白くてかわいい トム・サックス:店舗体験
お久しぶりねのトム・サックス。
新宿伊勢丹で無料展示だっていうから物のついでに見てきちゃった。
美術展だから6階だろと何も考えずに上ったら何もなくてあれーってなった。2階のイベントフロアだよ。
今回は白を基調としたベニヤっぽい板の作品が多かった。相変わらず作品名はない。そして撮影可否も書いていない。でも白いダボシャツのお兄さんや全身黒のお姉さんがバシバシ写真撮っていてスタッフも何も言わないからOKなんだろう。
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SPACE HARDWAREと書いてあります。
これ好き。単純に面白いよね。
各色の鉛筆と、鉛筆削りとしてのナイフが仰々しくセットされた器具。ひもで結ばれ、金具で止められ、取り外しはできても離れないようにしている。
だって、無重力空間ではその辺に置いた鉛筆がどっか行っちゃうから。
”一方ロシアは鉛筆を使った”って感じがしてとてもいいね。
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真っ白に塗られた板で構成された星条旗。
ああ、すごくトム・サックスっぽい。現代アートの文脈に沿っているお手本のような作品。
これは本歌取りの作品です。承前ってやつ。
これを鑑賞するには、まずジャスパー・ジョーンズのフラッグを見ていないといけない。
これね。
このジャスパー・ジョーンズの作品の何がアートか、現代アートとしての転換点だったかというと、「旗のある風景を描いた絵画」ではなく、「旗そのものを描いた、表現した絵画」である点なわけです。
普通、旗を描いてくださいって言ったら、紙にまず長方形の枠線を書いてしまうだろう。リアルさを出すためにはためかせてしまうかもしれないし、勢いづいて旗竿まで書いてしまうかもしれない。
それをジャスパー・ジョーンズはスペースいっぱい使って旗そのもののみを表現した。なんていうことだ、その発想はなかった新しい。
ていうのがリンク先の「フラッグ」の歴史的な話。
そしてトム・サックスはそれを再構築している。
パクリっていうな。
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すごくかわいいけど、これがなぜアートなのか。子供の描いた絵と何が違うのか。
その問いは、ピカソの絵を指して「子供の絵のようだ」というのと似ているかもしれない。
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チェスの駒に足をつけてロボットみたいにした作品。今にも白のナイトが動き出しそう。かわいい。
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これいいですね。ワンダイム、10セント硬貨を使用したバーベル。
かわいい。単純にかわいい。
お金の価値の重さを表してるのかなぁと思った。とてつもなく重いような、指先でひょいと動かせるほど軽いような、そんな動的な価値。
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動画作品もあったけど、たぶんそれは事前申込制。
さらっと見るのも楽しいから新宿行ったらのぞいてみるといいです。
あと、伊勢丹新宿3階、5階、メンズ館8階のカフェはいいぞ。