人の金で美術館に行きたい

美術館に行った話とか猫の話とかします。美術館に呼んでほしい。

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安藤 and インド? 安藤忠雄展ー挑戦ー

先日、iPhoneに不具合が出た日を覚えているだろうか。

10秒ほどの間隔でiPhoneがひたすら再起動を繰り返し、どんどん熱くなっていく不具合だ。10秒なので、原因を探ろうにも何もできない。パスワードを入れて何かのアプリを起動した瞬間落ちるくらいの勢いだった。
という話を何でしだしたかって言うと、その日は私が国立新美術館安藤忠雄展を見に行った日だったんですよ……
ずっと楽しみにしていたんですよ、光の教会実物大模型…写真撮影可能だったのに……
カメラも起動しませんでした。あぁ。

www.tadao-ando.com

 

展示の構造としては、残念ながら非常に見づらい。
まずは右側に遅々として進まない大行列がある。何かと思うと、腰くらいの高さに据え付けられた長い台の上に乗った建築模型や資料、施主へのアンケートに現物の動画が流れるディスプレイなどをゆっくり見ているのだ。
これらがすべて目線から下の位置にある。ディスプレイも、タブレットくらいの大きさだ。
すぐ近くまで行かなければなーんにも見えない。
せめてアンケートや動画は目線より高くして、遠くからでも見れるようにしてくれないだろうか。
ざっとしたスケッチも勢いがあり、サインペン2本くらいで塗られた色もなぜかわからないけど本当に美しくて鑑賞の価値がある。なのに全然見えない。
順番通りに見なくて大丈夫です、といくら係員が言ったところで、結局展示が切れ目なく続いているのだから鑑賞列に切れ目ができるわけがないのだ。
分散して見れる工夫は必要だと思う。

 

「挑戦」
建築家の言う「挑戦」と聞いて、何を思うだろうか。いったい何に対する挑戦だろうか。
その答えは会場のキャプションに書いてある。

彼ら(施主)もまた住みこなすことに挑戦せねばならない

そう、挑戦するのは安藤ではない。彼の建てた家に住む人たちなのだ。
なんてこった。
例えば初期の代表作である「住吉の長屋

安藤忠雄展-挑戦- 国立新美術館開館10周年|みどころ

ちょっとこの見どころサイトで建築模型の写真を探してほしい。
そして、どうなっているのか想像して欲しい。
よく見ると、模型では家の手前の壁がごっそり省略されている。
もちろん全部壁を再現したら、中が全く見えないただの箱になってしまうからだろう。見やすくするための工夫なんだなぁと理解できる。屋根もないけれど同様の処理だろう。

と想像したところで、実際の家を撮影した動画を見てみよう。

www.youtube.com

屋根、本当に無いでやんのwwww
おかしいでしょう。どう考えてもおかしいでしょう。
1階から2階に行くのに傘が必要なんてどうかしているでしょう。
それが許されるんだからこの人は面白い。

実際、この手のエピソードは数え切れないほどあるようだ。 

「施主が寒いと言うからもう一枚着ろと言った。それでも寒いというから『諦めてください』と言った」
「(この家は)住み手の体力にかかっている」
「家の中でスキーウェアを着ている(施主)」
「彼らもまた住みこなすことに挑戦せねばならない」

絶対自分では住みたくないけれど、聞いている分には面白い。
そして、意外と増築の注文もあるようなので、住んでいる方も変わりものなんだと思う。
こういう話が聞けるので、本人出演の音声ガイドは絶対借りたほうがいいです。面白すぎるから。 

 

例えば光の教会

www.ibaraki-kasugaoka-church.jp

実に美しいですが、本当に寒い。ガチ目に寒い。模型だからか、十字架の部分にガラスが入っていないし、右の方の壁にも一部完全な隙間がある。
これは台風の日はどうするのだろうか?
そう思いながら音声ガイドを聞く。

バブル期なのに3千万しかない。
予算がないから屋根を無くそうとした。ない方がいいと思ったけど、建築会社が寄付して屋根がつくことになった。
十字架部分は穴にするつもりだったが、信者さんが寒いと言い張るのでガラスをはめることになった。でもいつかガラスを取ってやろうと思っている。
今回実物大模型を作ることになって遂にガラスなしで作ってやった。やはり諦めないことが大切だ。

あぁ、実物にはガラスがあるんだ、よかった。雨に濡れながらミサをする信者はいないんだ、と安心できる。

建築会社が寄付って、多分信仰心とかじゃ無くて単純に「ウチに注文すると屋根のない家が建つなんて噂が立っちゃ困る」って理由だとおもう。

 

頭大仏というのも、だいぶ頭がおかしい(褒めてる)

takinoreien.com

 大仏をもっと信仰されるようにしてほしいと言われた。

見た瞬間、これはダメだと思った。
埋めることにした

 駄目だ、からの埋める、への思考の飛躍が当たり前のことのように語られるのが面白い。
なんというか、ビジネス狂気で無いものを感じる。ナチュラル・ボーン・どうかしている。

こんな話を聞いても、なるほど安藤!としか思わない。

天才と平凡 by tonchiki | エッセイ投稿サービスShortNote(ショートノート)

 

実は私夏まで仙川に住んでいたので、安藤忠雄ストリートのことは一応知っています。
でもこれ、まったく安藤の名前出してないんだよね。もったいないね。

www.ohkaksan.com

検索するとテナントが入らなくてガラガラ、というページばかりですが、少なくとも2017年夏にはテナントいっぱい入っていたよ。三角の建物は歯医者さんだよ。
メイン商店街からは離れてるしお高い店ばかりだから利用したことはないけど。
ここは、安藤感が少し薄いです。

 

 安藤忠雄といえばコンクリ打ち放し、そして大きな窓だと思います。
作品(住宅というよりは作品だ)のいくつかは壁一面が大きなガラス窓で、しかも前も後ろもガラスなものだから公道から家の中が完全に見えるどころか、家を透かして向こう側が見えるものも少なくないです。

www.hetgallery.com

これの最上階みたいなね。
それを危惧したのでしょうか、イタリアからの注文で「プライバシーに配慮した家」というのがありました。
そして出来たのが、大部分を地下に埋めた「見えない家」

forbesjapan.com

地下といいつつ広く傾斜を取られているので決して暗くはありません。
けど、話が通じているようで通じていない感じがしてすごい。やはり狂気を感じる。

 

今回の展示は京都人といったのですが、この人実は建築系の学校を卒業しているのです。
そして

「なんかすごくインドっぽい。球体を作ってつるすのも、建物を埋めるのもインドっぽい。
インドには宗教弾圧を避けるために地下に埋められた寺院とかあったはず」
とか言い出して興味深かったです。
実際のインド寺がどんなだかわからないのですが、若き日に世界を旅したという安藤忠雄、そういったものからの影響もあるのかもしれません。