お久しぶりね 所蔵品展&印象派の女性画家展
さて、所蔵品展です。
リニューアル前、ブリジストン美術館が閉館するときに見に行ったときに見た物もちらほらあったし、その時は見なかったものもいっぱいありました。
ただ全体的に「君、どっかで会ったよね?」という作品がわりとありました。
国立西洋美術館や国立近代美術館にあるやつの下絵かな?とか、芸大美術館にあったやつのバージョン違いかな?とか言うのもあったし、単純に閉館中に他の美術館に貸し出されてましたよね?というやつもあった。ので、見たことないやつを挙げてみよう。
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オディロン・ルドン「神秘の語らい」
ルドン!私の一番好きなルドン!思いがけず出会えるとうれしくなるよね。
ポーラ美術館にあった「神秘的な対話」と同じ二人組ですね。
ルドンのためならエンヤコラ ルドン ひらかれた夢 11/23 - 人の金で美術館に行きたい+読
あの場面より少し前の時間でしょうか。ベールをかぶった女性が、もう一人を説得しているようです。考え込むかのように下を向く女性を神のしもべであるベールの聖女が連れ出して、中庭で対話を行う物語。対話を続けている二人は神学的な問答をしているというよりは、ベールの女性が相手を説得しているように見える。そうして説得が終わったら、何が起こるのだろうか。
キャンバスに油彩で描かれているけれど、色鉛筆やチョークで描かれたような乾いた質感が、壁画のような時代感を出している。好きです。
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エドゥアール・マネ「オペラ座の仮装舞踏会」
これを見てマネって気づかないよね。暗い画面に浮かび上がる色彩が、オペラ座に集う紳士淑女を描き出している。足も露わな女性の姿は仮装舞踏会だからこそなのでしょう。
下絵、というよりはたぶんスケッチと思われます。これをもとにして作られた作品がどこかにあるのかもしれません。
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クロード・モネ「睡蓮の池」
後期っぽいモネ。
モネの作品は、所蔵品展で見るのが良いです。写真撮影ができるところで見るのが良いのです。
というのも、この作品は生で見たときと、それをカメラのレンズ越しに見たときで印象ががらりと変わって驚きを感じられるからです。
この話何度もしている気がするんだけどね。モネは色彩とか筆遣いとかも素晴らしくて、直接見るとそっちに気を取られるのだけれど、立体感が本当にすごいんですよ。それがカメラのレンズを通すと一気に世界が浮かび上がって、VRみたいな3Dの世界を見ることができるのです。
出だしぶりにそれを今回体験して、やっぱすげえなって思いました。
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さて、次は所蔵品展ミニコーナー。
「印象派の女性画家展」です。数名の女性画家に焦点を当て、その作品を1つずつ紹介しています。
女性の人権が確立していたとはとても言えない時代、女性が活躍していた印象派は得意なものであったという観点です。
ただ、惜しむらくは、作品の制作年代のせいだと思うんだけどあんま印象派っぽくないんだよね……
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マリー・ブラックモン「セーヴルのテラスにて」
一番印象派的だった作品。
乾いた質感の画面は風が渦巻くかのようで、一瞬を切り取った感が強く今にも動き出しそう。
マリー・ブラックモンはアングルに師事したのち、印象派に移行した画家だそうです。
逆光のテラスの中にたたずむ三人のうち、この男性はアンリ・ファンタン=ラトゥールであるという説もあるそうです。
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エヴァ・ゴンザレス「眠り」
ロマン的な絵。ギュスターヴ・ドレを思い出す。なんだかスペインのような、南の国の風を感じる。
印象派というよりもっと現代的な感じするよね。大胆に塗り残された左下、キャンバスの質感がシーツの質感と相まって力強くも面白い効果になっています。
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何ともゴージャスな展示です。これが全部所蔵品なんだからすごいなぁ。