結構難しい世界 宇宙の卵
アーティゾン美術館の企画展その2。ヴェネチア・ビエンナーレの再構成です。
制作は下道基行さん、能作文徳さん、 服部浩之さん、石倉敏明さん、安野太郎さん。共同制作で一つの世界、神話、そして聖歌を作り上げています。
基本的に内容は同じで、サイズを90%に縮小しての展示だそうです。その代り作品制作プロセスを展示したり、英語が日本語になったり、ちょっとしたバージョンチェンジが行われています。
会場に入ると、作品を見る前にその制作プロセスが展示されています。
グループ展だからなのか、国際芸術祭だからなのか、それとも芸術というのはいつもこういうものなのか。非常に精細な計画書があることに驚きます。
会場の塗装に関してもこれだけサンプルをチェックしてやっているんだなとか。
会場に流れる聖歌のような神楽のような音楽。これが一番興味深い。でも難しい。
昔津波で打ち上げられた岩がいくつもそのまま残されているのだそうです。
東日本大震災の時に津波で打ち上げられた船などをモニュメントとして残すかどうかと言う議論があったことに触れ、モニュメントとは、人の心とはなんなのかといった考察も示されていました。
というわけで、いよいよインスタレーション作品の中に入ります。
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「宇宙の卵」
メインビジュアルの奴だ~~と思って見ると、なんだかシューシュー音がする。そして謎のチューブが大量に。チューブを追ってみると…
リコーダーにつながっている…このシリコンの指を電子制御して、中に空気を通すことで音楽という過去の作品の言うとコロン『さえずり』を実現しています。おもしろい。
ポスターではヴェネチアで観客がこのオレンジのところに座っている写真が使われていたけれど、座っていいかどうか書いてなかったな。というか、圧倒されて座るどころか触る発想すらなかった。
壁にはオリジナルの神話が彫られています。印刷ではなく、彫刻。
そして津波岩の映像が投影されている。
なんだか、不思議な世界でした。「宇宙の卵」というタイトル通りに創世の神話が語られていて、不思議な音楽が流れていて、これはこういう宗教設備なのだろうかという気持ちになる。音楽がね、本当に宗教音楽みたいなんですよ。メロディというようなメロディでもないと思うんだけれど。そこがまた。
新しい世界が生まれる様を見ているような気持ちになりました。よくわからないけどなんか荘厳でいい感じ。