人の金で美術館に行きたい+読

美術館に行った話とか猫の話とかします。美術館に呼んでほしい。あと濫読の記録。




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買って応援見て応援 超写実絵画の来襲 3/21

東京で珍しくこの時期開いている文化村で、ホキ美術館店に行った。
もう他の美術展はだめだ。見れないうちに臨時休館になって、休館のまま会期が終わる。そらそうだよね。コロナ自粛があったって、貸出美術品の返済期限は変わらないよね。でも見たかったよぉって展示がたくさんある。悲しい。
www.bunkamura.co.jp

というわけでホキ美術館展。ホキ美術館は千葉の奥にある現代写実絵画をコレクションしている美術館です。展示会場である渋谷からは2時間かかるって書いてあった。一回行ったことあるけどマジ僻地だった。
そのホキ美術館は現在残念ながら去年の台風被害で閉館中ということで、アクセスのよい渋谷に展示目玉作品がたくさん来ている(水害でやられなくてよかった)今がチャンス、ぜひ展示を見に行ってほしいと思う。

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野田 弘志「皿と果物Ⅰ」

f:id:minnagi:20200325181937j:image

実にシンプルな静物画、に見えるだろうポストカードなら。
このぱっと見白地になんか柄が描かれているな程度のテーブルクロスがすごいのだ。まるでゴブラン織りのような、壁紙のような、左官師が漆喰で描き出す文様のような立体感があるのだ。
静謐な画面、実物と見まごうばかりの果物、そしてアンバランスなほどに存在感のある背景。ちょっと怖いくらいに力強い。

写実絵画については「写真でよいのでは?」という点がいつも取りざたされる(とされている。実際にそういう人は見たことない)けれど、こういうのがいいんだよなぁ!
対象の取捨選択、大胆な省略と強調、異様な完璧さが呼ぶちょっとした恐怖感。
そういうのが現代写実絵画の良さだと思う。

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山本 大貴「Quiet Night」f:id:minnagi:20200325181934j:image

奇妙な絵。簡略化された背景にリアルな対象。
そのリアルな写実性が非現実的な状況をより強調する。
組み合わせの妙だと思います。

魔法使いの家のようですね。果物を手に取ると白鳩が目覚め、その羽ばたきで魔法が展開して背後の荒野に白亜の邸宅が現れる、みたいな物語。
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五味 文彦「あかいはな」

f:id:minnagi:20200325181940j:image

五味文彦さん、好き…これ前回ホキに行ったときはなかった作品です。
なんで白い背景に透明のガラス器置こうと思ったの?自信があるの?実力に自信があるの?完璧なの?輪郭線と背景とが溶けあって完全に消えてるところもあるじゃん。なのになんでこんなきっちり美しいの?この虫は何なの?絵画のあまりのリアリティに誘い込まれた現実の虫と思わせてこれも絵なの?あまりにも完璧な美しさを恐れた陽明門の逆柱なの?
好きだ…
どの花もそれぞれに個性的ですごく好きだし、ガラスの水差しの中の影の木の狂いそうな精緻さが好きだ。

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五味文彦 レモンのある静物

f:id:minnagi:20200325181947j:image これは以前ホキでも見たのだけれど、やっぱり好きだから今回は大判プリントポスターを買ってしまった。
ダリを思わせるフランスパン、神性を感じるライティング。そしてこのレース。

f:id:minnagi:20200325181944j:image

割と小さな絵なので大判ポスターはほぼ実物大というかちょっと拡大しているくらいなのだけれど、それでも色褪せぬこの精緻さよ。
縫い目の美しさと、テーブルの上にある部分の重さとがたまらなく好きだ。

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ホキ美術館は現在水害のため休館中です。
いつ再オープンなのか全く情報がないし、どの程度被害がひどいのかもわかんない状態です。なのでグッズ買おうぜ。リニューアルオープン待ってます。

www.hoki-museum.jp