けちんぼ 黒田記念館 6/2
通年で開いていないことで有名な黒田記念館が公開時期だと、たまたま前を通って気付いたので行ってみた。
「智・感・情」公開してないじゃないかああああああ!!!!!
くそが!クソケチケチ野郎が!でも入館料無料だからケチってのも違う!下調べしなかった私が悪い!でもケチ野郎だ!!!!
というよくわからない気持ちになりました。くそぅ。
まぁ気を取り直して。黒田清輝は明治初期の洋画家です。政府の西洋化政策によって西洋画を学び、そのまま日本に紹介するだけでなく自分の中に取り込み解釈を加えて「日本における洋画」を生み出した第一人者です。
年表を見ると、ボンボンなんじゃなということがよくわかる。最終的には爵位をついで貴族院議員とかになってるし。
ゴリゴリしてエネルギーの塊みたいな西洋の洋画(変ないい方だな)も好きだけど、黒田が代表するようなさっぱり静謐な日本の洋画も好きです。
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「舟」
なんというか、一番「黒田らしい」一枚。水の感じとか代表作である「湖畔」を思い起こさせる。
あっさりとした描写、静かな水面と雲、これから何かが起こりそうな感じ。
この船には芯の強そうな女性がやってくるのだろうな。
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「薔薇」
ルノワールっぽさのある薔薇。手慰みに書いたとの説明通り、ざっと描かれている。好き。
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「山つつじ」
こちらはしっかりと描き込まれた花。こういう強い明るい色彩ってちょっとこの人にしては珍しいのではないだろうか。
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「少女・雪子十一歳」
十一歳、というにはしっかりとした意志を感じさせる顔。不機嫌と言っていいほど強い表情と大人びたたたずまいが美しい。
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「木村翁肖像」
先ほどの肖像に比べて、やる気のないことと言ったらwwww
ぱっと見きっちり丁寧に塗っているように見えますが、いやいや描いてる感がすごい。なんというか、黒田らしさ無いし、塗り絵みたいなんですよ。ほんとに。
モデルは実業家。引退の時に会社が肖像画を依頼するが、製作に時間がかかり6年かかったとの説明がありました。
大正2年というと国民美術協会会長に推薦された年。もう完全に大御所、美術界のドンと言っていい存在だったはずです。
好きなものを好きなように描ける身分まで上り詰めたであろう時期の依頼。
よっぽど断りづらい義理で無理やりねじ込まれた仕事なんだろうなぁ…
とか想像するのが楽しい。
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無料だからいいけど結構小さいところだった。何より最高傑作である「智・感・情」が見れなかったのがしょんぼりである。無料だからいいけど有料だったら相当引きずると思う。
11月、忘れずに再訪したい。
なぜ怖いのか考えてみるべきではある ICCオープン・スペース2019 別の見方で 5/24
久々にICCに来た。
ここはハイテクを利用したインスタレーションが中心の展示で、低額OR無料で見学できる最高の場所だ。
でも、何か知んないけど、毎回怖い作品が多い!
シンスンベク・キムヨンフン「ノンフェイシャル・ポートレイト」
シンスンベク・キムヨンフンは画家にある個人の肖像画を、「完成した肖像画が人工知能に顔として認識できないように」という条件に従って描くように依頼した。
という作品。手前のテーブルは、制作風景の再現です。カメラで作成中の肖像画を確認し、顔認識が人の顔を検知するとアラートを上げる仕組みだそうです。
実に面白い。最高に面白い。
ただ、こういうのって取りまとめた人の作品になるのがなんか腑に落ちないなぁって。
個々の絵を描いた人の功績はどうなるんだろう…まぁ納得して依頼受けているんだろうけど。
これとか好き。
こういうぼんやりした雰囲気の絵も好き。
なるほど、こうすれば認識されないんだなぁって方法も個人差があって面白い。
描き込みをあいまいにしたり、一色だけを使って筆の跡だけで描いたり。肖像画の上にいっぱい落書きをして認識されないようにしたやつはずるくね?って思った。
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梅田宏明「kinesis #3 - dissolving field」
これ、写真で見てもわからないよね……すごかったんだけど。
パノラマ使ってぐるっと一周撮ってみたけどわかんないよね…
暗い部屋に入ると、出口から係の人が入ってきて説明をしてくれる。
中にいる人の動きをセンサーで識別して、床と壁2面(入口と出口を除く)に表示されたドットが動くという仕組み。
公式サイトの画像の方がまだ分かりやすいかなぁ。一人では撮影難しいよね。動いている人と、それが巻き起こす動きとを同時に撮影しないと何が何やらだもの。
でも、体験としては一人で見たほうが楽しいと思う。他の誰でもなく、自分が巻き起こす渦に飲み込まれる感じはものすごく恐ろしく、クラクラめまいがする。
エドガー・アラン・ポーの「メエルシュトレエムに呑まれて」みたいな感じ。
この仕組みを使った舞台芸術もあるそうです。見てみたい。前衛なんだろうか。
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青柳菜摘「彼女の権利——フランケンシュタインによるトルコ人,あるいは現代のプロメテウス」
怖いよ!これマジで怖いよ!!
1770年にヴォルフガング・フォン・ケンペレンによって作られた自動チェス人形「トルコ人(The Turk)」と,1818年にメアリー・シェリーが19歳の時に産み出したフランケンシュタインの怪物の物語に関するリサーチをもとにした作品です。
というわけで、チェス盤をイメージした作品があったり、棋譜のようなものがあったり、サイコロのようなものがあったり。暗い部屋にいような音が響き渡るなか意味深なオブジェが多数。
怖いよ!
奥まで進むと、鉛筆を持ち何かを書き続ける手の映像が。謎の音はこの鉛筆の音でした。ってわかったところで怖いよ!子ども泣くよ!
嫌いじゃないです。好きです。でも怖いマジ怖い。
ケンペレンの「トルコ人」やフランケンシュタインの怪物の物語は,彼らが生み出した創造物が,創造主の思惑を超えていってしまうことの隠喩であるとも言えるでしょう.
というのはわかる。この映像は創造で、それがどんどんずれて行く様を表しているんだろうなってのもわかる。
でも怖いんだな~
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尾焼津早織 「ハイパーフレーミング・コミック」
「コマ割り」という概念を飛び出した漫画。
これは、内側から外側へと読む漫画。
これは、時計回りに読む漫画。
これは、同時並行で読む漫画。
ストーリーは敢えてわかりにくくぼんやりと描かれている。
たぶんだけど、宇宙の果て、サルガッソー的なエアスポットにある、惑星。
その惑星に住んでいるのは一人だけ、というよりおそらくは「惑星」自体が生命体。
そこに遭難してくる宇宙人たちは「惑星」に歓迎されるものの、「惑星」の寿命には程遠い限りある命しか持たない彼らは、「惑星」を残して死んでゆく。
という話だと思います。「惑星」の孤独と、遭難者たちは果たして食事などの生命維持に必要な支援をちゃんと受けることができたのだろうか?という疑問と、空恐ろしさのある話。
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全体的に怖かったけど面白かった。
撮影禁止作品では
ICC | 《toki- NUMBERS #01》 - 後藤映則 (2017)
ICC | 《ENERGY #01》 - 後藤映則 (2017)
が面白かったよ。
今回も時間かかりそうな奴&予約いる奴は体験できなかったから、できたらまた行ってみたい。
箸置き、衝撃の歴史 5/27
箸置き。かわいいですよね、箸置き。かさばらないこともあって、コレクションしている人も多いといいます。
でも美術館や博物館で箸置きって見たことある?なくない?
なん……だと………?!?!?
考えてみれば、時代劇とかに箸置きが出てきたのを見たことがない気がする。
なんというか、箸置きがあるかないかとかそういうことを考えたことがなかった。
非常に不覚である。
江戸時代とか「箸枕」などと呼ばれて全く使用されていなかったわけではないが、現代のように一般的に使用されるものではなかったとのことです。
今の「箸置き」イメージを作りあげたのは、魯山人だそうです。なるほどねぇ。
というわけで、古代の箸置き的なものを見る。
こうやってみると、確かに箸置きいらないねぇ。
現代作家さんの箸置きも見る。
きれいだね。おしまい。
【ネタばれ粗筋】妖魔夜行まとめ読み
書籍データ
収録タイトル
あらすじ、ざっくりです。
舞台
現代(バブル期)日本。人間に交じって神通力を持つ妖怪が暮らしている世界。
人間の強い想いから生み出された妖怪たちは、最初はぼんやりとした思念でしかないが、長く生きるに従いしっかりとした自我を身につけて社会にまぎれて暮らしている。
そんな妖怪たちの自助組合である各地の"ネットワーク"は人間と妖怪の間に起こるトラブルの解消も行っている。その中の「うさぎの穴」を中心とした物語。
↓粗筋開始(白文字)↓
「闇より帰りきて」 友野 詳
海辺の公園で人が殺されるという事件を調査すると、犯人が「濡れ女」の元夫「海赤子」であると判明。かつて濡れ女は海赤子を殺して一人になったが復活したのだ。濡れ女は失踪。うさぎの穴と対立する「ザ・ビースト」の力を借りた海赤子と濡れ女の現在の恋人である「鴉天狗」そして「うさぎの穴」のメンバーが対立する。
短編集:しかばね奇譚
「悪意の連鎖」 山本弘
不幸の手紙が誤字によって「棒」の手紙に変化。妖怪として出現した「棒」は手紙を出した人を次々に襲い、最後には最初にいたずらで出した男性を殴り殺す
「背中合わせの幸運」 安田均
幸運の女神と悪運を司る妖怪デスパリット。デスパリットが女神を操って様々な人を不幸に突き落としていた。デスパリットのみを倒す。
「しかばね奇譚」 高井信
明治時代に書かれ、失われた本「しかばね奇譚」マニアの間で話題になって妖怪化する。読んだ人は本の中に取り込まれ、話の主人公として進み、最後にはゾンビに心臓を食い破られて死んでしまう。「鴉天狗」が本の中に入り、ゾンビを倒すことで読者を助ける。
短編集:穢された翼
「五グラムの願い」 拓植めぐみ
パチンコ屋でバイトする「蛇石」の妖怪。そこでパチンコをしていた主婦が失踪する事件を調査している。パチンコをする人を楽しませるため日本中を旅して人助けをしている「パチンコ玉の付喪神」と共に「パチンコ台」妖怪を倒す。
「人形使いの黒い箱」 北沢 慶
格闘技「KOファイト」に出場する格闘家の様子がおかしいと気づいた、かつて格闘家の弟子だった「鬼」の息子「半鬼」は格闘家に会うためにトーナメントに出る。また、それとは無関係にトーナメントに出ている「河童」。
格闘家は「ザ・ビースト」が犯人をさらい、コンピュータの妖怪「オニクス」で作り上げたコピーで、それを利用して金儲けをしようとしていた。「半鬼」と「河童」そして「うさぎの穴」メンバーは「オニクス」を倒して彼らを解放する。
「穢された翼」 山本弘
大学の協力を得て超能力を持つ子供を調査するテレビ番組。それに出ることになった年下の友人につきそう「夢魔使い」。大学教授は超能力は証明されることを嫌う性質があるといい、超能力があるとされた友人にリハーサルとして録画も目撃もせずに超能力を使うようにと言う。
リハーサルが無事終了後、教授がそれをこっそり録画していたことが判明。すると妖怪「白いカラス」が現れて暴れ出す。人に取り付いて本人が望むまま超能力があるかのようにものを動かしたりする妖怪「白いカラス」は、存在を証明されることが嫌いでパニックになったのだ。「夢魔使い」に説得されて存在を秘密にすると全員が約束し、「白いカラス」は落ち着きを取り戻す。
「戦慄のミレニアム」 山本弘
ヨハネの黙示録に出てくる世界を滅ぼす「神」と「天使」達が妖怪として出現し、実際に世界を滅ぼそうとする。「うさぎの穴」を始め世界中の「ネットワーク」と、普段彼らと対立している「ザ・ビースト」は手を組んでそれを阻止しようとする。
主要メンバーが戦いで命を落としたり、ヒロインだった「夢魔使い」が悪魔の愛人になったりする。
戦争中など暗い時代に生まれた「厳しい神」というイメージに対し、現在では映画の影響などもあり「人を救う神」のイメージの方が強くなっていた。戦いに参加していた人間の少女二人の力で「黙示録の神」を「救いの神」へと変容させることで戦いに勝利する。
「闇への第一歩」 山本弘
クラスメイトと付き合い、初体験をした少女とその恋人が、夜の公園で襲われる。
リア充爆発しろという言葉から生まれた爆発魔「カウンドダウン」が人を不幸にするために幸せな人を爆死させていたのだ。それを逃れネットワーク「深海」に移動した少女は、恋人が「雷獣」という妖怪であることを知る。また、自らも妖怪の死骸を取り込んで妖怪「雪女」になることを決意する。妖怪としての覚醒までの1日を護衛付きで過ごすことになる。
翌日夜、「カウントダウン」は「百キロババア」「ゴム人間」「ドローン」の協力を得て「雷獣」を倒そうとする。雷が通じない相手に苦戦するが、「雪女」として覚醒した少女の力で倒す。
↑粗筋終了(白文字)↑
すいてること前提 information?inspiration?展 5/27
月曜にやっている美術館、ということでサントリー美術館に行ってみた。
今回のinformation or inspiration?展というなかなかおもしろそうな企画が気になっていたのだ。
日本美術工芸品を、何の説明もない状態で見るのと詳しい情報を知ってから見るので、感じ方がどう変わるのか、といったインスピレーション的な展示らしい。
入口がinformation?とinspiration?で別れていて、同じものを別の切り口から表示する展示。全体を2周する構成。
内容は面白いんだけど、見づらかった。工芸品なので小さいものが多く、特にinspirationの方は見せ方を工夫しているのもあって覗きこむような展示や視点を指定するものが多い。
と、言うことは行列ができるわけですよ。だって、今見てる人が立ってるスポット似た立たないと見えないんだもん。
月曜だから空いていてまだ良かったけど、それでも「前の人まだ終わらんのかな」「もうちょっと見たいけど待ってる人いるしな」というストレスがあって嫌だった。
これが土日とかで混んでたらうんざりしただろうなぁ。
全品撮影可です。
まずは作品名だけを見てinspirationの展示風景から。作品名もここでは伏せてみます。
なんじゃこれ?と考えながら見て欲しい。
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inspiration
A. 何かの影
入ってぱっと眼に飛び込んでくるのがこれ。
ガラスを光に透かした影。綺麗ねぇ。すごい存在感がある。
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B. 赤い部屋
赤い光の中に瓶?壺?が一つ。素材も質感もわからずにシルエットだけを眺めていると、すごく透明感があるガラス瓶のように見えてきて面白い。
ただしこれは覗きこまないと見えないので、後ろの人の圧に負けて早々に退散。もっとゆっくり見たかった。
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C. 覗き穴
この位置からご覧ください、のマークに立つと、ベージュの紙で仕切られたスペースの中央だけ穴があいていて、その向こうに掛け軸が見える。
写真撮ると何が何やらだね。
本当はここでゆっくりこれは何だろうって考えられたらいいんだけど、後ろの人が以下略。
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D.ご自由にお触りください
どーん!と何かのオブジェ。でけぇ。色々と模様が彫り込まれてでこぼこしている。
チョコレートかキャラメルみたいね。
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E.銹絵染付松樹文茶碗
騙し絵みたいになってるやつ。特定の個所に筒状の鏡を置くと絵が正確に見れる。
何が面白いって、鏡像だから歪むんですよね。だから歪まない位置で見ようとするとそれは水平で見るしかないんだけど、そうすると鏡には何も映らないの。
ヴァニタスだよね。
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F.パズル
2組のパズル。大きい箱にパーツを効率よく収納するもののようです。
私もやりたかったんだけどさ…すごい夢中になってずーっとやってる人がいたんで諦めた。適当なところであきらめて交代して欲しい。
なんかこの展示、客にいっぱい来て欲しいの?欲しくないの?って感じ。
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というわけでinspirationいったん終わりです。
こちらは途中でやっていた展示。
nendo 「uncovered skies」
光に照らされた白い道を行くと、傘の影にだけ空がうつる。
めっちゃきれいだし、詩的で好き。
上からプロジェクターで映像を投影しているのだけれど、そのプロジェクターからは偏光フィルムをはずしているため、真っ白な光に見える。
その中に偏光フィルムを貼られた傘を入れてやることで、初めて映像が視認できるようになるという簡単な仕組みです。
偏光フィルムなので、傘をくるくるすると角度が変わって色が違って見えて楽しい。
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information
さて、こちらからはinformationです。
答え合わせとしてinspirationと同じアルファベットを振ってみます。
A.切子 蓋付三段重
まずinfomationってどの程度の情報量なのよ?っていうと、一つの作品についてこの程度。(3か所の表示をつなげています)
情報過多!
光の正体は、ガラス製の重箱でした。
中にカラフルな和菓子でも詰めたらきれいでしょうなぁ。
B.朱漆塗瓶子
赤い漆の器でした。酒器ですね。こうやってみると完璧に漆だけど、色情報を遮断すると素材すら分からなくなるんだなぁと。
inspirationの方では赤いフィルム越しに見せられていました。
c.蓮下絵百人一首和歌巻断簡
蓮の描かれた掛け軸。でもなんかつぎはぎ?と思ったら。
こういうことだそうです。ロ、ロマン……!!!
誰が作ろうと決めて、どういう人たちが分け合ったのかなぁと考えるとロマンしかない。
残りが失われているというのも諸行無常で儚さが強い。
この掛け軸単体がどうというより、全体として大きな流れがあるんだなぁと眺めながら考える作品。インスタレーションと言ってもよいよね。
d.薩摩切子紅色被皿
赤い切子ガラスの器。inspirationの方は、この模様を再現したものでした。
e.銹絵染付松樹文茶碗
侘び寂びの抹茶椀。お茶を点てた時、抹茶の緑色と外に描かれた松の緑色とが響きあって超クール、という説明があった。
f.御所車桜蒔絵提重
江戸時代のピクニックセットです。
お重とお皿などが一つの箱にすっきり収まり、持ち運びできるようになっています。
こういうの、欲しいよねぇ。
ヤフオクとかで探すと意外と数出てきます。数万で買えることもあるみたい。お花見とかで使ったら楽しかろうねぇ。
とはいえ、このお重の中身をきっちり詰めないといけないのかとか思うと、買う気がうせるというか……本当に使うならゴムパッキン欲しいなとか、持ち運びには車が無いと厳しいよなとか、現実的なことばかり考えてしまう。
でも家にあったら楽しかろうなぁ。
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以下、inspirationではただ裏側を見るだけだったけど気に入った作品
楓流水蒔絵車透香枕
髪の毛に香を焚き染めるための道具だそうです。
枕は普通に首にあてる箱枕を使い、髪の毛をこの上にのせて寝るのだとか。中に香を入れて焚き、その煙で髪をいぶす感じですね。
綺麗だし面白い。
しかし昔の人は寝返りとかしなかったのかな?って箱枕を見ると思います。それに絶対首痛いよね…
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色絵獅子鈕毬形香炉
獅子が毬で遊んでいるデザインの香炉。かわいい。すごくかわいい。うちに猫がいなかったら蚊取り線香用に欲しいくらいかわいい。
ちょっと読みづらいけど読んで欲しい。獅子の生まれ方がかわいい。
二頭がじゃれてできた毛玉から生まれるってなにそれ。かわいい。イラストも可愛い。桃太郎か。最高か。
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というわけで、結構面白かったけど、かなりストレスだった。
inspirationの方は覗きこんだり特定の場所で見たりと、一人で見る分にはいいが他の鑑賞者がいると邪魔だし順番待ちとかあって嫌だった。
informationの方は文章やたらあって読むのに時間かかるし、そうやって読んでると本体の方見る気力が疲れてちょっと薄れた。
そもそも人気が出て混雑したら成立しない展示方法であるように思う。人を集めたい美術館として本末転倒感がある。
結局、普段の美術館のキャプションや展示方法は適切なんだなぁって再確認した日であった。
【感想文】妖魔夜行まとめ読み
書籍データ
久々に妖魔夜行を読んだら懐かしくなったので、図書館で手に入るだけシリーズ本を借りて読んでみた。私の知っていた妖魔夜行、一回完結してたり、百鬼夜翔という新しいシリーズを出してたり、妖魔夜行の第二部が出ていたり。
未読既読合わせて数冊読んでみたけど、だいぶ変わったなぁという印象だった。
なんというか、私の好きだった妖魔夜行は、ラノベじゃなくてヤングアダルト小説だった。というニュアンスの違いがわかるだろうか。
若者向けの本であることは変わらないんだけれど、大人の世界を見せる話だった。イラストに象徴されるようにクールでスタイリッシュでちょっとだけ倦怠感の漂う話だった。そもそもの舞台が「Bar うさぎの穴」だもの。
それが第一部最終巻の「戦慄のミレニアム」を読んだら、すごいラノベ感が強くてびっくりしたし、第二部に至っては完全に狙って書いているラノベだった。
ラノベが悪いわけではないけど…第二部だから完全に別物として読めばいいのだろうけれど…まぁ単純にすごく面白いってわけでもなく普通だった。
とりあえず読んだことに満足したから、もういいかなって。
初期作品はすごくいいんだけどねぇ。
古い本だし数も多いし、ざっくり感想。
最近気づいたけど、買って読みたくなるような文章書かないとアフィ貼る意味ないよね。気をつけないとね。
でもこの本絶版だからいいや。
収録タイトル
舞台
現代(バブル期)日本。人間に交じって神通力を持つ妖怪が暮らしている世界。
人間の強い想いから生み出された妖怪たちは、最初はぼんやりとした思念でしかないが、長く生きるに従いしっかりとした自我を身につけて社会にまぎれて暮らしている。
そんな妖怪たちの自助組合である各地の"ネットワーク"は人間と妖怪の間に起こるトラブルの解消も行っている。
対して「ザ・ビースト」と呼ばれる組織は人間たちを苦しめることで利益を生み、世界を支配しようとしている。
「闇より帰りきて」 友野 詳
既読。面白いです。
大人の三角関係の話。ミステリー感というか、旅情サスペンス風味。
愛情とは対等な関係であること。成長しない相手とはいられないこと。自分でものを考えることの必要性。
そういうことを考えさせる話。
短編集:しかばね奇譚
「悪意の連鎖」 山本弘
不幸の手紙にまつわる話。既読。
すごくシンプルな話で、"まぁそうなるよなぁ"って順当なストーリー。主人公たちもあまり活躍していない。
でも面白いんだなぁこれ。筋書きもだし、表現力がいいんだと思う。
「背中合わせの幸運」 安田均
幸運の女神の話。既読。
終わり方があっさりしすぎているせいか、あまり印象に残らない。
「しかばね奇譚」 高井信
本に取り込まれる話。既読。
読書マニアにはわかるわ~~ってなる。
好きな作者の本は誰よりも早く読みたいけど、手に入れたことを自慢しようと思わないのかなぁって思った。
短編集:穢された翼
「五グラムの願い」 拓植めぐみ
パチンコの話。初読。
善玉と悪玉としてパチンコの妖怪が2人出てくるけど、なんで別れちゃったのかが弱い。特に、何で悪玉妖怪が生まれたのかっていう説明がぼんやりしているなぁと思った。
「人形使いの黒い箱」 北沢 慶
格闘技と格闘ゲームの話。初読。
ちょっと話がとっちらかってる。格闘技とゲームとどちらかにしたほうがよかった。
「穢された翼」 山本弘
超能力の話。初読。
面白かった。超能力の妖怪がどうやって出るかとかもきちんと説明されている。ちょっと説明部分が長いけど
「戦慄のミレニアム」 山本弘
ヨハネの黙示録に出てくる世界を滅ぼす「神」と「天使」達が妖怪として出現し、実際に世界を滅ぼそうとする。「うさぎの穴」を始め世界中の「ネットワーク」と、普段彼らと対立している「ザ・ビースト」は手を組んでそれを阻止しようとする。
初読。
なんか……なんかひどかった。
今までの妖魔夜行シリーズを全部ぶち壊したかったのかな?って思った。
いきなり登場するガサツなアメリカ娘。
唐突で必然性が無く誰得なエロ設定。(タンポン型発信機とか喜ぶ人いるの?)
やたら多くて外見描写だけで終わるゲストキャラクター。
出てこない、ほとんど活躍しないシリーズ主要キャラクター。
ヒーローキャラ突然のへたれ化。
そして、清純派で芯が強いという設定のヒロインが、突然セクシーキャラに変身。
なんなん…高校中退のキャラがいきなりネイティブレベルで英語話しだすし、セクシーとはとても言えないエロ単語が羅列されるし…
これまで積み重ねてきたもの、全部ひっくり返したかったのかな。
他の人たちが描いてきた話、全部無効にしたかったのかな。
自分だけで好き勝手やりたかったのかな。
愛がなくて悲しかった。
「闇への第一歩」 山本弘
第二部。初読。
クラスメイトと付きあった少女が偶然妖怪に襲われ、それに伴って彼氏が妖怪であることを知る。自分も妖怪になることを決意して戦う話。
メタい。そして引き続きしょうもないエロが続く。
なんとういか、いたたまれない話だった。
完全なラノベというか、頑張ってラノベにしようとして滑ってる感じ。
「お約束」描写がすごく多い。
あんまりおもしろくなかったなぁ。
第一部とは世界観も設定も全く別の話でした。
「ドローンの妖怪」が出てくるのだけれど、その「ドローン」というのが今一般的なドローンとはちょっと違って面白かった。
木をかくすなら TOKYO MIDTOWN AWARD 2018 EXHIBITION 5/27
サントリー美術館に行った話をしたいけどそっちはまだとっちらかってるし、こっちの方が先にみたからこっちの話をするよ。
美術館のすぐ横でやっていました。
この作品ですね。
商品デザインのコンセプトモデルのようでした。どれも可愛くてよかった。
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漆間 弘子/漆間 康介「猫に小判」
最初に見たのがこれ。
ミッドタウンの中なので、どっかの店で売ってる商品の広告かな?ぼうろ的なお菓子かな?と思ったら。
猫用のカリカリでした。
かわいい。売ってたら買っちゃうかもしれない。
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プラマイロク[三原 麻里子/野中 胡美] 「cocoro ame」
キャンディーのようです。
あー、なんかロフトとかで売ってたら普通に人気でそう。
今すぐにでも商品化できると思う。
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山月 智浩 「nipple invisible」
Tシャツですね。
馬鹿ですね(褒めてる)
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過去受賞作、商品化されたものも多いですね。
売ってるの見たことあるわ~ってのもちらほら。
六本木のミッドタウン、地下鉄駅近くでよくアートコンペの展示をしているのですが、上階でデザインコンペやってるのは気づきませんでした。それもトイレのそばとか目立たないところで。
デザインコンペの方が好みだからまた機会があったら覗いてみたい。