文化村再オープンしましたね。
少なくともミュージアムに関しては、どこが変わったとかわからなかったw毎回レイアウトとか違うしね。
と言うわけで今回はロシア絵画。あんまり特集されることないよね。東京で絵画展と言ったらやっぱりフランスあたりがメジャーかなぁと思います。西洋、に含むのかどうかも微妙なエリアだし。
イワン・クラムスコイ「忘れえぬ女(ひと)」
約10年ぶりに来日とのこと。多分私前回見たと思う。前回も文化村だったと言うし、その頃なら普通に美術館徘徊してたと思うし。こんな美しい人を忘れるわけないし。
ただ、彼女にインパクトがありすぎて背景や経緯、ディテールが全て吹っ飛ぶと言う欠点もあるw
馬車に乗った貴婦人、気難しげな、訝しげな顔。蔑むと言ってもいいくらいの目つき。物凄い衝撃です。これをきっかけにMに目覚めてもおかしくないくらいの美しさ。
今回は2回目と言うことで多少冷静に見ることができたのですが、背景が意外とあっさりしていてこんなもんだっけ?と思った。サムネイルくらいのサイズだと気にならないけど、リアルに大きな絵画を見ると下塗りかな程度の色彩しか乗せられていない。多分普通にがっつり描きこむと、女性のインパクトが薄れてしまうのだろうなと思う。
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イワン・クラムスコイ「月明かりの夜」
同じ作者のもっと大きなこちらの絵は、むしろ背景がメインくらいの勢いで細かく描写されている。満月の明かりの中で漂う女性は妖精のようだ。
構図としてはロマンティックに儚い物語を連想するのだけれど、まあまあ悪そうな表情してるんだ。いたずらっぽいと言うよりも、悪巧みをしているというほどの。なんだろ、気の強い女が好みなのだろうか。ただ儚く頼りない竹久夢二の絵のような女はいない。しっかりと芯がある。
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イワン・アイヴァゾフスキー「嵐の海」
これは実物を見ないと伝わらない絵。手前のティファニーブルーの波の美しさは印刷には出ない。嵐に翻弄される人、遠くに素知らぬ顔で悠然と構える山脈。自然の中であまりに無力な人間。
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ワシリー・バクシェーエフ「樹氷」
パッと目に飛び込む鮮やかな空が印象的な絵。
この展示ではロシア絵画を春夏秋冬、女性、肖像画といったジャンルに分けて展示していたけれど、「冬の絵画は驚くほど少ない」と説明されていた。
うん、ロシアの冬に外で写生してたら凍死するからじゃないかな。
こう言う完璧な、ちょっとだけ誇張された遠近感の絵が好き。清々しい風が吹いているみたいな。
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コンスタンチン・コローヴィン「小舟にて」
ポーラ美術館にこんな口座の舟遊びの絵があったな。
こういう小舟が画面の外にはみ出しているような立ち切りの絵、印象派あたりが書いたら「浮世絵の影響!」と大々的にアピールされるのが常ですが、こちらの展示では特に触れられることもありませんでした。1888年の絵だから、時代的には同じようなものなんだけど、実際どうなんでしょうね。
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イワン・シーシキン「正午、モスクワ郊外」
パンフレットの絵だから文字が入っちゃってるけど。
こういう空がメインな絵も「日本特有の講座でジャポニスムで世界に広がった」などと解釈されがちなものですが。
でもロシア実際に広大だからなぁ。あんだけ広い世界の広さをテーマに描こうとしたら、自然とこういう構図になるのかもしれない。入道雲があって真夏の昼の絵だろうにこんなに涼しげなのはさすがロシアというところか。
ロシア絵画、いいなぁと思いました。今までイメージとしては20世紀初頭の直線的なポスターデザイン、ロシア・アヴァンギャルドの方が先に出てきてたけど、こういう伝統的絵画もいい。もっと特集されてもいいのにと思う。ただ、絵画的にはソ連暗黒期があるのかなぁ。