ふわふわのモフモフがたくさん 渡辺省亭 欧米を魅了した花鳥画 4/16
藝大美術館でやっている 渡辺省亭展。迎賓館の七宝絵で有名な人ですね。
しかし「忘れられた天才」みたいな扱いになっててなんでや~って思った。
濤川惣助というあまりに有名な七宝作家の陰に隠れてしまった感じなのかね。いくら超絶技巧とはいえ下絵があるからこそだろうになぁ。
あと、帝展などに作品を全く出さず個人受注制作が中心だったことも後世に名前が残りにくい原因とのことでした。もったいな~って思うけれど、渡辺省亭自身はべつに仕事もあるし困らなかったんだろうな。本の挿絵の仕事とか、注文が多すぎて「請われて書きましたって添えてもいいなら描く」って条件つけたりしてたみたいだし。
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「牡丹に蝶の図」
メインビジュアル。やっぱすげえ。
全体としては日本画、それもしっかり本流の古典的なものなのだけれど、リアリティがすごい。
花のにじみの美しさは恐ろしいほどだし、後ろで散ってゆく花の諸行無常管、花弁の落ちる静かな時間経過表現も素晴らしい。
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「葡萄に鼠図」(部分)
鼠の作品がいくつかあってよかった。すごくふわふわでかわいい。
この作品もだけれど、基本的に動物はめっちゃ精密に写実表現がされている。まるでそこに生きているかのように。対して背景は伝統的日本画、むしろ水墨画のように表現され、稲妻のような茎の植物たちがデザインされている。
本物の動物が絵の中に迷い込んだようなファンタジーの世界を感じる。
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「鳥図(枝にとまる鳥)」
為ドガース君とありますが、印象派の巨匠ドガへプレゼントしたものだそうです。それもその場でさらさらっと描いたものなのだとか。
ちょっとしたデッサンでこれかよ~~~という気持ち。
他の絵みたいにすごい精密描写も良いですが、こういう勢いであっさり描かれたものも良いです。ポストカードなかったけど烏の絵とかめちゃくちゃよかった。
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会場入ってすぐのところに迎賓館の七宝絵の下絵が展示されていましたが、それが迎賓館の壁を模した掲示になっていて雰囲気つかめてすごくよかったです。ちなみにその絵はこれで下絵か?てくらい容赦ない描きこみで、普通の一枚絵作品くらいの緻密さだった。これを七宝にできるんか?っていう挑戦状みたいな。でもそれをちゃんと絵画と見まごう精度で仕上げてくる濤川惣助も化け物だなって思った。
印象に残ったのはこちらのサイトにもあるヒラメ図です。
古今東西、ヒラメのこのポーズ描こうと思った人おる?ていうかヒラメって生涯でこのポーズ撮ることあるの??
半分くらい入れ替わるみたいだから後期も行ってもいいかもな。