猫ブランド カルティエ展 12/1
久々にシェアアートでチケットが当たったので、チケットもらいでもしなければいかないような展示に行ってきた。
カルティエ…カルティエなんか一個も持ってねぇw負け惜しみに聞こえるかもだけど、カルティエといえばやはりバブルを連想するし、ネジ山模様の指輪や釘の形のブレスレットとか、正直これの何がおしゃれなのかわからんってイメージしかないから欲しいと思ったことがない。
ただ、メインビジュアルにいつも豹を使ってるところはネコ科ラバーとして評価せざるを得ない。豹だけに。
とまぁくだらないことは置いといて。今回はアール・デコ期のものから現代のものまで、最高級ラインのジュエリーと時計が出展されている。その展示の仕方も非常にこだわり抜いており、西陣にルーツを持つ繊維メーカーに特注した布で展示スペースを分けたり、古い屋久杉の板の上に置いてみたり、大谷石のブロックの間に展示ボックスを並べたり、仏師に展示台を彫ってもらったりしている。どっちかっていうと、私はこっちの展示方を見にきたよ。
作品名はたまにシリーズ名もあるけど基本的に「ブローチ」とかなのであまり意味がない。解説もめんどくて借りなかったので、ただ見ただけになってる。
なのでざっくり写真撮影可能品で気に入ったものだけ。
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「ブローチ」
まぶしいほどダイヤでギラギラした鳥。かわいい。指輪でもっふりした時のオウムもいてそっちも可愛かったのだけれど、写真きれいに撮れなかった。光るものの撮影は難しいよね。
「猫ちゃんシリーズ」
パンテール、豹がカルティエのアイコンなのだけれど、そのつながりで虎もいっぱいいた。かわいい。
でろーん。猫流体説。
いくらなんでも大阪のおばちゃんすぎない?今どきないくらいじゃない?
エジプトシリーズ
いっぱいあったけど、大体がどうしたの?ってデザインだった。
普通のデザインに見せかけて、イグアナの背びれみたいなのがついてるのがすごくカルティエっぽい。
爬虫類シリーズはワニもヘビもたくさんあったけど、このダイヤが一番キラキラして素敵だった。
和風シリーズもあった。右のやつ青海波ですね。かわいい。デザイナーのコレクションとして、日本の布を染めるときに使う型紙とかあって、勉強してるんだなぁと。
箸置きとか帯みたいな結び方。かわいい。
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ぶっちゃけ、すげえゴージャスだな!ってのはわかるんだけど、これらのジュエリーを自分が身に着けているところが全く想像できないので、宝飾品としての評価ができない。宝石を使ったオブジェとしての感想は、「金かかってるんだろうけどセンスはいまいちだな」です。
京都人もハイブランドの良さがわからないらしく、卓上置き時計に対して「これ人に見せないんだよね?自分しか見ないやつだよね?」と繰り返していた。高級品が人に見せびらかす為のものだというその発想が貧困だぞ。
感心したのは、すごく古いものも現在のものも等しく美しかったこと。素材が良ければ貴金属宝石類は全く劣化しないんだなぁ。そしてデザインコンセプトが全くぶれていないんだなぁ。
がっかりしたのは物販コーナー。すごくオシャンティーにジュエリーのドアップをデザインしたグッツばかりで、全体像が見えるグッツがなかった。久々に何も買うものがない物販であった。
別世界覗いてきて面白かったです。たぶん私は超お金持ちになってもカルティエは買わないと思うけどな。
小粒の佳作 吉野石膏コレクション 11/23
印象派からその先へー世界に誇る吉野石膏コレクション
率直に言って、地味な展示。数も多くないし、作品もこじんまりしたものが多い。あまり冒険しないというか。
無難な代表作…というわけでもないんだよなぁ。特徴的な画風がよく現れた時期、のちょっと前か後の作品が多い。お買い得だってのかな。メインビジュアルのルノワールだって、浅い描き込みに目ばかりがぎょろりとして、アンバランスにがっちりでっぷりした体型と半目が絶妙に可愛くなくない?ルノワールらしさなんて、髪の表現くらいだと思うんだけど。
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クロード・モネ「睡蓮」
家の池を描きまくってた頃の作品。あまり近づきすぎないのがいい。ある角度から見るとふぁっとほんとうに水面のように見えるのがこの作家の魅力。
ただ、手前のちょぼちょぼ浮かんでる小さな葉はない方がいいかな。後で描き足したのかな?て感じにタッチが違う。水面の角度ともあってない気がする。
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フィンセント・ファン・ゴッホ「静物、白い花瓶のバラ」
ゴッホっぽくなるちょっとだけ前のゴッホ。ハーグよりは後、独自のうねうねよりは前。
とはいえ、好きな絵です。この青色がいい。単体でもいい色だし、花と響き合って良い。テーブルの赤もアクセントになっていて綺麗な絵です。
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アンリ・ルソー「工場のある町」
これまた奇妙な絵。ダリの描く悪夢のような、畑を伸びる道。タイトルが工場なのに肝心の工場が木に隠れて見えないのは、描くのが難しかったのだろうなぁと考えてしまう。
でも、それがいいよね。わたし、この人のこういうタイプの絵が好きです。牧歌的で、夢のように見えて、どうしようもない違和感から悪魔じみた印象を受ける。工場から伸びる道、異様に小さい人。まるで意図的に隠された工場から邪悪な何かが密かに広まっているような。キングの小説の序盤のような。
本人そんなこと考えずに描いてるんだろうけどな!
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と、印象派を中心に展示が進み、その後ピカソやブラック、カンディンスキーらが現れて、なるほどこれが印象派の「先」かと思っていたら、いきなり大量のシャガールで部屋が埋め尽くされてびびった。
へいへい、今までの対策穏やかにまとまった、私室に飾るのにちょうどいい作品群から随分と飛躍すんじゃねーか、と。それもまた、真っ赤とかシャガールにしても派手な絵を集めてるんだわ。なんだろ、コレクションの方針変えたのかな。中の人が代替わりしたとか?
なんかいろんな意味でようわからん展示だった。
フランスの本 アール・デコの造本芸術 11/24
日比谷図書文化館に行ってきた。
お金持ちの区は文化レベルが高い。俺の区にはこんなおしゃれな施設ないぞコノヤロー!!
入場料は300円と激安ですが、チケットがQRコードの自動発券機だったりしてハイテクだな、お金がうなってるなと思いました。
こんな激安なのに入るとオサレな資料をくれたり、グッツもちゃんと売ってたりしてすごい。
フルカラーでイラストが入っていたりする。
印刷技術の発達したアール・ヌーヴォー期から、富裕市民の為のイラストを多用した雑誌というのが流行っていた。それがアール・デコ期に技術向上や景気好調共に最盛期に達し、そして第一次世界大戦の影響で消えていった。そんな美しい挿絵本を紹介したのが今回の展示だ。
さて、そのフランスの印刷物だが、「フランス装」なんて言葉が今にも残ってるくらいの特別な文化だった。本は全て仮製本の状態で、買った人が好きな装丁業者に発注して表紙などをつけて製版することを前提に販売されているのだ。販売時の状態でも読むことはできなくはないが、すぐバラバラになってしまうし、中古として売る(それは現在の本をブコフに売るのとは全く違う相場なのだろう)ときも価値が大きく下がるので、結局みな製版作業を発注するのだという。
読書のハードル、たっかい。
とまぁここまでは割とメジャーな話。そんな読書熱というかコレクター熱の高まったアール・デコ期のフランスでは、「どうせバラして再製本するんだから、最初から製本しないでバラのまま売ります。その方がやりやすいでしょ?」という商法も流行ったそうだ。それが、今回の展示メイン。バラバラだから一冊の本の複数ページを同時に見れてお得。
しかしこうやって保管してたのはよっぽどのマニアだね。
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ジョルジュ・バルビエ「コメディの登場人物」
主に4人の挿絵画家を展示していたけれど、その中でもやはりバルビエが群を抜いている。
こうやって本文が尻すぼみになるやつ、解説で名前書いてあったのだけど鉛筆忘れてメモれなかった。悲しい。不思議の国のアリスの、「ネズミの尾はなし」を思い出す。
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ジョルジュ・バルビエ「ヴァーツラフ・ニジンスキーのダンスを描いたジョルジュ・バルビエのデッサン」
バルビエがバルビエの耽美な世界を決定づけた、バレエ・リュスの世界。どんなんだったんだろうねぇ。アラビアンナイトのような美しい幻想的な世界。
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ジョルジュ・バルビエ「ボヌール・デュ・ジュール(現代の幸福あるいは流行のエレガンス)」
耽美にもほどがある。ここまでくると魔夜峰央みたいだなと思うよ。この挿絵のどの辺が現代なのだろうか…
こうやってみてると、フランス語できたら楽しいだろうなぁと思う。もちろん他の言語もだけど、特にフランス語。だって、ラテン語は流石に無理だし、イタリア語が絵画にメインで出てくる時代は古すぎて多分現代イタリア語では対応できない。
けどフランス語なら、ギリギリ読めそうな気がするんですよね〜難しいけどさ!
英語はさらに新しい作品だから割と読めるんだよね。なんなら京都人連れて来ればいいし、メモっておいて自動翻訳でもわかる。フランス語は勉強して損がないかどうかのギリギリラインだ。
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アンドレ=エドゥアール・マルティ「いいお顔」
とはいえバルビエはあまりにも耽美で、当時としてもエキゾチックな古典趣味。こちらの方が時代感掴んでるんだろうなぁと思う。すごくシンプルで味わい深く、可愛らしい作品です。このドレス作りたい。
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面白かったけど、やはり本は読めないと魅力半減だな。
【ネタバレ感想】あなたに似た人1
書籍データ
- タイトル:あなたに似た人1
- 作者:ロアルド・ダール
- 訳者: 田口 俊樹
- お勧め度:★★★★
収録タイトル
味
私が招かれたある家庭の主人はお金持ちのワイン通。同じく招かれた中年男性の美食家とワインの銘柄当てクイズをするのを楽しみにしていた。
いつものように主人がワインの農園あてクイズを行おうとすると、美食家は銘柄を当てたらその家の娘と結婚させてほしいと言い出す。親子ほどに年の離れた娘は嫌がるが、代わりに美食家が賭ける2件の家に目がくらんだ主人は、娘を説き伏せて賭けに応じることにするが…
おとなしい凶器
警察官の妻は、仕事から帰ってきた夫に突然離婚を切り出される。
何とか思いとどまらせようと説得するうちに、冷凍庫にあったラム肉で夫を殴り殺してしまう。さて、この罪をどう逃れようかと考えた妻は…
南から来た男
とあるリゾート地のプール。南の、ラテン系訛りを持つ老人と隣席になった私。そこにアメリカ人の青年が現れる。タバコを吸おうと青年に火を借りたとき、「このライターはどんなときも絶対に火をつけることができる」という言葉に老人が反応する。
「もし私の部屋で十回連続でライターの火をつけることができたら、高級車をプレゼントする。しかし一度でも失敗したら、小指を一本切り落とす」そんな老人と青年の賭けの立会人となった私は…
再読
兵士
あんま印象に残らなくて覚えていない
わが愛しき妻、可愛い人よ
トランプゲームの賭けが大好きな妻。ゲームをするためだけに、知人夫妻を家に招いては、その二人がどんなに嫌な人間かをぶつぶつ文句を言っている。いくら不愉快な人間でも、ゲームができるなら有用ということだ。
彼らを家に泊めて賭けゲームをする日、妻は夫に客間に盗聴器を仕掛けるようにそそのかす。
その夜、盗聴器から聞こえてくる会話は…
プールでひと泳ぎ
船旅をする男。その船では毎晩、「今から翌朝までにどれだけ船が進むか」という賭けがイベントとして行われていた。嵐の晩、今日はほとんど船は進まないと見込んだ男は、大金を「予定より大幅遅れ」に賭ける。しかし翌日目が覚めると嵐は過ぎ去り、船は快調に進んでいた。
これでは賭けに負けて大金を失ってしまうと思い詰めた男は…
ギャロッピング・フォックスリー
いつもの通勤電車。いつもの通勤客。快適な通勤風景に、ある日新しい男が現れる。
どうにも不愉快な新しい男を見るうちに、学生時代の悪夢を思い出す。
皮膚
落ちぶれてホームレスになった男は画廊の前を通りかかり、昔の知り合いが有名画家になっていたことを知る。思わず画廊に入り込むが、画廊主たちに追い出されそうになる。「自分だってこの画家の作品を所有している!」と叫んで服を脱いだ男の背には、有名画家がかつて描いた見事な刺青が存在した。
その刺青をいかにして手に入れるかと騒然となる客たちのうち、ある男が魅力的な提案をする。
毒
ある晩帰宅すると、同居人の男の様子がどうもおかしい。
彼が言うには、寝ているうちに猛毒を持つ毒蛇が布団の中に入り込み、体の上に居座っているのだという。恐怖に震える男を助けるため、慌てて呼びつけた医者と共に彼を助けようとあの手この手を繰り広げるが…
願い
少年は家の中で一人遊びをしていた。カーペットの赤い部分は溶岩、黒いところは毒蛇、黄色いところだけが安全地帯。そう見立てて廊下の端まで渡り切ろうとする少年は…
再読
首
ある日突然爵位を継いだ男。彼をめぐる婚活争奪戦を勝ち抜いたのは、ぱっと見は美人だがなかなか品のない女。
ある日その屋敷に招かれた作家は主人と散歩中、彼女が同じく招待客の一人といちゃついているのを目撃してしまう。
ふざけて庭に展示した彫刻の穴に首を入れた彼女はその状態で浮気相手とキスをしていたが、穴から首が抜けなくなってしまう。
彼女を助けなければと向かった私と主人は…
全体感想
面白かった。既読が2編。いまいちなのが1つ。
お化け的なものは出てこないけれど、広義のホラーなのかしらね。
短い話だしオチが読めるものが多いのだが、それでも語り口が鮮やかで読んでいて気持ちが良い。どれもこれも人の悪意が上品に露出する、ただの露悪趣味とはまた違うスマートさ。
【ネタバレ感想】ごろつきはいつも食卓を襲う
書籍データ
今日の猫
独自のフード理論に基づき、フィクションのあるあるネタを集めたエッセイ
フード三原則は以下となる。
- 善人は、フードを美味しそうに食べる。
- 正体不明者は、フードを食べない。
- 悪人は、フードを粗末に扱う。
いや、つまんなかった!!!!
フード三原則ってのはもうメジャーだと思うんですが、本当にそれ以上のことが何もない本だった。
前書きだけ読めば十分な本。
それを50項目に分けてひたすら繰り返している。
どの項目も
「こういうネタってあるよね~
初出?わかんない。理論?知らない。
でも定番だよね~
そんで、こっからこういうパターンに話が進むこと多いよね~」
ただひたすらにそれが繰り返される。
あるあるネタがテーマだから目新しさは何もないし、かといって文章力皆無なので読んでいて面白いということもない。虚無。
後半は流し読みするのも苦痛であった。
この本のいいところ……挿絵?
座れます 椅子の神様 宮本茂紀の仕事 11/9
銀座からてくてく歩いて京橋へ。
このメインビジュアルに惹かれてやってきた。半分解体展みたいなやつかな?て思ったけど、構造部分はちょっとだけだった。というか、ここ狭いのに会場構成に凝って、展示物少なかった。
宮本茂紀さんっていうのは、椅子専門の家具職人なのかな?どうやら製作もデザインもして後輩指導もする人みたい。「皆様ご存知の宮本さんですよ」という感じで展示が始まるので、家具業界の常識を知らないとよくわかんない。でも椅子はおしゃれ。それだけでいい。
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「Fluffy Chair」
ザハ・ハディド氏デザインした椅子の試作品だそうです。硬さと柔らかさが同居するデザインで、座り心地もよさそう。
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「桜花蒔絵小椅子」
こちらは明治時代の作品。竹っぽく見えますが、木を素材は木だそうです。それを彫刻して蒔絵をしているそう。
華族会館で使用され、GHQに接収された際ペンキを塗られてしまっていたものを補修して元の姿に戻し、クッションもはりなおしたものだそうです。
木のところに朱色のペンキ塗ってたそうです。GHQセンス悪い。なんでペンキ塗りたくなるのか、意味わからん。
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「時代ごとの椅子作り」
教育目的で作成した、時代ごとの椅子、特に座面の構成サンプル。
スプリング材×クッション材が時代によって異なるよという見本です。しかも座れる。
- 手前:1870年頃~ バラバネ×馬毛/束土手(麻テープ)
- 中:1950年頃~ 連結バネ×ヤシの葉の繊維×芝草/土手
- 奥:2000年頃~ エラスベルト×ウレタンフォーム
1870年のやつが一番座り心地が良かった。しかし耐久性が良くないらしい。次に2000年のやつが良かったよ
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藤原 啓介「クラシックのリデザイン」
こちらはデザインが藤原氏、製作が宮本氏とのこと。
スタイリッシュで面白いけど、座り心地はすごく悪そう。特に手前の縦のラインとか。
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う~ん、なんか思ってたのと違うなって感じだった。うまく言えないけど。
結局この人の立ち位置もいまいちよくわからない。