一目ぼれしたのだと涙を流す。もう騙されまいと家を飛び出した男性は、もし彼女の言葉が本当なら?と思い、もう一度彼女がいる家に戻っていく。
しかし中を覗くと彼女とサラリーマンが男性をだませなかったことを悔しがっており、また騙されていたのだと気づく。男性は自分の家に戻り、平凡な日常が一番だと自分に言い聞かせる。


ミラクルマン

嫌われ者の上司が死んだ。同僚と一緒に葬式に出た男性は、同僚が上司を超能力で殺したと思っていることを打ち明けられる。自分の人生があまりにうまく行きすぎていると訴える同僚は、妻との馴れ初めも奇跡のようなものだと訴える。それを聞いた妻は、実は死んだ上司にもてあそばれたショックで同僚と付き合い始めたのだと打ち明ける。ひと悶着あるものの愛を確かめ合った妻と同僚。それを見て安心する男性を同僚は雨の中家へと送っていく。「ここに地下鉄があればいいのに。トンネルを掘って鉄道会社に寄付したい」と冗談を言うと、本当にトンネルが見つかる。それは同僚の超能力なのでは?と男性は疑うが、同僚はつきものが落ちたかのようにただの偶然だと笑い飛ばす。
実際には本当に神様から奇跡の力を授けられていたのだが、結局気付かないままなのだ。


ノスタル爺

戦争から帰ってきた男性。長い間離れているうちに故郷の村はダムの底に沈み、出征前に形だけの結婚式を行った妻も亡くなっている。せめてダムの近くまで行こうと山を歩くうち、故郷の蔵に聞違い爺さんが監禁されていたことを思い出す。
故郷や愛していた妻を思いながら山を下ると、既に存在しないはずの村にたどりつき、目の前にまだ幼い妻が姿を見せる。動揺して彼女を抱きしめた男性は不審者として取り押さえられる。未来から来たという彼の話を誰も信じない。村から離れないと言い張る男性は、蔵の中に監禁されることになる。外から聞こえてくる幼い妻やかつての自分の声を聞き、失ったものを取り戻した男性はうれし涙を流す。


コロリころげた木の根っ子

小説家から何とか原稿を回収しようとする出版社の若手社員。何とか早く仕事を終えて帰ろうと小説家をせっつくものの、遊んでばかりでまったく何も書こうとしない。
小説家の家から帰れない若手社員は、小説家が妻をひどく乱暴に扱うことにへきえきとする。しかし奇妙なことにも気づく。何度片付けても階段の上の廊下には酒の空き瓶が転がり、くみ取りトイレにはタバコ用かマッチが置いてある。
小説家は、やっと次回作の構想を話しだす。夫に虐げられた妻が夫を事故死させようとする話だ。しかし階段から足を踏み外すよう廊下に瓶を置く、などといった事故の状況が、小説家の家の様子に酷似していることに若手社員は気づく。そして彼は小説家の妻が死亡事故の新聞記事を集めているのにも気づく。瓶もマッチも、小説家を事故死させようとする試みだったのだ。


間引き

人口が増えすぎた世界。食事は基本的に配給制で、食券がなくなれば自分で手に入れなければならない。食券は常に不足している。巨大なコインロッカーセンターの管理人を務める男のもとに、記者がやってくる。コインロッカーに赤ん坊を捨てる若者が増えているのをうけ、その現場を取材したいのだという。熱く奮闘する記者を前に、管理人はさめた顔。あまり捨てられる赤ん坊の数が多くて麻痺しているのだ。記者はこんな世知辛い世の中になったのは、人口が増えすぎて人間から愛が失われたからではないかと語り出す。いつか人口が適正値まで下がったら、愛が復活するのではないかと。

記者が帰った後、最近冷たい管理人の妻が弁当を持って現れる。彼女の愛が戻ったかと喜ぶ管理人だが、弁当に混入された毒で殺されてしまう。金の代わりに食券を遺族に渡す生命保険をかけられていたのだ。

 
安らぎの館

大企業の社長。使えない跡取り息子、社内派閥のいさかいにストレスをためている。
友人に勧められた風俗のようなストレス解消サービスを試してみようと店へ向かう。
そこで客は子供のような服を着て、自分が子供のように感じる比率の家具の部屋で童心に戻るのだ。店に勤める巨人症の女に母と子として甘やかされるうち、彼はストレスが消えて行き真の癒しを感じる。
現実世界は厳しく、派閥争いで息子が反旗を翻しく―データーを起こす。慌てる重役たちが対策を求めるが、すっかり童心に戻ってしまった社長は「おかあちゃんにメーッ!てしてもらう」といって店へと向かう。


↑粗筋終了(白文字)↑

お金持ちすごい ピカソ展 3/21

池袋東武デパートでお茶休憩をした後。なんかやってるらしいから行ってみようぜ~程度に訪れた美術画廊。
池袋のデパートは割としっかりした画廊をやっている印象だよ。

ピカソの展示販売をしていた。
ピカソの説明はいいよね、みんな知ってるし。

 

「貧しき食事」

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ピカソを有名にした一枚。リトグラフかな、知ってたけど実物(版画だけと)は初めて見た。
まだキュビズムが始まっていない、それでもただの写実からははみ出した、縦長に強調された画面。食事、といいつつ空の皿。目線を合わせずに寄り添う二人はそんな状況でも愛を感じさせる。

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顔 No.197
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500個作成されたという皿。
限定とはいえ500あるということは、手書きではないです。ピカソが作ったものを、許可された職人が複製しているのだそうです。
だからまぁ公式レプリカってこと?のびのびと自由な絵ではありますが、相当高かった…

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想像の中の肖像 27.3.69 Ⅳ
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確かリトグラフ
ピカソが段ボールをキャンパスに見立てて描いたという絵。さらりと描かれています。
色づかいがかわいらしい。なんか、ニチアサの悪役キャラみたい。

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ピカソが好きか嫌いかと聞かれたら返答に困る。だって、ピカソって時代によって作風すっごい違うじゃん。
個人的に、キュビズムの頃はいまいちだなぁって思っています。歴史的に価値はあるだろうけれど、絵画としては好みじゃない。
初期と晩年の作品が好き。特に、牛がいい。

 これな(アフィだけど売り切れ)

しかし驚いたのが、売れてたことですよ。
開催初日だったんだけど、四百万円の作品が売れてた。どひゃー!
値段がわかったのがそれだけで、他の作品も結構売れてたよ。売れたやつは値段隠してたけど。

 

これは完全に好みの問題なんだけどさ、複製に四百万ねぇって思っちゃう。
直筆画だったらまぁそれだけの価値があると思うならあるんだろうけれど、複製だぜ。
クオリティの差はあるんだろうけど、私はどうせ複製ならもっと手頃なアートポスターとかが欲しいぜ。

【感想文】藤子・F・不二雄大全集 SF・異色短編集 1

書籍データ

今日の猫です。

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猫は漫画を読まない

 

 

ミノタウロスの皿

すごく有名な話。食べるものと食べられるものが逆転した世界で、人間は何をどう感じるのだろうかという思考実験のような話。
実際自分だったらどう思うだろ?と考えるんだけど。
私は動物がかなり好きで、牛も豚も可愛いなと思う。小学生の頃、同級生の家では牛を半分ペットとして飼っていてすごいなと思った記憶がある。子牛を買ってきて庭(農家さんで大地主さんでした)で飼い、ある程度大きくなったら食肉として売るんだって。
かわいがっていた牛がいなくなるって、子どもだった同級生は何とも思わなかったのかなぁ。畜産業者としてたくさん飼っているうちの一頭じゃなくて、かわいがってるたった一匹の子牛、どういう気持ちで接していたんだろう。

 

カイケツ小池さん

オチがよくわからない。最後のコマのボールってなんだろう。本当はあと数ページ続くんじゃないの?って感じ。
この話はスーパーデラックスマンに続くそうなので、これで完全にキレた小池さんがスーパーデラックスマンになるのかも。スーパーデラックスマンの名前は小池さん違うぞと突っ込みが入った。確かにそうだった。続編じゃなくてリブートね。読み込みが足りない。*1だとしたらなおさらわからんな。


ボノム=底抜けさん=

いまいち面白くない。深読みしようと思えばできるけど、作者はどの程度意図しているのだろうか?神様みたいにいい人ではあるけれど、まわりをとことん見下しているようにも読めるし、そう思うことで本当は気づいている惨めな自分を認めていないのかもしれない。
ストーリーとしてあまり面白くない。 


じじぬき

邪険にされる爺さんの話。よくあるストーリーだなって思う。

 

わが子・スーパーマン

カイケツ小池さんが子どもだったらという感じ。無邪気な正義。

 

気楽に殺ろうよ

面白かった。ひねりが聞いたブラックジョーク。
こういうのも野暮だけど、生命の営みである生殖を肯定してるのと同時に、殺人を肯定してるのはちょっと矛盾してるんじゃないかなと思わなくもない。テンポがいい。

 

アチタが見える

面白かった。ありがちと言えばありがちだが、表現がよい。最後、これからどうなるんだろうなぁって思わせるものがある。


劇画・オバQ

つまらなかった。まぁありがちだね、以上のものはない。

 

イヤなイヤなイヤな奴

これもありがちな設定だけど面白かった。先は読めるけど緊迫感がある。オールドSF短編の趣がある。


休日のガンマン

世知辛いなぁ。ちょっと画面がごちゃごちゃして読みづらい。詰め込み過ぎな印象。


定年退食

これと間引きって話がテイストが似ていてどっちだっけってなる。
全体に未来は人口が増えすぎている、という設定の話が多くて時代だなぁって思う。今じゃ少子高齢化で、未来を描こうとすると人口不足の世界になってしまう。
食料をくれないなら安楽死制度が欲しいな。


権敷無妾付き

タイトルがちょっと変わってるけど、当時の不動産用語で「権利金・敷金無し」の意味らしい。騙され騙される男の悲哀。人間正直に生きるのが一番だよ。

 

ミラクルマン

またスーパーマンもの。全体に暗い感じであんまり好きじゃない。

 

ノスタル爺

すごく有名な話。せつないと言えばせつないけれど、もっと他にできることがあるんじゃないかな。自由の身のままでいて女の子を戦後助けるとかさ。

 

コロリころげた木の根っ子

星新一風味。嫌な旦那と無気力な妻の逆転が面白い。


間引き

コインロッカーの管理人ってなんだろう。昔はいたのかな。それとも未来だからいるって設定なのかな。似たような話が多くてまたかってなっちゃうから短編集はいまいちだ。

 

安らぎの館

幼児退行でリラックスするってのがなんか感情移入できない…あのサービスを勧めたのも陰謀の一部だったのかしらね。

 

総括 

短編の感想ってネタばれなしだとどうしても短文になってしまうなぁ。
面白い話とそうでもない話が半々って感じ。時代と、壮年男性向けってのもあるのかな。
だけどもうこれは古典といっていいレベルだし、なんというか漫画界の教養レベルな気がするから読んでおくべきだと思う。

*1:言い訳:なんというか、本や映画でもそうなんだけど人物名あんま認識できないんだよな…「探偵」とか「女詐欺師」とか、役だけわかってればいいって思ってしまう。