お金持ち公民館 港区立郷土歴史館 8/18
白金高輪駅近く、港区の区民会館的なところに行ってきました。でけぇ。
もとは国立の公衆衛生病院だったそうです。中にはカフェがあったり歴史資料館があったり、図書室があったりします。
でもどうやらほとんどの部屋は閉じられて利用していない模様。
職員の人は使ってるのかな?お盆で人が少なかっただけかもですが、人の気配がなかったです。
駅数分の位置にこんなでかい土地を遊ばせておくなんて、なんてお金持ちなんだ港区……
入口にパンフレットがあって、歴史建造物として残っている個所の効率的な回り方が分かりやすく示されています。
講堂。大学みたいね。老朽化の問題でしょう、椅子は使用禁止。
どこもかっこよくてすごいです。
一角には歴史資料館的な部屋がありました。剥製や化石、土器があって、すごいことに全部触れるとのこと。
港区にかつてあった、浅野セメントの創設者、浅野総一郎邸で使用されていたステンドグラス。細工が細かい。
氷冷式冷蔵庫。見たことはあるけど、触ったのは初めて。
えっ、クジラの髭ってこんななの?板じゃん。
この板を削り出して作った櫛などもありました。
港区はお金持ちでいいなぁと思うのと同時に、これを維持するだけの税金よ!とか考えてしまう私は貧乏性でいけません。
文化の保全もまずは資本。
ポストカードくださいったらください。 太田喜二郎と藤井厚二ー日本の光を追い求めた画家と建築家 8/17
目黒区美術館に行ってきた。ここは坂をひたすら下って行った先にあるので、行きはよいよい帰りは恐いである。東京の坂はマジきつい。
Wikipediaには太田喜二郎のページがなかった。藤井厚二のページはあったけど写真がないので今回は割愛する。
共に明治~大正時代の人です。太田は黒田清輝に師事し、他の生徒がフランスなどに留学する中で黒田に勧められベルギーへと留学し、エミール・クラウスのもとで点描を学びます。
クラウスは光に非常に強いこだわりを持っており、対象をあえて逆光においてその影を描くことで光を表現したりしていたそうです。
「どうしてもクラウスのように書けなくて、自分の目には先天的な欠陥があるのかと悩んだ」
というエピソードが紹介されており、なんかわかるよそれ…って思った。
そうやって点描をマスターした太田は帰国後、日本の風景を点描で描き始めます。しかしそのうち点描を放棄し、新しい洋画を作り出すのです。
やっぱり国によって光って違って、表現するにふさわしい方法も違うんだろうね。
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太田喜二郎「風景」
すごくいい絵だと思います。木々のリズム、光と影の対比、木洩れ日。強烈な光に白茶けた木の肌。どこまでも続く小川。
からりと涼しく強烈な夏の世界。こういうところに行きたいなぁと素直に思います。
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太田喜二郎「雪の朝」
1枚だけ写真撮影可能でした。印象派のお手本のような絵。
この聖堂の絵を季節を変え時間を変え、何度も描いていたそうです。そういう描き方も、印象派っぽい。
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太田喜二郎「樹陰」
留学時代に描かれたものは、本当にきれいです。点描と言いつつも筆の方向がそろっているわけでもないし筆致も細かいので、そんなにザ・点描みたいな感じはしないです。
けれど澄んだ色が並べられると光の強烈さ、グラデーションのないきっちり塗り分けられたような世界が違和感なく受け入れられる。
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太田喜二郎「田植」
なんだけど、日本に戻ってから風景を描いた点描は、全然魅力ないんだよね…なんか、違和感がすごい。なんだろうな。人の服の色が濃いから点描画法でうまく表現できないのかな。水田なんだけど、水の感じとか全然わからない。
世界全体が明るく、リアルに白飛びしているような世界しかこの画法は合わないのかもしれない。どぎつい色は似合わないのかな。
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と、ここまで見たらこの点描を放棄した後の「新しい洋画」が気になるでしょう?気になるよね。
ないんだなポストカードにもチラシにも!!!
いや、チラシにないのはまだわかる。気になったら見に来てね、でしょう。私もこの話を聞いて気になって見に行ったのだから。
でもポストカードないってさぁ。
最低でも留学時代・日本での点描・点描を超えた日本洋画の3パターン出してくれよ。
というわけでもやもやしたあなたは、こちらへどうぞ
ウェイの巣窟 mirror ball 8/17
新宿で飯でも食うべなとイケイケスポットのサナギに来てみたのだけれど、時間帯のせいかご飯売ってなかった。悲しい。タピオカドリンクで腹を膨らませたくはない。
店の一角に写真展示がされていましたよ、と。普通にその壁の前にお客さんいるからゆっくり見ることはできないのだけれど。
まず東西南北天地を6面写真にとり、部屋の壁、天井、床に張り付ける。その中にミラーボールをつるして、さらに写真を撮ったものだそうです。面白いことを考えるねぇ。
ミラーボールの中には、本来見えるはずのないカメラの後ろ側が映るのが面白い。
カメラ自体は写っていないみたいだけど、どうなんだろうか?合成で消しているのか、なんかうまいやり方があるのか。
右下SFみたいでかっこいいね。
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東京駅のKITTE
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東洋文庫ミュージアム
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銀座四丁目交差点
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公式サイトで購入可能
サイトで拡大してみるときれいでいいなぁと思うよ。
自己主張強め projectN76 末松由華利 8/10
オペラシティの常設展はいつも二つある。
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「悲しいほど似ていて、恐ろしく異なる」
切り絵のような作品。折り紙をたたんでハサミで切って、レース模様を作って遊んでいた幼稚園時代を思い出す。
右の赤いやつ、リンゴみたいなのが好き。
タイトルは狙いすぎで嫌い。
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「欠けながら満ちてゆく」
作品を見て、波に映る月だなぁと。もうすぐ朝焼けみたいだなぁと思ってタイトルを見たら、やっぱり月だった。
色合いが好き。和紙のちぎり絵みたいな、色の境目の綿のような筆跡も好き。
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「捨てるために選ぶのか」
「選ぶために捨てるのか」
対になった作品で、こうして向かい合わせで展示されている。
こうしてみると、えらい暗い美術館だな。お化け屋敷みたいだ。中にいるとそれほどでもないというか、明るい印象なんだけど。
展示方法が面白いから紹介したけど、この作品ははっきり言って嫌いです。
なんなの?こじらせてる割にベタなの?
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「雛形」
わかるようなわかんないようなやつ。これを見て、何の絵だと思うかは人によって違いそう。
私は横一列に並んだ女性像かなと思いました。制服、夏服を着た女子高生のような。
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全体に、物はいいんだけどタイトルが鼻につくなぁと思った。身もふたもない感想。
創作というのはどんなジャンルでも、思想と表現があるとは思うんですよ。これは絵画に限らず、小説とかダンスとかでもそう。出力結果の裏には何を表現したいかという主義主張がある。
けどさぁ。
どんな創作でも、その思想が見え透いているものは好きじゃない。押し付けてくるものは鼻につき癇に障る。
趣味の問題かもしれないけれど、私は好きじゃない。
全部無題にすればいいのに。
見にくさがひどい 池田良二の仕事 8/10
ジュリアン・オピーのついでに所蔵品展。これは撮影不可だった。
正直すごく見づらかった…背景とあまり差のない淡い色のインクで細かい文字や写真が刷られているリトグラフなのだけれど、あまりにも繊細なその絵が、額のガラスに反射した光でぜんっぜん!見えないの。つらい。
もう少し視認性を考えてほしい。展示作業中にわかるだろうよ。
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「Window under the midnight sun 白夜の窓」
左右対称の、写真と詩を組み合わせたロールシャッハ検査のような作品群の一つ。
最初に書いた理由により詩は読めないよ!
どれも廃墟のような写真で、厨二心をくすぐる。
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「グレン・グールド」
雑誌の表示用に描かれた著名人の肖像画シリーズ。画家や音楽家が多く、その人の業績をイメージした作品が良かった。
パンフに載っていたこの人の音楽は知らないのだけれど、もし知っていたらより楽しめるのだろうなぁと思う。
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「Reduction 還元」
詩と、古代遺跡のような写真との組み合わせシリーズ。
かっこいいし、この質感と色使いとが相まって時代を感じる。錆が浮いたかのようなこの斑点が、遺跡ごと風化しそうだ。
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と、ざっくりした感想からお判りでしょうが、正直ようわからんかった。
見えないんだもん。本当に。
企画展のおまけとして軽く見る分にはまだ我慢できるけど、こっちが目当てで来ていたらブチ切れてると思う。
どうにかしてくれ。
薄味は結構好き ジュリアン・オピー 8/10
1週間ガッツリ夏休みをしていたし、それが終わったら仕事が死にそうだ。
初台にジュリアン・オピーを見に行きました。結構前だけど。
このポスターをみて行ったわけですよ。
「あぁミニマルデザインね。いいよねスッキリ都会的で結構好きだな」と思って軽い気持ちで出かけたんですよ。
手前(水色)「Walking in Boston 3」
中(クリーム色)「Walking in New York 1」
奥(オレンジ)「Jada Teresa Yasmin Julian 2」(動画作品)
でっけぇ。
いや、ちょっとまじ?てくらい、でっけぇ。
粗めの布のようなものにペタペタ貼ってある。塗装した木材、とのこと。
木の質感が全くない。角が丸いし、ウレタンでくるんでるのかな?とか思った。
なんというか、作業したての後が全くないのがいい。
巨大な作品は、巨大なだけで良さがだいぶあると思う。
これだけでかくて、 製作者の手の後が極力消されていると、なんか人の手によるものじゃないような気がしてくる。人知を超えたもののような気がする。なんというか、神話時代のもののような気がする。
ストーンヘンジとか、大仏とか、モアイ像とか。でっかいものにはそういう効果がある。
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こちらも十分でっかい、プラスチック板を重ね合わせたような作品。テカテカ。
首がないのが浮遊感あっていいよな。
「Headphones」
これ好きです。顔が全く見えないやつ。なんか、私の仲間のような気がして。
「Tatoo」
これはすごい。何がすごいって、タトゥーの部分がすごい。
黒いプラバンに各色のプラバンを重ねて張り付けた作品で、タトゥーの部分も印刷ではなくきっちり細かいパーツを正確に貼り込んでいる。
見事だなぁと思う。
ピカピカのプラスチックだから反対側に展示されている作品が映り込むのもまた良い。
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「Walking in London」
動画作品たくさんあった。
直方体の四方をディスプレイにして、歩く人を映し出している 。これだけデフォルメしても歩き方には性格が現れるのがいいし、角を通るときに映像がぐにょんってなるのが好き。
各面に一人ずつ表示される白黒バージョンもあって、それも好き。
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「Valley」
アルミニウムに自転車用塗料を塗ったものだそうです。完全にマットで、塗装ではなく染付のようだ。
横から見ると結構各層が厚い。
遠くにいる鳥は穴で、近くを飛ぶ鳥は貼り付けで表現されているのが面白いと思う。
これほしいなぁと思うけど、これってでっかいことによる良さがかなりあるから一般家庭には難しいよね(そもそもお金がない
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「Crows」
こちらも動画作品。電光掲示板で、歩いたり足元をついばんだりするカラスが見れる。かわいい。
元は公園の地面の上に設置してあるものらしい。
これを見て本物のカラスはどう思うのかな。
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会場に流れている音楽もよかった。
ただ、作品がでかいし会場が狭いので、展示作品は少ない。割とすぐ見終わってしまってちょっと物足りない。しかし作品をいっぱい展示したらよさが失われてしまうし、この広すぎるくらいの間隔がいいんだよなぁと思うと難しい。たまには上階も使って展示してもいいんだぞ。
あと、見終わってグッズ売り場のぞいたらクッソ高くてびっくりした。
レンチキュラーでWalking inシリーズのようなポストカードがあったのでちょっとほしいなと手に取ってみたら、5400円だったのでびびってすぐ元に戻した。
他の人もみんな手に取って裏の値札見てすぐ戻すって作業していて面白かった。
図録も高かったなぁ。
【ネタバレ感想】二壜の調味料
書籍データ
- タイトル:二壜の調味料
- 作者:ロード ダンセイニ
- 訳者: 小林 晋
- お勧め度:★★★★
今日の猫
- 二壜の調味料
- スラッガー巡査の射殺
- スコットランド・ヤードの敵
- 第二戦線
- 二人の暗殺者
- クリークブルートの変装
- 賭博場のカモ
- 手がかり
- 一度でたくさん
- 疑惑の殺人
- 給仕の物語
- 商売敵
- ラウンド・ポンドの海賊
- 不運の犠牲者
- 新しい名人
- 新しい殺人法
- 復讐の物語
- 演説
- 消えた科学者
- 書かれざるスリラー
- ラヴァンコアにて
- 豆畑にて
- 死番虫
- 稲妻の殺人
- ネザビー・ガーデンズの殺人
- アテーナーの楯
26本もあるし、それぞれとても短い話なので粗筋は省略。なんというか、5分間ミステリみたいな本です。すごく短いあっと言わせるトリックではあるけど、冷静に考えると穴だらけのミステリー。
例えば
男性と同居の女性が行方不明になった。と同時に、その男性は菜食主義になった。彼の家は見張られているけれど女性の死体を含めて何の証拠も見つからない。なぜか。
↓
男性は女性を殺し、その死体を食べていた。そのため野菜は買うが肉は買わなくなった。
って、骨はどうしたの?家を見張ってて、料理中の煙まで確認しておいて、肉が焼けてる匂いわからないの?
とある警官が殺された。犯人は向かいの建物から二階の警官の部屋に拳銃を打ち込んで殺したと捜査の結果わかったが、誰も警官の部屋に入ってないのに拳銃の弾が見つからない。なぜか。
↓
氷の弾丸を使ったので、溶けた。
って、まともに飛ぶかどうか怪しいし体内が水浸しになるのでは?
みたいな。まぁ最後の話は見た人を石に変えるというギリシャ神話のゴルゴンの首が出てきたりするので、リアリティはどうでもいいのでしょう。
1~9がナムヌモシリーズです。スメザーズという助手役とリンリーという探偵役の、ホームズみたいなノリの話。文体が独特で面白いです。
トリックとしては「死番虫」が面白かった。また、「演説」というのが古典イギリスならではだなぁという面白さ。
総じて楽しめました。
あーっ!お猫様おやめください!!!