コレクション展だよ。
東京都現代美術館の設立やコレクションの順番、方針なんかの歴史的解説もあって面白かった。東京都美術館の別館的なやつだったのね。
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浅井 忠「象の図」
すごいリアルな像の絵。ちゃんと実物に取材してるんだなって。やはり日本画は西洋絵画が入った後の写実主義を消化した作品が好きだな。背景の赤い布地も可愛くて好き。
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石井 林響「童女の姿となりて」
ヤマトタケルの話だそうです。
クマソタケル兄弟を討つときに、相手を油断させるために叔母のアドバイスで女装して宴に侵入したという古事記の逸話を描いているのだとか。いわゆる、日本最初の男の娘話ですね。ぱっと見は美しいけれどよく見ると顔は割とりりしいような、でも女装子さんだって分かってるからそう見ちゃっているだけのような。
足元画面外に置かれた光源から柔らかく光の当たる布。特に薄物の輝くさまが幻想的。
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黒田 清輝「入江」「引汐」「上汐」
最近こういうシンプルな絵が好き。数色のグラデーション、何本かの横線で海だと認識できるのは色の選び方が良いからだろうか。海というものの本質をつかんでいるからだろうか。
こういう絵が家に一枚あったらいいだろうなと思う。
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アラン・マッカラム「240個の石膏の代用物」
撮影不可作品。パンフより。
これね、すごくいい。せっこうでできたふれーむのようなもの。ピカピカに磨かれた黒い表面を持つ四角い塊。それが整然と並べられている。
美術館でリトグラフの小品が壁一面に並んでいるさまを思わせる。岐阜美術館のルドンのような。
なんか、これでいいじゃんねぇ?
人が絵画に求めているもの、この代用品であらかた充足できている気がする。そこにあるという確かな質感と埋められた壁。それで割と十分じゃない?
”顧客が本当に求めていたもの”って割とこれなのかもしれないな。
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バリエーション豊かな作品が多くてとても面白かった。
東京都現代美術館はレストランのパフェが素晴らしいと聞いたので、次は朝鮮史に行ってみたい。