アンティークカップ買ったった
新宿の伊勢丹で、イギリス展というのをやっていまして。
基本現代イギリスで、多少現代作家のポスターとか売っているくらいで美術品は大したことなかったのですが。
蚤の市的な感じでアンティークを扱っているお店がいくつかありまして。
買っちゃった。買っちゃったよ!!
いやね、アンティークカップって、意外と安いのよ。少なくともデパートで買えるランクのは。
そりゃ有名メーカー(ロイヤルウースターとか)やもっと豪華なものはお高いけれど、こちらは1万数千円。というのが高いか安いかは人によって違うと思うけれど、実は有名メーカーの新品を買うのと値段は変わりません。だったらアンティーク買っても別にいいかなぁ。一つくらい本ものを手に入れてもいい年なんじゃないかなぁと思いました。
ウェッジウッドのジャスパーとか、これより高いからね?お皿1枚しかついてこないくせに!!
Shellyというメーカーのアンティーク・ティーカップトリオ。
ティーカップ、受け皿、ケーキ皿のセットです。
バックスタンプはこんな感じ。
お店ではそこまで詳しい情報なかったので調べたら、eBayでの取り扱いを発見。
eBayだからいつまで情報あるかわかんないけど。
商品名は”SHELLEY c.1921 GAINSBOROUGH SWALLOW & PINK BLOSSOM CABINET TRIO”
1921年製造。GAINSBOROUGH というのがカップの形。CABINET TRIOってのは3点セット、かな。
私から見ると「スズメと梅の花」なのだけれど商品名は「ツバメとピンクの花」になっています。
1921年といえばアール・デコの時代。まさにダウントン・アビーの世界です。
シノワズリからのジャポネスムも下火になった、というより一般化して特筆すべきでもない普通の様式の一部になった時代。ことさら日本風の花だから価値があるというわけでもないのでしょう。
この枝の形はどう見ても日本風だけどね。
黒い部分はおそらくプリントでしょう。円がずれた部分を手でつないだ様子が見えます(正面左)そこに手彩色をしているようです。
理屈はいいんだ。かわいい。鳥さんかわいい。それでいいじゃないか。
調子に乗ってコレクションしたい気持ちはありますが、そこまでお金持ちじゃないからなぁ。カップ沢山あっても仕方ないしなぁ。
とりあえず、割らないように気をつけます。
(以前コレクターズアイテムだけど神奈川県公式晩餐会で使用したというシェリーグラスを割っちゃった前科あり)
……って、1921年製ならまだ96年しかたっていないね。
一応”アンティーク”の目安は"製造後100年"なので、まだコレクターズアイテムでした。
とりあえず、あと4年は割らないように頑張ります(4年超えても割らないぞ!)
目から心へ 表現への情熱 カンディンスキー、ルオーと色の冒険者たち
「表現への情熱 カンディンスキー、ルオーと色の冒険者たち」を汐留に見に行ってきた。
実はルオーはそれほど好きじゃないんだけど、ポスターに使われているカンディンスキーの絵が結構好みだったので行ってみた。たまたま時間が空いて、たまたまそっちに用があったから。
ボリュームたっぷりだったよ。
この美術館は毎回降り幅の大きい展示だから予測しづらいのだけれど、好みで無いことはあってもショボイと思ったことはない。
19世紀末~20世紀初頭の絵画がものすごく好きだ。
今回の展示は「目で見たものをそのまま描く」印象派から「対象の再現ではなく画家の感情の表現を重視する」ドイツ表現主義、青騎士など、「写生や写実ではない、また、具象絵画であっても見たままのものを表現しない」抽象絵画へ。すなわち近代絵画から現代絵画への流れを見て取ることができるのではないかと思う。
特にカンディンスキーは、抽象的になりすぎて印象派を追い出された経緯なども紹介されており、画風が大きく変わっているのでこの流れが見えていいなと思う。
ルオーは元々モローに師事していたというが、余りにも画風が違いすぎてちょっと笑える。
途中で「え?この絵カンディンスキーでもルオーでもないよね?でもめっちゃ好きなにこれ??」って思った絵があって、キャプション読んだらパウル・クレーだった。
クレー好きなんだよ~好きなんだよ~~いっぱいあってうれしかった。
こういうサプライズがあったりするから、美術展情報って事前に調べない派です。
最初から知った気になっちゃうのもつまんないけど、予備知識が無くて表現されていることがわからないのもつまらない。
善し悪しだけどね。
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ワシリー・カンディンスキー「水門」1902年
まだまだ印象派風なカンディンスキー。水面の表現など、モネの睡蓮を思い出します。
けれどもまばゆい印象派の雰囲気は全くなく、低い彩度高いコントラストでどことなく不安を誘う印象です。
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ワシリー・カンディンスキー「商人たちの到着」1905年
メインビジュアルに使用されている絵。前の絵とはがらりと変わってイラストレーションといった雰囲気。黒い地に色を載せていくこういう手法、結構好きです。
結構大きい絵で、見ての通りザクザク色を載せて行っているのですが、どこまでもきっちり作り込まれています。
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参考:これは展示されてなかったけど、いわゆるカンディンスキーらしいポストカード買わなかったのでフリー画像。
ワシリー・カンディンスキー 「コンポジション VIII」 1923年
20年で変わるものだねぇって言う。
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パウル・クレー「橋の傍らの三軒の家」1922年
クレーの絵、好きなんですよねぇ。なんだかよくわからない絵だけれど、色が好き。
今回たくさん見れてラッキーでした。
この絵は何となく、キリスト降誕を思い出すんだよね。宿屋に泊まれないシーンのあたりを。
すごく温かそうな絵なんだけどね。
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最後にイベントコーナーがあって、カンディンスキーの商人たちの到着を背景に自動で写真を撮ってもらえます。
一応試してみたんだけど、これ、当日限りダウンロード可能なのね…ダウンロード忘れて受け取り損ねたよ……
自分の写真なんか欲しくないからいいんだい。
アプリの杜日記
引越し作業もだいぶ終わってきて、週末にはソファーが届きます。
ソファー!憧れのソファああああ!!!!
なのだけれど、だいぶ片付いてきた今が重要かもしれません。
見た感じ、ちゃんと片付いてはいるんですよ。でもね、みえないところがぐっちゃぐちゃなの。
例えば本棚。とりあえず棚には入れたけれどジャンルでそろってないどころか天地もめちゃくちゃ。
例えばタンス。引き出しにとりあえず突っ込んだだけでもう中身は運ぶ際にシェイクされてカオス。
こういうの、ちまちま直していかないとなんだなぁ……引越し完了は遠い。
そんな中、もう1カ月は前に割れたアイフォンをやっと買い換えられました。8になったよ。ホームボタンが押しにくくなったよ。
でも猫は最高にかわいく撮れるれると思うよ。
しかしiOsが上がったので、FrontViewという画像のゆがみを撮ってくれるアプリが使えなくなってしまったのには参りました。
撮影可能な美術館とかポストカードとか、真正面から撮るとライティングの関係で白飛びしたりするので、敢えて斜めに撮って補正したりしているのができなくなってしまって。
なので暫く調べて、無料のOffice Lensというアプリを入れてみました。
動作確認のため、敢えて斜めに写真を撮ってみます。モデルはたまたま通りかかった店のポスター。
写真を撮ってアプリに読み込ませると、自動でポスターのフチを認識。
フチの位置を自分で指定することもできます。
実行ボタンを押すとあっという間にきれいに切り抜かれる!!
……のはいいけど、随分縦長になっちゃったなぁ。FrontViewにはあった縦横比を自分で調整できる機能は無いようです。
もう少しまじめに正面から撮ると綺麗に切りぬけました。でもなぁ。正面からだと写り込みがなぁ。
まぁ無料だからいいかなと思いつつ、もう少しアプリを探してみたいところです。
絵だけを見に行こう 怖い絵展
去年から楽しみにしていた怖い絵展に行ってきました。
これ、大人気ですね。開始直後から入場1時間待ちとかだし。この元になった本が出たの結構前だと思うんだけど、PRいっぱいしているのかなぁ。
最初は10月8日、開始直後の日曜日に行こうとしたのですが、入場が80分待ちということで断念。そんなに混んでいると、館内も人が多くて見づらいしね。
翌週の月曜日、16日に行ってきたのですが、それでも入場30分待ちでした。
だって、月曜だよ?平日だよ?普通の美術館休みの日だよ?(上野の森美術館は会期中無休です)しかも、結構な雨の日だったよ?なんでこんなに混んでるんだぁ。
怖い絵展、というのは中野京子さんの書かれたそのまんま「怖い絵」という本をベースにした展示です。最初の本は2013年出版だけど、同シリーズをずっと続けてるんだなぁ。二匹目の…げふんげふん。
本の内容は正直、コンセプトは面白いのだけれど絵画について全く詳しくない人が書いているので結構トンデモです。
以前ブログに書いた[本当に怖い絵が見たい 読書感想文・ロンドン塔の王子たち]けど、絵画を前に想像力を逞しく働かせたエッセイ本(婉曲表現)になっています。
でもまぁ美術館に展示する以上は学芸員さんの監修入るから大丈夫でしょう、と思ったんだけどね。
もしかしたらあるかしら?と期待していたヴァニタスは1枚も無くてちょっと残念。まあ、あれは怖いというより寂しいといった方が正しいかもだからねぇ。
ざっくりした感想を言うと、
・全体的にちょっと痛んでいるというか黄変している絵が多かった。
・ルドンやクリンガーなど、好きな画家のものが多くてうれしかった。
・図録に載っているのに展示されていないしパンフにもない絵が多かった。手袋の絵くらいしか会場に展示換えと明記されていなかったと思う。東京以外で表示されたのだろうか。笑う蜘蛛とか見たかった。
・元の本が雑なつくりだから心配していたのだが、解説がちょっといい加減だった。後述。
なんか文句の方が多くなったけど、混雑を乗り越えられるならとてもいい絵が多いので行って損はないと思う。
展示換えについてもう少し明確に教えてくれるなら、もう一度行ってもよいのだが。
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ポール・ドラローシュ 「レディ・ジェーン・グレイの処刑」
でっけー!!って言うのが最初の感想。額もすごいので、この絵だけ図録に額ごと載っています。
壁一面を埋め尽くす巨大な絵ですが、荒々しいところは全くなくとても丁寧に描かれています。ドレスの質感、人物描写。政治闘争に巻き込まれて政略結婚させられ、英国女王に祭り上げられるもたった9日で退位、処刑されたという幼い少女のあどけなさがよいです。何も知らなかったんだろうなぁ。彼女のドレスを手に呆然とする侍女もとてもいい。この人も処刑対象なのだろうか。
しかし絵のそばにある解説が明らかに間違っている。
中央の白い服の女性、レディ・ジェーン・グレイは既婚者なのだが、その指にある指輪を「婚約指輪」と解説している。それだけならまだ結婚指輪じゃなくて婚約指輪なの?て思う程度だが、別のコーナーでがっつり「結婚指輪」って書いちゃってるんだもの。
その程度はさぁ。統一しようぜ。
そしてこの白い服はコルセットががっつり見えていることからわかるように完璧下着なのですが、「ドレス」としちゃってるし。この絵だけじゃなく会場全体の信頼度が下がるからちゃんとして欲しい。
というわけで、解説は話半分がいいよ。
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ギリシャ神話からの物語。妻を亡くした吟遊詩人オルフェウスは一人身を貫き、それを憎まれた女たちに八つ裂きにされてしまうという物語です。
パステル画かフレスコ画のような淡い色彩だけれど油彩。
竪琴の上に置かれたオルフェウスの首は眠っているかのように穏やかで、とても好きな絵です。
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ギュスターヴ=アドルフ・モッサ 「彼女」
まるで現代のイラストレーションのようだが、1905年に作成された油彩。この作者はもう一つ「飽食のセイレーン」というのも出ていて、それとほぼ同じ顔、髪型。そしてセイレーンに対してマン・イーターという異形の殺戮者。
癖だね。うん、癖だ。作者の性癖ガンガン出てる。好きだよ、そういうの。
膝の上にいる猫の足跡が左側の死体の上にあるのもポイントが高い。
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チャールズ・シムズ 「そして妖精たちは服を持って逃げた」
この人を知ったのが結構収穫かなぁと思う。
夢の中のような物語。乱暴ではないのだけれどあいまいな筆致でぼんやりと描かれた世界の中、現世と異界戸の境界線が溶けて行く感じ。その漠然とした画面が画家の脳内の混乱を表しているようで割と怖いと思う。
空想、イマジネーションというよりは真の狂気がある感じ。
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オーブリー・ビアズリー 「章末飾り」
オスカー・ワイルドの戯曲、サロメの挿絵から最終画像。これが一番好き。仮面のどことなく中華風な奇妙な人物が好き。サロメの棺が化粧箱というのも、死体を好色に見つめるサテュロスも好き。
でもね。ワイルドの二次創作のせいでサロメちゃんがだいぶ悪役になってるのかわいそうだなって思うから、一度でいいから原作読んでほしい。全然彼女悪い子じゃないから。彼女、別に洗礼者ヨハネの首がほしかったわけでも恋をしたわけでもないから。お母さんに強要されただけだから。
該当部分だけでもいいから原作(新約聖書)読んで…→ サロメ (ヘロディアの娘) - Wikipedia
まぁそれはそれとして、この絵も好きだしワイルドのサロメも好きだ。
しかしサロメちゃんはいい子なんだ!てことは覚えていただきたい。
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エドヴァルド・ムンク 「マドンナ」
あああああああ!この絵すきいいいいいいいいい!!!!!!!
前ブログに書いたことがあるけど、これ本当に好きです。
ポストカード買っちゃった。大判のポスターとかあったら買ったけど、ちょっと質の悪い複製画(高い)しかなくて残念。
これは群馬県立近代美術館蔵ってありました。美術館公式サイトにはなぜかないけど。
版画なので、他にも大原美術館とか岐阜県美術館とか日本に何枚かあるようです。私も一枚欲しい。
何を思うのか目を閉じてたゆたうマドンナ、その美しい肌、かきあげる髪の豊かさ、それをつけ狙うとりまきと恐れのあまり近づくことも目を離すこともできない胎児の用に委縮した自分。
本当にすごいいい絵だと思う。
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結構混んでいるし、解説はいい加減だなぁと思うところもある。
しかし展示作品自体は文句なしにすごくいいからお勧めできる展示です。
ミクロの世界 驚異の超絶技巧!明治工芸から現代アートへ 三井記念美術館
火曜日に三井記念美術館の「驚異の超絶技巧!」展を見に行ったのだが、そのあと仕事が爆発に爆発を重ね、全く語る余裕がなかった。つらかった。www.mitsui-museum.jp
というわけで行ってきたんだよ。
しょっぱなからこんなパネルが貼ってあって期待が高まるね。
入ってすぐの2作品は写真撮影可能。
初代 宮川鉱山 「猫ニ花細工花瓶」
高浮彫でできた猫と花。花はすごく見事だなと思う。猫はちょっと眠り猫みたいでかわいくない。
高橋 賢悟 「origin as a human」
生花をもとに型どりして鋳造しているのだとか。細かいところまで恐ろしく忠実に再現されている。
柴田 是真 「古墨形印籠」
漆芸で作られた印籠。墨にしか見えない面白さと、表面に彫られた数々の楽器の彫刻も見事で楽しめる。触ったらどんな感じなんだろう。すごく気になる。端っこちょっと爪で削ってみたい(だめだけど)。もちろん漆だから固いのだろうけれど、本当なのかなって思う。
あと、墨!と見せかけて漆!なんだけど、さらに実は漆と見せかけて墨だったら面白いなぁ。
春田 幸彦 「優先鞄置物『反逆』」
七宝焼きで作られた鞄。
皮を剥がれ鞄にさせられた蛇が命を取り戻して人間を襲うという趣向だけれど、とてもかわいらしくてこういうカバンがあってもいいなぁと思ってしまう。
うろこの部分もだけれど、革を模した部分も素晴らしい。
本郷 真也 「暁」
カラスをかたどった自在金物。羽が動くそうだ。
今回、自在金物を実際にいくつか動かした映像も展示されていて最高だった。けれどこれは対象じゃなかったなぁ。
この黒の光沢を出すために自動車工場の廃油を使っているというのもまたカラスらしさがあってよいエピソードだなと思った。
稲崎 栄利子 「Arcadia」
ポストカードが気に入るものがなくて、図録の写真もいまいちで、買ったのがこのクリアファイル。
もうどうやって作ってるのかさっぱりわからない。
ベースに小さな陶器のパーツを張り付けては焼くということを繰り返しているらしい。
まるで深海のサンゴ礁のような美しさ。こういうのって、最初にどの程度設計をしているのだろうね。
細かいものが多くてとても楽しかった。行かれるならぜひ嘆願今日を持っていくといい。
私最初怖い絵が見たくて上野行っちゃって、ついてからまだやってないって気づいて急遽こっちに来たから持っていき忘れちゃったんだよね。ちょっと後悔している。
アップで見てもすごいなぁ。