人の金で美術館に行きたい+読

美術館に行った話とか猫の話とかします。美術館に呼んでほしい。あと濫読の記録。




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同名多数 中村屋サロン「花」3/16

中村屋サロン美術館に行ってきた。

www.nakamuraya.co.jp

 

多分あんま知られていないところだと思う。
カレーで有名な新宿中村屋は、昔から芸術家をサポートしてきた歴史があり、今でも新宿駅東口すぐの本社ビルにギャラリーがあるのだ。
ノブレスオブリージュとでもいうべきこうした活動は年々衰退している。以前は隣にはニコンギャラリーが昔あったのだが閉鎖されてしまった。
ここも正直ものすごく小さい美術館というのも微妙なギャラリーなのだが、たまに面白いものをやっている。それに安い。

今回は、Share-Artというサイトのチケットプレゼントに当選したので行ってみたのだ。

www.share-art.jp

有名どころのチケットはほぼほぼ当たらないが、小さいところやマイナーなものは意外と当たる。今まで3回くらいチケット貰って行ったことがある。

 

というわけで、今回は新恵 美佐子展「花」の方。

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このポスター見て入ったらいきなり墨絵だったので、話が違うよベイベー!って思った(あんま墨絵好きじゃない)

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そんでね、この人の絵ほぼ同じタイトルだけどね。マジやめた方がいい。
意図的にやってるんだろうけどさぁ、まず「花」ってタイトル。SEO対策ができていない。このタイトルの絵いくつあると思ってるの。
「花Ⅰ」「花Ⅱ」てさぁ、どの絵がいいとか4より5の方がいいとかそういう話をしろっていうの?どれがどれだかわかんなくない?
もっと個体識別できる名前にしてほしいよ。
「あれよかった~花Ⅸ!」「どれだよ」ってなるじゃんかよ。

 

パンフにあるやつから2個紹介

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「花漂」

f:id:minnagi:20180317171352j:imageこれはそれほどぐっと来なかったな。

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「firework」

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これはよかった。小さめの作品だけど、ぼぅっと夢のようだし、あやしげな人を引き込む感覚がある。

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画像が無い中で手元のメモには「花Ⅸがカマキリのようで良い」「紀行Ⅳが水に浮かぶ花でよい」とあるけど。わかんないよね。

吉祥画」としてガネーシャやお猿さんを描いた小さい作品群があったけど、すごくかわいくてよかったです。
この人の作品はカラーの方が好きだ。

 

そんで、メインビジュアルに使われてるかもしれない(色もモチーフも似た作品が多くて正直見分けがつかないが)「揺籃」というとても大きな作品がよかった。
まるで医療系のCGのような作品。自分が小さくなって花の中に潜っていくような、脳細胞の中を漂うような、それでいてスピード感のある美しい絵だった。迫力もすごかった。

 

画像検索すると綺麗だよ

新恵 美佐子 - Google 検索

 

あちこち行ってはいるのだが、なかなか情報の整理まで手が回らないでいる。

深海と空の青 ルドン-秘密の花園 3/4

三菱一号館に、去年から楽しみにしていたルドンを見に行きました。

ルドンー秘密の花園|三菱一号館美術館(東京・丸の内)

 

ルドンについては何度か書いているので詳細は省く。

世界の薄闇の中で オディロン・ルドン - 人の金で美術館に行きたい

彼の作品は白黒のほうがインパクトがあってメジャーだと思うのだけれど、今回はカラー作品がメインの展示になっている。それも、花や木といった植物をモチーフにしたものが多く集められている。

 

もともとフランスの田舎で育ったこと
メインで師事した恩師が樹木を描くように指導したこと
画業の方向性を決定付けた年上の友人、アルマン・クラヴォーが植物学者だったこと
そういった関係から、樹木や花は彼にとって特別なモチーフとなっているようだ。

 

今回は三菱一号館が所有するグラン・ブーケを含む「ドムシー男爵の食堂装飾」が着ていたりして、どちらかというと私的なコレクション向けの絵画で知られているルドンの大きな壁画を見ることができるというのも特筆すべき点だろう。
普段見ることのすくないルドンの一面を見ることができるのだ。 

図録だけアマゾンで買うこともできるよ。

 

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 『 起源 』 II. おそらく花の中に最初の視覚が試みられた

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植物学者であるアルマン・クラヴォーの影響をうかがわせる作品。ダーウィン種の起源が発表された頃の作品で、「起源」というタイトルから当時の人はすぐに進化論を連想しただろうということ。

信仰と科学の過渡期、世界の秘密が少しずつ解明されて減っていく時代。

神秘がそのベールをほんの少しだけ持ち上げて誘う様は、耐え難く蠱惑的だったことだろう。

 

このタイトルが凄く良い。今は消えてしまった、ありえたかもしれない世界を思わせる。

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『 夜 』 Ⅴ. 巫女たちは待っていた

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この絵を見ると、そしてこの絵の姉妹たちとでもいうべき巫女達の絵を見ると、私はいつも「十人の乙女たちの例え」を思い出す。

油を用意して花婿を待つ、賢い乙女たちの物語が描かれているわけではないし、ルドンはそれほどキリスト教に傾倒していたわけではないのでおそらくは違うのだろうけれど。タイトルも巫女だし。

闇に沈む神殿の中で、所在無げな彼女たちは何を待っているのだろうか。

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「 花:ひなげしとマーガレット」

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これは習作のようです。

「不確かなものの傍らには確かなものを置いてごらん」とカミーユ・コローに助言されたルドンはその教えを守り、不思議な現実感の作品。生み出しています。

その為に樹木や花々のデッサンも行なっているのですが、明らかに我慢してやっているというか、途中で辛くなっているのが見て取れて面白いです。

この作品は完成度がとても高い。ケシの花の鮮やかさも、花瓶の艶も、溶け込むような世界も素晴らしいと思う。

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「瞳を閉じて」

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ルドンは油絵もよく書いているのだけれど、不思議に乾いて艶のない質感で、ぱっと見だとパステルのように見えるのが特徴だ。

左側の白い花の部分などは絵の具を出してそのままチョンと盛り上げたようで、乾いてひび割れてさえいる。

このざらりとした質感が、鮮やかでいながら乾いた世界が、粉っぽく風化した古の世界のような、リアリティとは全く別の現実感を産んでいる。

すぐそばにあるのに手に触れない感じ、全く別の世界の風景になっている。

 

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「若き日の仏陀

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こちらはパステル画。今回は絵画にアクセントとして使われる赤について繰り返し解説がされていたが、この赤を効果的にするのは当然ながらルドンの世界の大部分を占める深く鮮やかな青だ。

物販コーナーにフランスのメーカーのパステルが売っていて、その青色がまさにルドンの青で、なんて美しいんだろうと思ったのですが。チョークの1/4位のサイズで何千円もして買えねーよバカ!ってなった。

たぶん、ラピスラズリを使ったウルトラマリンなんでしょうね…綺麗だね…高いね…そういえば、ルドンって割と金持ちのボンボンだったっけね……

 

ルドンはキリストの絵も何枚も書いているのですが、仏陀の絵もまた多く描いています。ちょうどジャポニスムが流行しだした頃で、西洋の宗教とは違う独特の世界観に惹かれたのでしょう。未だ王子の頃の、世界の悲しみを憂うシッダールダは彼の世界観によく合っているような気もします。

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「花とナナカマドの実」

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ドムシー男爵の食堂装飾の中で一番気に入った絵。上下はあってます。

ナナカマドの実がゆったりと浮遊する不思議な空間。

ヨーロッパの室内装飾は部屋の使用目的と密接にリンクしていることが多いです。食堂には果物などの食品を、魚を盛るための皿には魚をデザインするのがヨーロピアンセンスです。

でもこの食堂装飾は「何か」の絵ではないようです。樹木が、花々が、人や天使が描かれてはいるけれど、それが何を示しているわけでもない。元々ルドンの絵はイメージの固定を嫌うけれど、この装飾はその傾向が強いように思う。花が描かれているからと言って、花の絵ではないような気がする。

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「グラン・ブーケ( 大きな花束)」

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三菱一号館所有の絵画。

ドムシー男爵の食堂装飾のうち現在伝わる16枚のうちこれだけが日本にあり、残りは全てオルセー美術館にあります。

……オルセーに譲ってやれよ、そうしたら元の組み合わせで常設展示できるだろうよ、と思わなくもない。でもそうしたら日本でこれが見れない。いっそ残り全部三菱一号館が買い取って常設展示して欲しい。

大きな花瓶に活けられた花々、という題材としては一般的なもの。けれど画面からは重力が感じられず、全て花瓶からゆっくり浮かび上がり、どこかへ漂っていく直前のように見える。

陸の植物ではあるけど、全て深海の不思議な生き物のように見える。絵画であるけれど、何も固定されず何も約束していないように見える。

だからこの絵画はいくら見ていても見飽きない。

 

食堂の配置再現した部屋もありました。撮影可能。

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もう一回くらい見に行ってもいいなぁ。

えねるぎっしゅ FACE2018 3/2

例によって時間が余ると行くところ、損保ジャパン美術館。

www.sjnk-museum.org

 

毎年やっているらしい公募コンクールの受賞者展。6回目だそうだけれどみるのは初めてです。

 

入ってすぐの入り口のところに講評が張ってあったけど、絵を見る前に言われてもなって思った。XX氏のXXな画風はXXだが~とか言われても、どんなん???ってなるじゃん。最後のほうがいいんじゃないかな。

 

大きい作品ばかりだった。そして、なんかベタな作品が多かった。
厨二っぽさとか、奇抜な感じ、キャッチー名感じを狙ってるのが多く感じたけれど、「ああ、あるよねこういう厨二感」ってかんじ。
普通に正統派のやつも、「うんうん、こういう正当派絵画よくみる」って思った。

ベタなことは悪いことではないし、全部が沿うってことは多分審査員の趣味なんだろうな。
でもなんかこう、もう一歩突き抜けてほしいよなって思った。

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工藤千紘 「還る」

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こういう画風、ハードカバー本の表紙でたまに見る(偏見

安定感のある構図で、シンプルだけど色がとてもきれい。

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松浦清晴 「アプスーの上のマルドゥク

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アプスーまたはアプス(apsû、abzu)は、シュメール神話・アッカド神話において存在していたと伝えられる、地底の淡水の海のこと

マルドゥクMarduk、マルドゥーク、マルドゥック)は、古代メソポタミア神話の特にバビロニア神話などに登場する男神

(By ウィキペディア

 

シュメール?メソポタミア?神話のことは全く知らない。ちゃんと本を探すべきか。
タイトルを素直に解釈するならば、「海の上の最高神」だろうけれど、これは神話画ではないだろうからあまり気にしなくていいだろう。

 

個性的なキャラクター、画面の大きさもあって荒々しいが割りと好きだ。

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山田紫郎 「screen」

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大きな紙に鉛筆でひたすらカケアミした作品。
これでいいの?ときかれれば、これがいいのだ!と答えよう。

何が描かれているわけでもないが、なんかいい。カケアミの帯から離れて散らばるところもいい。ポストカードあったらほしい。

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木俣創志 「木漏れ日」

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これ、なんだろうねぇ。かなり分厚く重ねられた絵の具の隙間から漏れるオレンジの光。力強く、美しいよねぇ。
黒いところがビロードのように艶のない真っ黒で、触ったらふさふさしているのではないかと思うくらい。

 

絵画ってさ、もちろんダメなんだけど、めっちゃ触りたくなる。どんな質感なんだろう、どれだけのだったの強さなんだろう。そう言うのが気になってしかたなくなる。

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松井亜希子 「Blood circulates through the body」

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首都高のリトグラフ

この展示では人気投票をしていたので、どれにしようか迷ってこれにしました。リトグラフ好きなんだよねー。

力強くて好き。

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公募展ということで、決して似た絵が多いわけではないのだけれど、テイストが近い絵が多いなーと思った。
あと、とにかくアピールしなきゃななんだろうね、サイズも大きいしぐいぐい来る感じが強い。
なんか意外なのだけど、日本画系の絵にいいのが多いと思ったよ。今回あげてないけど。

現代絵画、なかなかいいね。

クンストカンマーほしい ルドルフ2世の驚異の世界展 2/24

土曜日に渋谷文化村でみてきた。神聖ローマ帝国皇帝ルドルフ2世の驚異の世界展。

 

www.bunkamura.co.jp

本当は日曜日にルドンを見ようよということになっていたのだが、日曜日くそ寒いという天気予報を受けて、土曜日に映画を見た帰りに流れで見た。
ルドンに行きたかったけど、まぁこっちも行くつもりだったし。

ルドルフ2世というのは神聖ローマ帝国ローマ皇帝であり、ローマ王であり、ハンガリー王であり、ボヘミア王である人だ。それぞれの在位期間は完全に一致するわけではないのだが、16世紀当時のヨーロッパに置いて一番偉い人だった、といっても間違いではないだろう。

政治には興味が無かったという彼が金と権力にあかせて集めたコレクション、なかなか見ごたえのある作品ばかりだ。
個人コレクションは似たり寄ったりになりがちだが、多分母数が多いのだろう、それなりに傾向はあるけれど見あきるほどの類似性は感じられない。
そして何より、趣味がいいのが最高だ。

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ジュゼッペ・アルチンボルド「ウェルトゥムヌスとしての皇帝ルドルフ2世像」

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去年、アルチンボルト展がやっていたよね。彼が宮廷画家として仕えたのがルドルフ2世だと言えば時代がわかりやすいかもしれない。
率直に言うとアルチンボルトはあまり好みではない(から去年は見なかった)けれど、実物を見るとやっぱりうまいなぁと思う。特にこれは最高傑作と言っていい。
様々な素材の組み合わせ方もうまいし、一つ一つの表現も見事だけれど全体として調和していてちゃんと肖像画として成立している。

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作者不詳「四季のうち春」f:id:minnagi:20180227205533j:image

アルチンボルトが人気で、多分あのスタイルがはやったんでしょうね。でもこれは…
こちらはルドルフ2世ではなくフエスターハージーパウル1世のコレクション。
無理やり色だけで描き集めたから形はめちゃくちゃだし全部が全部同じ濃さでどぎついから人物画として成立していない。
ていうか、単純に怖い。特に口が怖い。なんでこんなにしちゃったの。

アルチンボルトは偉大だなぁって思った。
アイディア勝負の同工異曲ばっかじゃなかったな。このスタイル難しいんだな。

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マテイス・コック「擬人化された風景」f:id:minnagi:20180227205448j:image

一見、さらっと描かれた風景画。でも「擬人化された」とあるし横向にすると羽根の生えた修道士が現れるという解説付き。だけれどみんな首をひねっていた絵。
横、というか斜めにするとわかりやすい。f:id:minnagi:20180227205458j:imageトンスラの鼻が高いおじいさんが現れます。

本当は修道服を着ないでケルビムみたいに首から直で羽が生えているみたいなこと書かれていたけど、イメージしづらいだろうから服を着せてみた。

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フランチェスコ・マッツォーラのコピー 「神話画」

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弓を削り出すキューピッド。コピーとはいうけれど、なかなか美しい絵です。
構図が面白くて、主役の足の間から顔をのぞかせるもう2人の子供がなかなかいい顔をしている。

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ディルク・ド・クワード・ファン・ラーフェステイン 「ルドルフ2世の治世の寓意」f:id:minnagi:20180227205524j:image

図録によると

皇帝は戦争の神マルスに扮してトルコ軍を押しとどめている。
学問の女神が半裸の女性、角をもつ豊穣の女神、剣を持つ正義の女神、鳩を伴う平和の女神を皇帝から遠ざけようとしている。
平和の象徴であるオリーブの葉をもつ皇帝の鷲は、正義と学問につながれている。
とのこと。マルスに扮してるって珍しいかな。あまり人気のある神様じゃないよね。政治や戦争に頑張る王様でもないと思うけど。

 

敵国であるトルコ人を追い出しているのはわかるけれど、豊穣・正義・平和を皇帝から遠ざけるってなんだろうね。別に来て欲しいじゃんね。
女神たちが慕ってきて国は豊かだけれど、そういう安寧さには流されず自立した皇帝であるとでもいうのかしら。

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 作者不詳 「人魚の付いた貝の杯」

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写真壊滅だけど、工芸品。貝の形を上手に使っていてすごいなぁと思った。
この時代はこういう細かい細工をした器がたくさんあって、塩や香辛料入れとしても使っていたとのこと。

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ルーラント・サーフェリー「動物に音楽を奏でるオルフェウスf:id:minnagi:20180227205542j:image

錬金術にも興味を持っていたというルドルフ2世のコレクションには、たくさんのはく製もあったのだとか。そして、異国の獣も飼育されていたのだとか。
そういう見慣れない生き物たちを描いた作品。
オルフェウスはほぼ背景と同化して、よく見ないとどこにいるかもわからない程度にしか描かれていません。
この絵は画家の、そしてそれを擁護する皇帝の知識の豊かさ、財力の見事さを誇示するための絵画でもあるでしょう。

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ヤン・ファン・ケッセル「ヨーロッパの寓意」f:id:minnagi:20180227205545j:image

『愛好家の陳列室』コレクション画と呼ばれたりする絵画です。
いわばカタログのようなもの。コレクターのもつ逸品を一枚の絵に多数配置して、その豊かさを誇るものです。

中央の花瓶の絵などはこの時代に流行したスタイルです。

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ルドルフ2世の説明として「誰もがわかるテーマと見せかけて、わかる人にしかわからないものが好み」と書いてあって「それオタクじゃん!」って思った。それ、明らかに「めんどくさいオタク」じゃん!!!

彼は居城の半分を絵画や彫刻のコレクションルームにして、自分の寝室からそちらに行く通路に珍品貴品を集めたクンストカンマー、”驚異の小部屋”をしつらえたそうです。
すごく楽しかっただろうなぁ。私もクンストカンマーが欲しいなぁ。
現代のクンストカンマーと呼べるのは実は東京駅丸の内にある。

INTERMEDIATHEQUE

剥製や骨格標本、鉱物標本などが所狭しと並ぶこの展示はまさに”驚異”の名にふさわしい。

無料だから、是非とも東京お寄りの際はお勧めしたいもんです。

私が馬鹿でした

ツイッターですごくいい!というツイートが回ってきたから、買っちゃったんだよね。しかも近所の本屋にないからアマゾンで。赤坂離宮好きだし。

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 率直めっちゃがっかりした。

まず、すっごい薄い。分冊百科とはいえ40ページほどの雑誌が680円かぁって感じ。

そして開いてみると、現れる空海の書。

あれ?と思って表示を確認すると、確かに今週号は空海の風信帖と迎賓館赤坂離宮の二本立て。とはいえ表紙がメイン特集じゃないってすごくがっかりした。

そして、半分は風信帖てことは、迎賓館に割かれているページは大体15ページ。すくねぇ。

内容もすごい浅い。全部知ってることだった。迎賓館に見学に行ったらパネル展示されていることしか書いてないっていうか、それより少ない。写真はそりゃ他ゲストいないし綺麗だけど、目新しい構図なし。普段非公開の部分の写真とかゼロ。

個人的に、普段はちらっとしか見えない正面玄関入って階段上がったところにある青空の天井画がすごくすき(だけどちゃんと見れたことはない悲しみ)なんだけど、当然カケラも載ってなかった。

 

ていうか風信帖に興味ないのに買ったのが悪いかも知んないけどさ。国宝って美術的価値より歴史的価値で決まるもんで、おまけに書道好きじゃないからもう全然で。

 

そもそも分冊百科なんて内容浅いとわかってるの買っちゃったのが悪いっていうか、やっぱ本は書店で内容確認して買わないとダメだよねっていうか。

ああ、なんで買っちゃったんだろ。どうせならもっとちゃんとした本探せばよかったのに。

 

というわけでがっかり日記。迎賓館赤坂離宮には2回ほど行ったことがあるので、そのうち写真探して出してみる。いつか正面玄関を通りたい。

5つ星 クインテットⅣ 2/14

 水曜日に用事があって半休を取ったものの、用事自体は時間かからないから暇になって見に行った。東郷青児記念損保ジャパン日本興亜美術館で、クインテットⅣ。

www.sjnk-museum.org

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撮影可能、会場こんな感じ。平日の昼だというのにそこそこの人出。

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船井美佐 「Hole/桃源郷/境界/絵画/眼底」

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鏡を切り取った作品。写り込む世界や床への反射も含めてきれい。
壁一面に飛ぶ鳥の形の鏡がちりばめられて、とても開放感がある。

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船井美佐 「nirvana 猫椿」

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シンプルな線の一筆書きのような世界の中に、さまざまな生き物たちが重なり合っている。こんな極楽のような絵画作品がいくつも展示されています。
天国じゃなくて極楽な感じ。

そういえば全然テイスト違うけれど、私も子供のころこんな風にひたすら線がつながっていくような落書きをしていたなぁとふと思い出した。

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竹中美幸 「何処でもないどこか(巡る雫)」

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透明感がメインの作品を多く出している人。これは雲を描いた絵画の上に紙?を重ね、額縁のガラス部分にアクリルで雨粒を表現している。
他にも絵画とアクリルを重ねたり、35mmカラーフィルムに色を焼き付けて重ね合わせたりといった作品が美しい。

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竹中美幸 「外側の気配」(上)/「内側の気配」(下)

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普通の絵画も透明感がある。自然のうごめきを思わせる作品だ。春の気配を感じる冬や、梅雨時期の生命の爆発である夏を息をひそめて待ちわびている感じ。

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青木恵美子 「PRESENCE No39」

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アクリルの厚い板の裏とぐるりに塗料を塗った作品。
これを見たおばあさんが「え?なにこれ?」と連れと戸惑っているのが面白かった。その発言聞いたら、作者さん喜ぶんじゃないかなぁw
ミニマルな抽象画と言っていいけれど、アクリルの表面は当然いろいろなものを映し出すのでそれが面白い。黒背景のバージョンもあって、より鏡像感が強くてよかったのだけれど、他鑑賞者さんが写り込むので写真は秘蔵。

例えばこれなんかはぶっちゃけアイディア勝負なところがあって、これを見てイイネと思った私がホムセンで材料をそろえて全く同じものを作ろうと思えば作れるものだ。
個人的に楽しむだけならば、自分だけであっさり複製作品を作ることができるし、正直その複製とオリジナルとの際はほとんどないだろう。
けれどなぜ私は写真を撮るだけで複製品を作らないのかなぁと考えながら見ていました。
モンドリアンの抽象だって、適当な作品の写真を手に入れて各部のサイズを測れば誰だって同じものが作れるわけじゃないですか。原色しか使ってないんだから。なのになんで複製には価値が無いのか、と。

アウラがどうとか芸術性がどうとか難しいことは置いておいて、私がそれをしない理由は、ただ単純に摸作品を見るたびに「これオリジナルじゃなくて自分でまねしたんだよなぁ」ってちょっとがっかりした気分に毎回なりそうだからです。
ただそれだけです。

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青木恵美子 「INFINITY Blue No6」

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 キャンバスに花弁を貼り付けて、その上から着色した作品。立体感は横から見ると相当ある。
同系列の作品、類似色の作品もあるけれど、多分メインビジュアルに使われているのはこれだと思う。迫力あるけどあんまり見ると疲れちゃうかな。逆に、もっとびっしり花があってもいいと思う。

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青木恵美子 「Blue flower」

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こちらの絵画作品の方が好き。大きな画面に滲むような深い色。見ているとゆったりした気持ちになる。沈み込むような、よく眠れそうな感じ。タイトルは花だけれど、赤とか他の色の作品でも深海を連想する。

 

今回は写真撮影可能で、最近の傾向として現代作家さんの展示の場合は撮影可能なことが多い気がする。作家さんもSNSとかで話題になって欲しいんだろうね。

そんで、以前は撮影可能展示には普通のカメラを持って行ってたんだけれど……なんか最近音が煩いとか撮影しすぎとか色々言われるようになってしまいました。
画質もまあまあだし、こうして簡単に補正して出すことを考えるとアイフォンの無音カメラアプリを使うのがいいのかなぁ。でもせっかくカメラあるのにもったいないなぁ。でもデジカメ正直重いよなぁ。
などと考えています。最適解は何だろう。

心の余裕は懐の余裕 平山郁夫「楽園」

携帯を忘れました。

というわけで、はてなの下書きに放置していたものから1つ。

丸ノ内線銀座駅改札近くにあるステンドグラスです。

平山郁夫 「楽園」

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銀座のオアシスというちょっとしたイベントスペースに設置されているステンドグラスです。
地下街を歩いていてこのステンドグラスが目に飛び込んでくると、ぱっと華やかな気持ちになります。
鮮やかな赤色が磨かれた床や天井に反射して、とても美しいものです。

 

銀座の街にはこれ以外にもたくさんの芸術作品が展示されています。
このステンドグラスそばのギャラリースペースとか、
中央通りから昭和通り側に行く地下街の十二支像とか、
GGG向かいの重文クラスですよね?という古さのビルとか、
ちょっと足を延ばして日本橋の街灯とか。
各ブランドビルのショーウィンドウなども趣向を凝らしていて興味深いですが、公共施設も優雅にデザインされているものが多いです。

金か!税金がいっぱい入ってくるのか!収益がすごいんだなこの野郎!!!!