小粒の佳作 吉野石膏コレクション 11/23
印象派からその先へー世界に誇る吉野石膏コレクション
率直に言って、地味な展示。数も多くないし、作品もこじんまりしたものが多い。あまり冒険しないというか。
無難な代表作…というわけでもないんだよなぁ。特徴的な画風がよく現れた時期、のちょっと前か後の作品が多い。お買い得だってのかな。メインビジュアルのルノワールだって、浅い描き込みに目ばかりがぎょろりとして、アンバランスにがっちりでっぷりした体型と半目が絶妙に可愛くなくない?ルノワールらしさなんて、髪の表現くらいだと思うんだけど。
---
クロード・モネ「睡蓮」
家の池を描きまくってた頃の作品。あまり近づきすぎないのがいい。ある角度から見るとふぁっとほんとうに水面のように見えるのがこの作家の魅力。
ただ、手前のちょぼちょぼ浮かんでる小さな葉はない方がいいかな。後で描き足したのかな?て感じにタッチが違う。水面の角度ともあってない気がする。
---
フィンセント・ファン・ゴッホ「静物、白い花瓶のバラ」
ゴッホっぽくなるちょっとだけ前のゴッホ。ハーグよりは後、独自のうねうねよりは前。
とはいえ、好きな絵です。この青色がいい。単体でもいい色だし、花と響き合って良い。テーブルの赤もアクセントになっていて綺麗な絵です。
---
アンリ・ルソー「工場のある町」
これまた奇妙な絵。ダリの描く悪夢のような、畑を伸びる道。タイトルが工場なのに肝心の工場が木に隠れて見えないのは、描くのが難しかったのだろうなぁと考えてしまう。
でも、それがいいよね。わたし、この人のこういうタイプの絵が好きです。牧歌的で、夢のように見えて、どうしようもない違和感から悪魔じみた印象を受ける。工場から伸びる道、異様に小さい人。まるで意図的に隠された工場から邪悪な何かが密かに広まっているような。キングの小説の序盤のような。
本人そんなこと考えずに描いてるんだろうけどな!
---
と、印象派を中心に展示が進み、その後ピカソやブラック、カンディンスキーらが現れて、なるほどこれが印象派の「先」かと思っていたら、いきなり大量のシャガールで部屋が埋め尽くされてびびった。
へいへい、今までの対策穏やかにまとまった、私室に飾るのにちょうどいい作品群から随分と飛躍すんじゃねーか、と。それもまた、真っ赤とかシャガールにしても派手な絵を集めてるんだわ。なんだろ、コレクションの方針変えたのかな。中の人が代替わりしたとか?
なんかいろんな意味でようわからん展示だった。