お金持ちコレクション ビュールレ・コレクション 5/7
最終日に駆け込みで、ビュールレ・コレクションを見てきた。
こちら、公式サイト。
だけど正直こっちを見たほうがいい。
全64作品紹介ってどういうことやねん!主催者にしても豪華すぎるだろう!!
今回の展示はビュールレさんというドイツ人が個人的に集めた、印象派をメインとしたコレクションです。
ただ印象派を集めただけでなく、芸術的文脈を踏まえて前後の時代を集めていることや名だたる巨匠たちの、それも最高傑作と呼ばれるものも含めて集めていることで、非常に価値の高いコレクションになっています。
て言うか見たらすごい。
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1枚だけ撮影可能。
クロード・モネ「睡蓮の池、緑の反映」
モネの絶頂期が過ぎ、印象派から抽象画へと時代が移り変わって忘れ去られようとしていた時期。
今ではモネといえば当然巨匠ですし、画業の初期は苦労していましたが一時は大人気画家であったはずです。
それでも印象派が時代の最先端で無くなり、新しくフォービズムや抽象画と言ったより刺激的なジャンルが目立ち始めるにつれ、印象派は時代遅れという見方をされてしまうわけで。
何でもそうですよね。映画でも服でも、10年くらい前のものが一番やぼったくてダサイ扱い。もっと古くなってくると、レトロで良いとされてその中から傑作を拾い上げて再評価されたりする。
そんなわけでこの睡蓮は描き上げたものの大きくて受け入れ先が見つかりづらかったという背景があるようです。そこをビュールレさんがゲットしたと。
水面に浮かぶ睡蓮と、水に映り込む柳の葉と。同じ密度で描かれながらはっきりと面が交わっていて、浮かび上がるようなその効果がとても面白い絵だと思います。
ところで、今回はポストカードいいのがあったので何枚も買いました。
でも家帰って気づいたら、全部「部分」って書いてあるんだよね。
というわけでこちらがポストカード、「睡蓮の池、緑の反映」部分
色みの違いは、私がポストカードとって補正ミスっただけだから無視してください。(彩度が下がるとより水面が浮かび上がるようで面白いなと思う)
ぱっと見ではどこが欠けてるのかよくわからないんだけれど、よーく見ると右下の部分が欠けています。
中央右端の花が、本物は2つだけれどポストカードでは1つだし、右下の花の下の葉まではポストカードに収まっていない。
余白が無いデザインのポストカードだから、規格サイズの紙に押し込めたら画版サイズとは合わないんだね。
気になるほどではないともいえるけど、素直に余白を入れて欲しいな。
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ウジェーヌ・ドラクロワ「モロッコのスルタン」(部分)
東京新聞:全64作品紹介 至上の印象派展(32) ウジェーヌ・ドラクロワ「モロッコのスルタン」:至上の印象派展 ビュールレ・コレクション:イベント情報(TOKYO Web)
ドラクロワは国の外交プロジェクトお抱えの画家として、実際にモロッコに行ってスルタンに謁見したそうです。その時の思い出を基に30年後に描かれた絵がこちら。
堂々と、シンプルながら威厳に満ちた王が鮮やかに描かれています。
この絵を見たら国立西洋美術館常設展のルノワールを思い出す。
ピエール=オーギュスト・ルノワール | アルジェリア風のパリの女たち(ハーレム) | 収蔵作品 | 国立西洋美術館
20年くらい差のある絵だけど、エキゾチシズムだね。
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ピエール・オーギュスト・ルノワール「イレーヌ・カーン・ダンヴェール嬢(可愛いイレーヌ)」(部分)
東京新聞:「イレーヌ・カーン・ダンヴェール嬢(可愛いイレーヌ)」 ピエール=オーギュスト・ルノワール:至上の印象派展 ビュールレ・コレクション:イベント情報(TOKYO Web)
趣味に走らず、丁寧に描いている頃のルノワールw
かわいいよね。かわいい。すごく有名な絵だから、あれこれ解説することはないです。ただかわいい。あと、髪のリボンが魚っぽい。
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アンリ・ド・トゥールーズ=ロートレック「コンフェッティ」(部分)
東京新聞:全64作品紹介 至上の印象派展(10) アンリ・ド・トゥールーズ=ロートレック「コンフェッティ」:至上の印象派展 ビュールレ・コレクション:イベント情報(TOKYO Web)
コンフェッティというのはパーティ用の紙吹雪のこと。この製品が出る前までは、紙吹雪は紙ではなく石膏片を用いられていたそうです。軽くて安全なこの紙吹雪は大人気になったのだとか。
ポスターの下絵であるこの作品、赤毛のいかにもロートレックといった女性が描かれています。うきうきする楽しい絵です。
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エドゥアール・マネ「燕」(部分)
東京新聞:全64作品紹介 至上の印象派展(58) エドゥアール・マネ「燕」:至上の印象派展 ビュールレ・コレクション:イベント情報(TOKYO Web)
マネ何作かあった。草上の昼食やオランピアというような割ときっちり描いた絵の方がイメージあるけど、こんな感じでざっくり描かれたものが多かったのは印象派趣味のコレクターのせいかな。
タイトルである「燕」は黒一色で小さく、背景に溶け込んでその姿もざっくりとしかとらえられていない。左奥の草の色、深みがとてもいいと思う。初夏の候外の気持ちの良い空気を思い起こされる絵。
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アントーニオ・カナール(カナレット)「サンタ・マリア・デッラ・サルーテ聖堂、ヴェネツア」
これは印象派じゃないけど。
プレ印象派、ポスト印象派という作品もいくつかありました。
印象、日の出や大聖堂といった風景画が多かった初期印象派の流れへの前章としての風景画といった位置付のようです。
強い日差しの中どこまでも細かく正確に、キッチリパッキリ描かれた絵。こういう強いコントラストのハイパーリアルとも言うべき絵が結構好きです。
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ポール・セザンヌ「赤いチョッキの少年」(部分)
東京新聞:「赤いチョッキの少年」 ポール・セザンヌ:至上の印象派展 ビュールレ・コレクション:イベント情報(TOKYO Web)
腕が長すぎることがやたら強調されていた絵。「対象の正確な再現より構図の美しさを優先」と解説されてたけど、ポストカードになったら構図変わってんじゃん!カットするから!!
デッサンなんて多少狂っていてもいいんですよ。画風に合っているかどうかですよ。こういう作風なら勢いの方が大事なんですよ。何でもかんでもデッサンデッサン言うやつは、正確な再現以外に絵画をみる尺度をもたないやつなんですよ。
実際の絵を見ると、とても瑞々しい絵なのに驚きます。これも有名だから教科書とかで見たことはあるのだけれど、こんなにフレッシュな輝きがある絵だとは思っていなかった。好き。
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エドガー・ドガ「控え室の踊り子たち」
ドガいっぱいあった。
とくにスゲー!っておもったのはこれ
東京新聞:全64作品紹介 至上の印象派展(17) エドガー・ドガ「14歳の小さな踊り子」:至上の印象派展 ビュールレ・コレクション:イベント情報(TOKYO Web)
教科書で見たよこれ。
最初の展示にはこれのワックス原型が提出され、本物のドレスや人毛を付けて展示されたそうです。結構アヴァンギャルドだな。
この絵画は幕間の一瞬をざっととらえたものでそれほどいい絵というわけではないけれど、オレンジ色が夕焼けのようでいい色。
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カードなかったやつでいいと思ったのは
東京新聞:全64作品紹介 至上の印象派展(26) ジャン=オーギュスト=ドミニク・アングル「アングル夫人の肖像」:至上の印象派展 ビュールレ・コレクション:イベント情報(TOKYO Web)
アングルの絵。アングルといえば美しさをひたすら追求した古典的なもの。筆の跡を消し、徹底的に精緻に細密に、しかし性格差よりも理想を追求し、人間的というよりは彫刻のような冷たい美しさが特徴。
そのアングルが、こんな人間的な穏やかな絵を描くだなんて。
愛なのかしら、やっぱり。