へ〜んしんっ! ジョルジュ・ブラック展 6/3
愛してるって最近言わなくなったのはあなたを本当に愛し始めたからだし、
ブログを全然書かなくなったのは美術館に行って無いからだ。
美術館に行っていない。映画館には行っている。モーリスとレディ・プレイヤーワンとデッドプール2を見た。本も3冊読んだ。まぁそのことを描いてもいいのだけれど、とりあえず週末に美術館に行ったので美術の話をしよう。
というわけでジョルジュ・ブラック。
京都人と行ったら、「ブラックって誰?」と言われたのでちょっとびっくりした。一応絵画はそれなりに知識があるはずなのに。
ジョルジュ・ブラック(Wikipedia)と言えばピカソと一緒になってキュビズムを始めた人である。最初に始めたのはピカソだけれど、こうして作品を見てみると、ブラックの方が理論的にキュビズムキュビズムしている感じがある。
簡単に置いて、絵画を描く際に視点を1つに定めず、あっちこっちから見たものを1つの画面に統合して描くってのがキュビズム。いかにもそんな感じ。
なんでピカソと比べてこんなマイナーなのかな。やっぱり色使いが地味だからかな。
しかし略歴を見てみると、本国では色々と活躍され社会的にも認められていたようで安心です。ちゃんと公共施設の仕事とかしていた。
もう一枚油絵があって、絵の具に砂を混ぜているのが立体と平面との境界を考え続けたブラックっぽくてよかった。アクリルとかでよくやる立体的な下地はこの人が始めたのかもなぁとか。
とはいえ今回は絵画の展示ではありません。
メタモルフォーシスと名付けられたアクセサリーや陶器、彫刻といった立体作品が主役になります。
アクセサリー職人と組んでブラックが下絵を描き。
ジョルジュ・ブラック「トリプトレモス」
それを職人がアクセサリーへと仕上げていく。
職人の発想を妨げないようにと、素材の指定をしなかったというのも面白いです。
下絵はのびのびとしていて綺麗。
ジョルジュ・ブラック「青い鳥、ピカソへのオマージュ」
「三つの恩恵(三美神)」
この辺はおとなしくて現代でも使えそう。
グレース・ケリーがつけている写真があって、よく似合っていた。
「ペルセポネ」
こちらは壺。絵にかいたようなキュビズム。
他にもお皿とかもあったけど、圧が強くて使いづらいと思った。
リトグラフがすごくよかった。
モチーフを刷った上に金箔を重ねて重厚な感じを出している作品がすごくよかった。
ポストカードあればよかったのに。
面白いなと思ったのは、下絵である絵画は当然平面なのですが、それをもとにしたアクセサリーや彫刻も全部平面だった。彫刻とか、粘土板を絵にそって切って重ねた程度にまっ平らだった。
「セファレ」
これはガレで作られたというガラス彫刻。本当に厚いけれど平面。
普通絵画を立体化するときって「正面から見たらこの絵の通りだけれど、横から見たらどうなるんだろう?」って考えると思うんだけど、横から見たらまっ平ら。
本当に絵画を忠実に厚みを与えただけって発想普通わかないなぁと思った。
絵画の世界に三次元的視野を取り入れた人が、立体の世界に足を踏み入れたら二次元になるんだなぁというのが面白い。
他にもグラウコス(展覧会のみどころ)が人工と自然の境目で面白かった。
という感じに作品を見ているとタイトルやモチーフで、そして作品群の名前である「メタモルフォーシス」というのでわかると思いますが、全体のテーマはギリシャ神話です。「転身物語」がベースになってるんですね。
神や人から動物、植物への移り変わりを集めたオウィディウスの物語。
平面と立体とを揺らいだブラックが追い求めたものが見えてくるような気がする。