人の金で美術館に行きたい+読

美術館に行った話とか猫の話とかします。美術館に呼んでほしい。あと濫読の記録。




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ひと癖あります。 印象派への旅 海運王の夢 -バレル・コレクション- 6/16

文化村のバレル・コレクション展に行ってきた。もうすぐ終わりだけど結構空いていて見やすくてよかったよ。

burrell.jp

 文化村 バレル・コレクション

バレル・コレクションは産業革命期のイギリスはスコットランドの海運業者、ウィリアム・バレルの残した一万点近いコレクションのことだそうです。
元々は遺言によりイギリス国外への貸し出しを禁止されていたとのことですが、所蔵感の建て替えに伴い海外巡回中だとか。そのパターン最近多いな!

今回は80点と作品が少ないのですが、しっかりとした大きな作品が多くて見ごたえがあります。また、タイトル通り印象派を含むフランスの作品が多かったです。
スコットランドはイギリスを飛び越えてフランスからの文化的影響が大きい」と解説がありました。なんでだろうねぇ。

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アンリ・ファンタン=ラトゥール「春の花」

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フランスの静物画家。めちゃくちゃリアルな質感で描かれた花の絵です。
ガラス壺の質感もさることながら、最上部の花びらの精密さがすごい。

撮影するときぶれちゃったけど全体的に非常に緻密です。

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アンリ・ル・シダネル「雪」

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変わった絵ですね!これだけ見たら現代絵本作家さんの絵みたいに見える。
ピンボケではありません。本当にこういう、点描と言うかたくさんの円で描かれたような絵です。見た感じ点描ともまた違うかんじなんですよねぇ。
ふんわりして不思議な絵。町の広場にある井戸の絵。誰もいない夜、建物の明かりだけが漏れている。冬の夜という状況なのに不思議と温かい。

1901 年には中世の面影が残るがジェルブロワに移り住む。当時のジェルブロワは過去の宗教戦争の影響で荒れていたが、シダネルは自宅の庭を薔薇園にし、さらには村全体を薔薇で埋め尽くすことを村の人々に提案した。村の人々はシダネルに共感し、季節になると薔薇が咲き乱れるようになったジェルブロワは現在「フランスの最も美しい村」の1つに選ばれている。 アンリ・ル・シダネル - Wikipedia

という逸話が現地でも紹介されていました。シダネルが住人に提案したというより、村人たちがシダネルのまねをしてバラを植えだしたというような書き方だったけど。
ロマンかよって思った。好き。

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エドゥアール・マネシャンパングラスのバラ」

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これも変わった絵ですね。
花の絵でこういうスラッとした絵はあまり見ないし、背景が灰色一色と言うのも無いですよね。マネらしいといえばマネらしいけれど。(ピッコロを吹く少年とかね)
色づかいがマリー・ローランサンっぽい。

晩年体力の衰えたマネはこういう小品を手がけていました、ということでした。
ぱっと見ざっくりと描かれていますが、薔薇の品種が特定できるほどしっかりした絵なのだそうです。

ガラスの瑞々しさとかいいよね。

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ウジェーヌ・ブーダン「トゥールヴィル、干潮時の埠頭」

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最後の部屋だけ撮影可能でした。最近増えてきてうれしいね。
すごい気に入りすぎて、撮影したのにポストカードも買ってしまった作品。
海運業をやっていた関係で海の絵が多いということでした。ドービーニとかもあったよ。
手前の船のリアリティ、水面に映った影の美しさ。構図のバランスがとてもよい。
力強く、非常に引き付けられる絵です。

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ウィリアム・マクタガート「満潮」

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気に入りすぎて撮影したのにポストカード買っちゃった絵、第二段。
だって美しいじゃない…理屈なんかどうだってよく美しいじゃない…
夕暮れの薄闇の中、スミレ色に染まる海と砂の境目があいまいになる。
絵画って言うか、もうこれは窓だよね。海へと続く窓だよ。

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ウジェーヌ・ブーダン「トゥルーヴィルの海岸の皇后ウジェニー」

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ひときわ白いドレスの女性がナポレオン三世の皇后ウジェニーとのことですが、わかんないよな。
空を描きたかったんだろうなと言う作品。
こういう絵を見ていると、こんなドレスを着た人たちが普通に街中を歩いている時代があったんだよなぁって不思議な気持ちになる。

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なんか、ちょっと変わった作品が多かったです。
展示会タイトルは「印象派」だけど、そんなに印象派印象派した絵はなかった印象。
シタデルの雪の絵みたいにあまり他では見ないタイプの絵が多くて楽しめた。


ゴッホルノワールは、いつ見てもゴッホルノワールだなって感じで面白かった。晩年のルノワール、癖ありすぎ。