なぜ怖いのか考えてみるべきではある ICCオープン・スペース2019 別の見方で 5/24
久々にICCに来た。
ここはハイテクを利用したインスタレーションが中心の展示で、低額OR無料で見学できる最高の場所だ。
でも、何か知んないけど、毎回怖い作品が多い!
シンスンベク・キムヨンフン「ノンフェイシャル・ポートレイト」
シンスンベク・キムヨンフンは画家にある個人の肖像画を、「完成した肖像画が人工知能に顔として認識できないように」という条件に従って描くように依頼した。
という作品。手前のテーブルは、制作風景の再現です。カメラで作成中の肖像画を確認し、顔認識が人の顔を検知するとアラートを上げる仕組みだそうです。
実に面白い。最高に面白い。
ただ、こういうのって取りまとめた人の作品になるのがなんか腑に落ちないなぁって。
個々の絵を描いた人の功績はどうなるんだろう…まぁ納得して依頼受けているんだろうけど。
これとか好き。
こういうぼんやりした雰囲気の絵も好き。
なるほど、こうすれば認識されないんだなぁって方法も個人差があって面白い。
描き込みをあいまいにしたり、一色だけを使って筆の跡だけで描いたり。肖像画の上にいっぱい落書きをして認識されないようにしたやつはずるくね?って思った。
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梅田宏明「kinesis #3 - dissolving field」
これ、写真で見てもわからないよね……すごかったんだけど。
パノラマ使ってぐるっと一周撮ってみたけどわかんないよね…
暗い部屋に入ると、出口から係の人が入ってきて説明をしてくれる。
中にいる人の動きをセンサーで識別して、床と壁2面(入口と出口を除く)に表示されたドットが動くという仕組み。
公式サイトの画像の方がまだ分かりやすいかなぁ。一人では撮影難しいよね。動いている人と、それが巻き起こす動きとを同時に撮影しないと何が何やらだもの。
でも、体験としては一人で見たほうが楽しいと思う。他の誰でもなく、自分が巻き起こす渦に飲み込まれる感じはものすごく恐ろしく、クラクラめまいがする。
エドガー・アラン・ポーの「メエルシュトレエムに呑まれて」みたいな感じ。
この仕組みを使った舞台芸術もあるそうです。見てみたい。前衛なんだろうか。
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青柳菜摘「彼女の権利——フランケンシュタインによるトルコ人,あるいは現代のプロメテウス」
怖いよ!これマジで怖いよ!!
1770年にヴォルフガング・フォン・ケンペレンによって作られた自動チェス人形「トルコ人(The Turk)」と,1818年にメアリー・シェリーが19歳の時に産み出したフランケンシュタインの怪物の物語に関するリサーチをもとにした作品です。
というわけで、チェス盤をイメージした作品があったり、棋譜のようなものがあったり、サイコロのようなものがあったり。暗い部屋にいような音が響き渡るなか意味深なオブジェが多数。
怖いよ!
奥まで進むと、鉛筆を持ち何かを書き続ける手の映像が。謎の音はこの鉛筆の音でした。ってわかったところで怖いよ!子ども泣くよ!
嫌いじゃないです。好きです。でも怖いマジ怖い。
ケンペレンの「トルコ人」やフランケンシュタインの怪物の物語は,彼らが生み出した創造物が,創造主の思惑を超えていってしまうことの隠喩であるとも言えるでしょう.
というのはわかる。この映像は創造で、それがどんどんずれて行く様を表しているんだろうなってのもわかる。
でも怖いんだな~
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尾焼津早織 「ハイパーフレーミング・コミック」
「コマ割り」という概念を飛び出した漫画。
これは、内側から外側へと読む漫画。
これは、時計回りに読む漫画。
これは、同時並行で読む漫画。
ストーリーは敢えてわかりにくくぼんやりと描かれている。
たぶんだけど、宇宙の果て、サルガッソー的なエアスポットにある、惑星。
その惑星に住んでいるのは一人だけ、というよりおそらくは「惑星」自体が生命体。
そこに遭難してくる宇宙人たちは「惑星」に歓迎されるものの、「惑星」の寿命には程遠い限りある命しか持たない彼らは、「惑星」を残して死んでゆく。
という話だと思います。「惑星」の孤独と、遭難者たちは果たして食事などの生命維持に必要な支援をちゃんと受けることができたのだろうか?という疑問と、空恐ろしさのある話。
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全体的に怖かったけど面白かった。
撮影禁止作品では
ICC | 《toki- NUMBERS #01》 - 後藤映則 (2017)
ICC | 《ENERGY #01》 - 後藤映則 (2017)
が面白かったよ。
今回も時間かかりそうな奴&予約いる奴は体験できなかったから、できたらまた行ってみたい。