人の金で美術館に行きたい+読

美術館に行った話とか猫の話とかします。美術館に呼んでほしい。あと濫読の記録。




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【ネタばれ粗筋】聖アントワヌの誘惑

書籍データ

  • タイトル:聖アントワヌの誘惑
  • 作者:フローベール
  • 訳者: 渡辺 一夫


今日の猫 

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↓粗筋開始(白文字)↓

 戯曲の構成で進む。

テーバイの山頂に一人ひっそりと暮らす老隠者、聖アントワヌ。必要最低限しか所有せず、食べず、苦行に打ち込んでいる。
ただひたすらに誘惑や欲望を避け信仰に打ち込む彼だが、ふとかつての弟子たちに囲まれていた生活を思い出し、孤独にさいなまれる。
人生に対して疑問が生まれそうになるが、聖書などを読み返してさらなる研究に没頭し、迷いを振り払っている。

ある夜、そこに様々な食物や富が急に現れるが、聖アントワヌがいぶかしみ、恐れているうちにけてしまう。また、自分が王宮で権力者となっている幻覚、若く美しいシヴァの女王に誘惑される幻覚を見る。

するとかつての弟子イラリヨンが現れる。記憶にある姿とあまりに異なる彼に戸惑う聖アントワヌに、イラリヨンは知識が欲しくないかと様々な人を呼び寄せる。
まず彼が召喚したのはかつてのキリスト教の異端者たち。あまりに歪んだ教義に恐れを抱く聖アントワヌに、イラリヨンは彼らの信仰の何が間違っていると言い切れるのか、聖書には多くの矛盾が含まれているのに現代のキリスト教正統派の教えに全く疑問はないのか、彼らは殉教者ではないのかと問いかける。

それでも信仰を失わない聖アントワヌの前に、今度は異教の神々を呼び出して見せる。仏陀ギリシャ神話の神々などには、旧約聖書の神までも含まれる。
それらに幻惑されつつもキリストへの信仰を失わない彼に、イラリヨンは真の姿を現す。彼は自分を悪魔だと明かし、別名を「知識」であると告げる。

キリストに縋ることで悪魔を退けた聖アントワヌのもとに、老婆と肉感的な若い女性がやってくる。それは死神と淫楽の神である。その二人に引き続いてやってくるのはさまざまな怪物たち。見たこともない数え切れないほどの生き物たち。
全ての生命の源を目の当たりにし、聖アントワヌは喜びに震え、全てのものとの同化を望む。

 やがて夜が明け、太陽が昇る。その太陽の中にキリストの顔を認め、聖アントワヌは十字を切って祈り始める。

 

↑粗筋終了(白文字)↑