【感想文】ご冗談でしょう、ファインマンさん
書籍データ
理系、特に物理化学系にはおなじみのファインマンさんである。
理系野郎が「ご冗談でしょう」なんて言ってるとしたら、この本のことを念頭に入れていると考えてほぼ間違いない。
ファインマンは物理学の教授であり、量子電磁力学でノーベル賞を取った科学者である。そのファインマンがラルフ・レイトンに自分の逸話を面白おかしく語り聞かせたものを記録したものがこの本である。
だから厳密には"自"伝ではないし。ご冗談でしょうの前書きにも困りますの後書きにもそれは明記してある。
「ノーベル賞受賞者の自伝とした方が売れるから作者をファインマンとしているのだ」とまで書いておきながら、いまだに作者名がファインマンのみでラルフ・レイトンを併記すらしないのはちょっと不誠実じゃないかなぁと思う。
せめて、自著ではないことくらい表紙に明記したほうがいいんじゃないかしらね。
ファインマンの逸話はWikipediaに詳しい。
というか、Wikiの内容がこの本をもとに記述されているようだ。
このノリの話がひたすら続くのだから、エッセイ集としては最高に面白いこと請け合いである。
様々なエピソードが語られているが、原発作成中の逸話が面白い。
また、ご冗談でしょうで原発を作っている時はコンピューターどころか今でいう電卓すら発明されておらず、"足し算をする機械"と"掛け算をする機械"といった専用機械を使用していたのが、戦後IBMのコンピューターを使うようになっていき、困りますではスペースシャトルまで飛んでいるのだから技術の進歩には目覚ましいものがあるなぁと驚嘆する。
原発を作って置きながら日本好きを公言したり、旅のそろばんマスターと暗算対決をしたりと、不思議なエピソードが数多くあり、偉人のエピソードとは思えないほど楽しい。
この人くらい頭がよかったら、色々人生楽しいだろうなぁと思う。
軽く読んで楽しめるエッセイなので、振り仮名を振って子供向けにしてくれたらいいのに。考え方やものの見方など、小さい頃に読んでいたら為になるだろう内容がとても多い。
物理が苦手でも気にせず読める本だと思います。ファインマンなので物理の話は当然いろいろ出てくるのだけれど、ギリシャ神話を読む時にゼウスへの信仰がなきゃいけないってわけでもないし、物理はわからんなぁと思いながら読む分には差しさわりが無い程度です。