人の金で美術館に行きたい+読

美術館に行った話とか猫の話とかします。美術館に呼んでほしい。あと濫読の記録。




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なにがどうしたらこうなるの 和巧絶佳展 7/22

現代工芸が好きだ。

民藝調のやつや伝統的なものをやってる現代作家ではなく、歴史や伝統技術を踏まえた上で新しいことをやってる人たちが好きだ。スタイリッシュで都会的なやつが好物だ。

wakozekka.exhibit.jp

大量生産も簡単にできて3Dプリンタも手頃になってきた今わざわざ工芸をやってる人、それを専業にしている人達はみな、まあまあ変態的に技術が高い。今回展示されてる作家さんたちは、その前提をさらに超えてやべぇとしか言いようのないクオリティである。

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桑田 卓郎「空桃色化粧梅華皮志野垸」「黒化粧梅華皮志野垸」

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桑田 卓郎「空色化粧白金彩梅華皮志野垸」

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ほら、やべえ。

最初見たとき、どうやって作ってるのか全くわからなかった。パンクの地に白いのが細い線でつながっているのだから、内側と外側を別に作ってくっつけてるのかな?て思った。特に完全に金属にしか見えないバージョンは絶対後付けだろー?って。

しかし、会場外で流されてるインタビュー動画によると、すべて焼き物らしい。しかも、一度の焼成で出来上がるというのだ。
外側の部分は特殊な釉薬で、焼いているうちに半ば流れ落ちつつ硬化するのでこうなるらしい。
うん、わからない。まったく。

かいらぎ - Wikipedia

梅華皮とかいてカイラギと読むのですが、これはいわゆる梅華皮なのか…?違うよね。

 焼いている最中を動画で見てみたいものだ。

 

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深堀 隆介「百船」(ももふね)

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既に何度か展示を見た、金魚シリーズ。フィギュアではなく、セル画のように何層にも分けてアクリル樹脂を流し込んではその上に金魚を描く、という作品です。20層を超えるものもあるのだとか。

今回は升に入ってるのがメイン。透明容器も好きなんだけど、これはこれで。

とても大きな箱にたくさんの金魚が群れ動いています。

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ここが好き。もちろん葉っぱも全部手書き。
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波紋の表現はアクリル樹脂の良さですね。
しかしこれ、水底の層から下書きもなしで描いてるんだよなぁ。どうしたらそんなことができるのか。

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池田 照将「Neoplasia-engineering」

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池田 照将「百千電脳図飾箱」

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池田 照将「電脳六面尽飾箱」

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全部螺鈿です。どうかしてる。細かすぎて写真が撮れない。

電脳図飾箱とか、名刺入れにしたらめっちゃ欲しい人多いんじゃないかなぁ。私はこの最後の六面のが欲しいです。ロボットアニメみたいじゃない?主人公がこれを手にすることから冒険が始まりそうじゃない?私が幼児の頃これを見つけたら、絶対この世のものじゃ無いと思うだろうよ。

 

ところでこの展示を実際見る前に、友人とこの箱たちの中身は何色なんだろう?という話をしました。漆の螺鈿箱なのだから、普通に考えれば朱漆か黒漆ですよね。でもなんか一捻り欲しいじゃない。個人的には黒色無双がいいんだけどなぁ。バグっぽくて。

蓋を開けたところは展示されていなかったので、確認は持ち主さんだけの特権です。欲しい。

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見附 正康「無題」

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アラビアンナイトのような、モスクのような赤絵。こちらも下書きどころかデザインの構想もなしに一発描きだそうです。作りながらデザイン決めてるんだって。

ところでこれは大鉢なのですが、中心、一番深いところどこだと思います?
柄の中心、左側じゃないんだな。普通に円の真ん中が中心です。皿の形の中心と、がらの中心がずれている。

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脳が混乱するよ。

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山本 茜「渦」

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今までの作品も大概「なんでこんなことができるんだ意味わからん」と思いながら見ていたけれど、この作品が一番どうやって作っているのかわからない。
ガラスの中に金属の板が封入されているのだそうですが、金属すごく細かいカッティングがされているんですよ。よくヨレないなぁって。
よーく見るとガラスにラインが入っていて、分割しながら作成しているんだなということはわかりますが、それでもやっぱものすごいなと思う。これは円錐に平面が封入されているけれど、球体の表面に沿うようになっているのもあってすげええってなります。

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写真撮影OKの展示だったのですが、とにかく仕事が細かくて全然きれいに撮影できなかった。そして必要だろうなと思って単眼鏡持っていったのだけれど、それでもよくわかんないなってくらいこまかかった。