漆芸の現在形
目当てのギャラリーが定休日だったのでしょぼしょぼと帰る途中に銀座和光の前を通ったら、こんな展示のポスターが貼ってあって。
青木宏憧さん!すき!!!と思って行ってきた。
漆芸の現在形 | 展覧会のご案内 / 和光ホール | 銀座・和光
美術展ではなく、展示即売会です。平日だっていうのに結構客もいたし、作者の方が来ていたりもした。
内容はこんなモダンな作品から伝統的な食器類、漆絵やオブジェまで幅広かった。
松崎森平 「檸檬」
と、東京芸大展でお見かけしました!!!
膨大すぎる苦悩もあるらしい 藝「大」コレクション パンドラの箱が開いた! - 人の金で美術館に行きたい
あ、これは作者さん個人のパンフレット写真。実物はなかったと思う。
吉野 貴将 「森 ~cosmos~」
実際に来ていたのは、さまざまな動物がまるでファンタジーゲームのような不思議な衣装を見つけたオブジェでした。漆芸って塑像?彫像?わかんないけど。
一番好きなのは、青木宏憧さんです。
東京都美術館でお見かけしました!その時からファンです!すき!だいすき!!
いっぱいに膨らんでパリンと割れる #芸術 by みなぎ | エッセイ投稿サービスShortNote(ショートノート)
青木宏憧 守箱「かぶとむし」
「浮上」も来ていました。250万くらいでした…守箱がいっぱい来ていて、大きいのから小さいのからとっても素敵でした。
守箱「攻」ってのが好きで、大きさも手ごろですごく欲しいなと思ったけど150万くらいでした。クラゲを模した守箱は75万くらいで、これくらいなら手が出るのでは?と思ったんだけど。
帰宅した京都人に話したら、
「知り合いのすごく理性的な大人しい人が、ある日ヒロ・ヤマガタの絵を見て『これは自分のための絵だ』と思って衝動買いして、ずっと大切にしているそうだ。それくらい気に入ったなら買ってもいいんじゃない?」
って言われて。
ああ、その感覚わかるなぁと思って。
私、大学生の頃町の宝石屋さんでトパーズのルースに魅せられてしまったことがあって。それまで宝石なんか1つも持っていなかったし、今だってまともな宝飾品なんてろくに持っていないのに、どうしても欲しくて夏のバイト代7万をはたいて手に入れたことがあって。
そういう感覚ではないなぁって。
150万のが変えないから75万って、そういう程度の欲しさでしかないんだなぁって。
いつか本物を手にすることがあるかもしれないけれど、それはいまではないなぁと思いました。
そういう意味で言うと、昔見たサイモン・ブリーンさんっていう無名(失礼)画家の絵は買っておくべきだったなぁ。
でも、そんなに欲しいなら僕が買ってあげるよって言う足長おじさんは常に募集しています。
今ならまだ売っています。ぜひに。ぜひともに。
揺らぎ 渋谷芸術祭2017 1/14
1月14日、文化村に行ったけどギャラリーはなんか設営調整中?梯子持ち込んでごそごそやってるのと即売会だったのでいまいちちゃんと見れず。
美術展は見てないです。
というわけで、なんか片隅でやってた渋谷芸術祭2017が面白かったので見た。写真撮っていいか悪いか書いてなかったから、怒られたら消す。
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山本 しほり「Bloom(2017年9月11日/Rest in Peace)」
一番きれいだなと思った。総局制渉外をもつという作者が周囲からの理解不足等による苦しみの中で自分らしさを表現するための手段ということです。
第二の草間弥生になりたいみたいな解説があって、綺麗だし頑張るのはいいけど最初から二匹目のドジョウを狙うのはちょっと違うかなって思う。芸術のためのアートじゃなくて啓蒙のためのアートなら他の方法も併用したほうがいい。
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藤原 悠里「Woman‘s face」
3000年前の中国の西周時代の金文で描かれた古典、『コツ〔勿カシラ+曰〕鼎』から取った文字から描かれているという説明つき。
その古典ってなんだろう?って調べたら、このサイトさんによると奴隷売買に関するものだとか???
それを踏まえての絵画なのかはちょっと気になるところだし、文章として成立しているのかも気になる。
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近藤 南「ゆめか うつつか まぼろしか」
このテープ状のが気に入って写真撮ったけど、公式サイトを見ると3つひと組の作品だったようですね。わかんなかったよ……なんか展示がね、作品の右側にコソっとまとめて作者名やコメントが掲示されていて、正直どれがどれの解説なのかわからないくらいだったよ。
そういうものってあるよなぁと考え込んでしまう文章。センスある。
こういう意識の揺らぎみたいなの好き。自分の外側と内側の境目が不安定になる感じ、視界の端をかすめるもの、見てしまったことでうまれるもの。
象牙のような乾いたダークファンタジーだな。
本気で言っているのかおまえは ぼくらが日本を継いでいく 1/11
高島屋でやっている展示のポスターがきれいだったし無料だっていうから前から気になっていて、近くを通ったので寄ってみた。1月11日。
結論として、ひでぇ。クオリティのばらつきがひでぇし、て言うか一部を除いたクオリティの低さがひでぇし、そもそものコンセプトがひでぇ。
初音ミクのCrypton、リラックマのSan-X、そして手塚プロダクションが自社キャラクターと日本古典芸術の組み合わせを行った展示。
初音ミクのクオリティはよかった。
Dollfie Dream「初音ミク」
ドルフィ・ドリームというボークス社から出てくる人形のカスタム。かわいい。
きもののがらは 若冲の絵画から撮ったとのことだがなかなか良くできている。ミシン縫いっぽいけどそんくらいいいと思う。
「初音ミク×桜に小禽」
先ほどの着物を身にまとった初音ミク。色合いもきれいだし元絵とうまく組み合わさっている。
落款風のサインもきれいだ。
うん、初音ミクは無罪。
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San-Xは微妙。まぁ元絵をうまく選んでキャラクターとそれほど違和感ないようにはしているが、そもそも日本画に慣れていないのだろう、塗り方が厚すぎて絵の具がぽろっととれてしまわないかな?って感じ。
「リラックマ・軒端の梅」
これは撮影不可作品だったので会場外のポスターから。
印刷物を撮影するとうまいこと粗が隠れるなと思った。
横に元の絵の模写などが飾られているのだが、並べると酷い劣化だと思う。
参考→高島屋のお歳暮ポスターは「軒端の梅」 | Winds!芸艸堂 店長ブログ
すっと抜ける枝がぐねぐねぼてぼてしている。
けれどまぁ無理に模写せず、リラックマに合わせた絵柄でグッツ展開とかするならありかなぁと思う。
模写レベル、日本画技術がひどいのであって、和風との親和性はある。
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手塚プロダクション、酷い。本当に公式で出していいの?って感じにひどい。
「ブラックジャック×富士烏」
「ユニコ×楓紅葉」
参考→Art-Precis | 作品紹介 - 神坂雪佳 / 楓紅葉図
富士烏の方、以外と模写は上手い(参考ページ見つけられず)
紅葉楓、模写以前の問題として、ユニコがまじでクソ下手。人間キャラはまあまあ描けているが、動物キャラが本当にひどい。まじでかわいくない。ほかにもレオとかいたけど、そもそも似ていない。
公式絵でこれかよ…ユニコの妙なコケティッシュさとかカケラもねぇな…
マジでびっくりした。これが公式絵?というクオリティにびっくりした。
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ていうかね。
これを現代アートとしてやるならいいのよ。まだいいのよ。
でもさぁ。過去作の模写をしてただキャラクター絵貼り付けて、それで「日本画を継ぎます」って言っちゃだめでしょ。元絵との調和すら考えてない、ただちょっとずらして空いた隙間に描きこんだだけで、本当に胸を張って発表できるの?これが。
「継いでいく」というクオリティじゃないでしょ。
日本画を継ぐってことは、既存の日本画の模写を作ることじゃないでしょ。画風を受け継いで内容を消化して、新しい日本画を作り出すことでしょう。
現代日本画の画家さんはそれをやっているでしょぅ。
それを無視して「継いでいきます」とかこの程度の頭でやっちゃダメでしょう。
他のとかもっとひどかったからね?
手塚治虫、すきなんだよね。本当に好きなんだよ。特に間久部緑郎(いなくてよかったよ)がさぁ。だから割とまじめに悲しい。
高島屋の広いスペース使ってさ、グッツいっぱい作ってさ、そういうレベルの作品じゃないだろうよこれ。
無料じゃなきゃ本当に怒っているレベル。
懐の広さが試される セロテープアート 1/11
仕事をお休みして六本木に行った。セーヴル見ようと思って出たけど、なんか気が乗らなくて代わりにこちら。
ヒデハルフカサクギャラリーロッポンギ|今後の展示会 | 横浜、六本木 | Fukasaku ART MUSEUM & GALLERY
テレビとかで見たことあるんじゃないかな、セロハンテープで立体アートをされてる方の個展です。
セロハンテープを芯材無しでひたすら貼り重ねることで彫刻(彫ってないけど)を作る技法は言われてみれば単純だけれど、割と明確な完成像に対するイメージとひたすら根気がいる作業だなぁと思います。あと、猫飼ってたら無理だね。中に猫毛が入るね。
めっちゃミッドタウンが映り込んでる。
入るとまず動物達がいる。
テープを重ねることで出る飴のような質感や象牙のような色合いが好きだ。
作家さんが在廊してて少し説明聞けたんだけど、芯材無しで中までみっちりテープだからそれなりに重いんだって。持ってみたい。
色は特注のカラーテープだって。
この薄さで色出すの大変ね。
これ、一番好きかも。ハエトリ草みたいな立体植物。
絵画もあった。
印刷物にテープを貼って表面加工したもの→セロ版画
テープを重ねるだけで描いたもの→セロハン画
てのもおもしろかった。透明感と奥行きがあっていい。
ただ、材料がセロハンテープだからどうしたって保存はきかないよね。10年はいけるだろけど、100年後とかは絶対劣化しているだろう。勿体無いな。
インタビューとかで「子供の頃から作品を作っていた」と言っているのだけれど、率直に親の度量すげぇな!ておもう。
私が親だったら、無駄遣いすんなって怒りそう。それを逆に「気の済むまでやれ」と大量のテープを買い与え、そうしてやってる姿を見て才能を見出す親、すげえよ。なかなかできないよ。
今年は公立美術館も含めて複数回展示が行われるとのことでした。楽しみだね。
無料だし、駅から近いし、面白いからオススメしたい。
そしてもし行ったら、私が質問し忘れた「触ったらペタペタするんですか?」てのを聞いてきて答えを教えてほしい。
セロテープの筒の脇ってペタペタするじゃん。ずっと置いとくと埃がくっつくじゃん。そうならないのかなー。
イラストレーターと画家の違い 生賴範義展 1/7
1/7に生賴範義展に行ってきました。
この公式サイトのクォリティ低い。めっちゃ読みにくいし誤字とかある。
生賴範義さんといえば、スターウォーズがやっぱりいちばん有名かなぁ。年配男性が多かったです。
今回、生賴はイラストレーター枠での展示です。
となると画家とイラストレーターの違いってなんだろう?って話ですが、すごい単純に言うと、一般的に「作品が主かどうか」ですよね。
何かに、例えば小説の表紙や映画のポスターにするために添え物として製作された作品がイラストで、絵画のための絵画を描くのは画家とされています。
もちろんその境界線はあいまいで、ミュシャは画家なのか?イラストレーターなのか?と言われたら最初ジスモンダとか描いているあたりではイラストレーターで、装飾パネルをメインにしだした「カレンダーのために使うミュシャの絵」ではなく「ミュシャの絵を使うためのカレンダー」くらいの扱い(判断が難しいですが)になった頃はほぼ画家、そして壁画やスラヴ叙事詩を手掛ける頃には疑いようもなく画家とみなせるでしょう。
作品の取り扱いとしての画家/イラストレーターというのがまぁ一般的かなぁ。技術的にもいかにもイラストらしいラストとかなくもないけどね。
写真可能エリアが多く設定されていました。あんまり多いしちょっとわかりにくいから、写真不可エリアで間違って撮影しちゃう人が大量発生していた。
一応携帯で撮ったけど、混んでいるから全体を納めるの難しいし写り込みが酷くて使えないのばかり。個人の思い出にはいいんだけど、顔がわかるレベルで写っちゃってるからネットには出せないの。
ブックタワー
これこそ生賴がイラストレーターとして大活躍していた証拠というか。
こんだけ本があるのに、そして私割と誰にも負けないレベルで本を読んでいたというのに、読んだことがある本がありません……1984とかあるけど表紙が違う。
和書はほとんど読まないのと、どれも対象年齢が壮年男性だというところでうまいことすり抜けてしまったようです。くやしみ。
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映画ポスター「EAST MEETS WEST」
映画ポスターならわかるよ!この映画見た。面白かったのを覚えている。
手前に主人公の後ろ向き、そして敵役をその足元に描くという大胆な構図。
左側の忍者がコミカルで、映画の内容を鮮やかに思い出しました。
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未使用「グッドモーニング、ベトナム」
下が大きく開いているのは、タイトルを入れるためだったのでしょう。実際には使用しなかった絵画。かなり好きです。これのグッツも売ってた。
多分、↓この映画のためのもの?だいぶイメージ違います。
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SF雑誌の表紙に、歴史上の妖婦を一人ずつ描いたシリーズ。
個人的に、サロメではなくヘロディアなところが評価高いw
もう何度でもいうけれど、洗礼者ヨハネの首を欲しがったのはサロメじゃなくてヘロディアだから!!→サロメ (ヘロディアの娘) - Wikipedia
下絵の段階と、ヨハネの首の扱いが大きく違います。完成品の方がSFらしさが強くて好きだな。
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表紙「サンサーラ」
詳細不明ですが、サンサーラという本の表紙にするために描かれたもの。生命の歴史が雄大に描かれています。好き。
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オリジナル「DASHT-E-KAVIR 1980 (イラン)」
こちらはオリジナル作品。戦争を経験したという生賴は、晩年になっても続く各地の戦争について苦しい思いを抱いていたのではないかと思う。
何となく死体や破壊描写が松本零士っぽい。
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この展示は前から気になってはいたし、京都人が見たいというので行ってきました。
けど、見て思うのは「やっぱりこれはイラストだなぁ」という思い。
すごく綺麗に描けている。すごくリアルに描けている。けれどなんかこぎれいにまとまっているなという感じ。注文に応え、それ以上のものを製作しているのは本当だと思う。けれどなんだろう「なにこれ、すっげー!!めっちゃかっこいい!!」みたいな普段美術館で思うものが無い。
それはとにかく数をこなすために描いているからなのか、主役を引き立てるためにわき役に徹しているからなのか、それとも「これはイラストですよ」という先入観があるからなのか。
なかなか難しいところだなぁと思いました。やはり先入観なしに物を見ることはできないものだし。
そういう意味だと、今度谷川俊太郎展があるらしいんですが、どうなんですかね?文字作品を美術館で展示することってどうなんでしょう。
うーん、これはたぶん行かないな…