人の金で美術館に行きたい+読

美術館に行った話とか猫の話とかします。美術館に呼んでほしい。あと濫読の記録。




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【感想文】フローベール

こっちで読書感想文もやることにしました。
最初ブログ分けてたけど、めんどくさい…
ただそうするとカテゴリが死ぬので何とかしようとしてはいます。

 

書籍データ

f:id:minnagi:20190417225251j:image

うーん、なんだろう、この本…
読書中に思わずブログ更新してしまったんですが、この本基本的に「抄」なんですよね。物語の途中が粗筋になっている。なんでこんな形態なんだろう?って正直不思議に思います。
ただあらすじだけ知りたい人用、というには各話が普通に250ページとかちょっと薄い単行本くらいのボリュームがある。○分でわかる名作みたいな簡易本では決してない。
「ポケットマスターピース」という名前なだけに表紙は文庫本サイズではあるが、848ページあるのでこんなもんポケットに入るわけもない。
ほんと、なんなんだろう。何がしたかったんだろうこの本で。本書くと手軽さの両立を目指そうとして両方失敗しているような気がする。

あ、でも話は面白いし訳も美しいです。だからこそすっごい戸惑う。

 

収録タイトル

十一月 何らかの文体の断片

少年のころから理想の恋にあこがれるあまり現実の女性に恋愛することができずにいる青年。思い余った彼は娼館に行き、一人の娼婦と出会う。彼女はまるで彼の写し鏡のような女だった。

率直な感想としては、「エロ本だなこれ」です。老人が現在の自分を人生の黄昏、十一月になぞらえて青春時代を思い出すという形態になっているので色々と美化されて感傷的になっているのはわかるけど、それにしても自分勝手な男だなぁとは思う。時代的なものも合うrけど、女の価値は容色のみなんだなぁって。
心理描写、青春の苦悩、自然の美しさという文章自体の素晴らしさはピカイチだし、娼婦の魂の激しさや理想化されたものと現実との苦悩というのも素晴らしい。
ただ、作者が最後どうにもならなくなったのかぶん投げて終わってるのがなぁ。途中で書いてるのが嫌になったのか、敢えてめちゃめちゃにぶち壊して終わるみたいなのが。
面白いと言えば面白いし、酷いと言えば酷い。

ボヴァリー夫人(抄)

美しい若妻エンマは、自分を熱心に愛してはいるが愚鈍で無能な夫にうんざりしていた。子どものころから小説にあるような熱く激しい恋愛にあこがれていた彼女は、理想の世界に比べた現実の味気なさに苦しむ。
それに付け込んだ遊び人の男や悪徳商人に騙され、エンマは身を持ち崩してゆく。

基本的なテーマは十一月と同じだ。
理想の世界と現実とのギャップ。虚構と現実の区別がつかないことへの苦しみ。
知らなければそれで済むものを、知ってしまったが故の苦しみは教育など不要なのだと言っているようだ。
心理描写は美しいし、エンマは馬鹿だなぁ、でも気持ちもわかるなぁとか、色々気持ちを揺さぶる文章です。
でも長い。
冒頭の少年部分とかいらないんじゃね?って思うけど、わざわざ後から描き足したくらいフローベールには重要な部分だったようで。うーむ。


非道徳的として裁判沙汰にもなったという本ですが、その肝心の非道徳的な部分は省略されて箇条書きなので迫力に欠ける。どの程度だったんだろうなぁ。チャタレイ夫人みたいにコレはアウツなエロ本ですねって感じだったのか、え?この時代だとこの程度でも駄目なの?程度のものだったのか。
話は普通に面白いですが、まぁ冗長ではあります。そんで本筋部分が簡略化されているのでいまいち乗りきれない。

 

サランボー(抄)

紀元前のカルタゴ、戦争に敗れ疲弊した国は雇っていた傭兵への給与が支払えずにいた。彼らの不満を抑えるために開かれた宴会で、巫女サランボーと傭兵マトーは出会う。マトーはサランボーに強く惹かれるが、サランボーは彼を恐れる。
給与を支払わないことに怒る傭兵たちは、カルタゴと戦争を始める。戦乱の中、神殿から奪われた聖衣を取り返すため、サランボーはわずかの共に導かれて戦の中心にいるマトーのもとへ行く。

すっごい面白い。こういう話めっちゃ好き。
ギュスターヴ・モローに霊感を与えてサロメを描かせたというこの物語。けがれを知らぬ美しく純粋なサロメに惑わされる男達。献香のむせかえる煙で窒息し、朦朧としたまま見る幻覚のような話。鮮烈で残酷な、野蛮な血の流れる物語。
サランボーの世界と、男達の世界の対比が劇的です。戦闘シーンの残虐さも相当好き。

Wikipediaだと、「一夜をともにしたことによって彼女自身もマトーを愛するようになり」って明記されてるけど、正直異議ありだ。
まず、サランボーとマトンは確かによる二人きりでテントにいたけれど、肉体関係があったとは書かれていない。むしろなかったと読める。
マトーはサランボーを簡単にどうにかできるほど彼女のことをただの女だとは思っていない。もっと崇高なもの、愛を求めはしてもどうすればいいかわからないほど気高いものと見ていたはずだ。
サランボーの純潔を示す金の鎖が切れたのは肉体関係があったからではなく、マトーが彼女を運んだ時に慌てたからだ。明記されている。そしてそれが示唆するものは肉体の純潔の欠如ではなく、魂の純潔さが乱されたことだ。
サランボーはマトーを愛していたのか?いたのだろう。だが、それは彼女自身が自覚できるものではなかった。彼女は男女の愛というものを理解できないほどの純粋培養だったのだから。

 サランボーの師、シャハバリムが好きだ。国一番の賢者である彼は、全てを知りぬいているが故に、ひたむきに神を学び信仰すれど愚かなサランボーを倦み、そしてうらやんでいる。自信が宦官であるがゆえにサランボーに近づけることは理解していても、男性機能が失われているがゆえに彼女を自分のものとすることができない。愛し、憎み、憧れるその複雑な感情がとてもよい。

完全版読みたいけど、長いんだろうなぁ…。

ブヴァールとペキュシェ(抄)

ひょんなことから友達になったブヴァールとペキュシェは、莫大な遺産を受け継いだのを機に田舎に引っ越す。専門書をたくさん取り寄せて表面だけ読み賢くなったような気になった二人は意気揚々と様々な事業に手を出すが、失敗ばかり。

つまんなかった。 
愚かな主人公はむかつくし、現代社会への皮肉なんだろうけれど風刺は気分が悪くなるから単純に嫌いだ。そして物語として面白いかどうかも、同じことのひたすら繰り返しでつまらない。
作者死亡により未完だが、ラストまでざっと構想が残っているのでそれが掲載されている。そのラストの本当に最後のオチだけ皮肉が利いていていいなと思った。

 

で、結局どうなん

十一月が読みたい人は手に入りやすい本として読む価値があります。全文載ってるし。
ボヴァリー夫人が読みたい人は、他の版を選ぶべきです。現行で手に入る本がいくらでもあります。

サランボーを読みたい人は…これしかないのかなぁ。今新本で手に入るものはなさそうだし、図書館で探すにも相当古い本しかなさそうです。でも古い本を探した方がいいかも。とても面白く美しい話だし、翻訳が古めかしくても雰囲気とマッチして違和感なさそうな気がする。

ブヴァールとペキシュは、読む価値ないです。

文学的評価としては、ボヴァリー婦人の評価が高いようです。解説では

 

【感想文】ギュスターヴ・モロー展 サロメと宿命の女たち

書籍データ


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今日は記録だけです。
というのも、美術展の図録を読んだよってだけだからです。

図録って要するに画集でしょ?読むところあるの?って聞かれたらまぁ確かにその通りなんだけど、この密度でがっつり固い文章が書いてあったりもするんだよ。

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面白かったよと言っても、汐留の美術館に行かないと買えないのでアフィが貼れない。最近は美術展の図録もアマゾンで取り扱ってたりするんだけどなぁ。

これとか表紙が似ている(無理やり。

 

美術展詳細はこっちで読むといいよ

minnagi.hatenablog.com

図録なので粗筋はありません

【粗筋】Iターン

書籍データ

主要人物

  • 狛江:主人公。広告代理店社員。左遷されてくる。
  • 竜崎:ヤクザ。竜神会の組長
  • 岩切:ヤクザ。岩切会の組長
  • 土屋:零細印刷会社社長

 

舞台

少し前の現代。不況の風が吹き荒れる東京から北九州へ

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↓粗筋開始(白文字)↓

うだつの上がらない広告代理店社員狛江は折からの不況に伴いリストラ要員として北九州支店に飛ばされる。単身赴任で支店長となり、リストラを回避のため営業成績を上げようと奮闘する。
売上向上施策の一つとしてクオリティの低い土屋の印刷所との取引停止することになる。すると最後に回したチラシ印刷で嫌がらせとして電話番号をわざと誤植をされてしまう。そのチラシはヤクザ竜神会系列のもので、呼び出された狛江は損害賠償を迫られる。会社にバレたらクビになると消費者金融を回って借金して竜崎に金を渡す。追加で系列店の広告を無料で作成するよう脅迫される。

 

狛江に、再びクレームが入ってくる。先程の竜神会チラシで誤植された電話番号は、対立するヤクザ岩切会の系列店のものだったのだ。営業妨害の損害賠償をしろと迫られる。もう借金のアテもない狛江は竜崎に仕事で会うついでに金を借りられないかと相談する。意外にも竜崎はそれを了承し、取引の場に金を持っていくことを約束する。
岩切に金を渡す日、竜崎の手下が持ってきたカバンには白紙と白い粉が入っていた。偶然それに気づいた狛江は訝しんで取り出すが、すぐに岩切が来てカバンを奪われる
と、突然警察が乱入して持ち物検査を始めるが、直前に粉を取り出していたため空振りに終わる。狛江は岩切に金が入っていないことを責められ、竜崎に粉入りのカバンを渡されたことを白状する。竜神会は覚醒剤の取引で繋がりのある刑事に岩切会を逮捕させようとしたのだ。
元々対立していた竜崎と岩切は大揉めし、売り言葉に買い言葉で狛江は無理矢理に岩切の舎弟にされてしまう。

 

借金に加えて岩切への上納金まで負担することになる狛江。金を作るため岩切会の力でデパートや銀行の役員を脅迫し、仕事を発注させる。土屋の印刷会社も巻き込んで架空請求で金を作る。

 

狛江は竜崎にスパイになるよう脅迫される。近々拳銃取引があるので場所等を密告しろと言うのだ。しかしなんの情報も掴めないまま取引当日を迎える。竜神会は岩切会の本部に乱入し、若い衆をさらい、命が惜しければ岩切に対し警察は自首するよう要求する。出頭するも、何の自白もせず粘る岩切。そこに竜神会から囚われた若い衆が自力で逃げてくる。
岩切の自白を阻止したいが拘置所と連絡を取る手段がない。そこで狛江はデパートの新聞広告の文を一部書き換え、暗号で岩切に若い衆の無事を伝える。

 

暗号に気づいて自白をやめた岩切は拘置所を出て戻ってくる。そのまま岩切会は竜神会に突入し、竜神会を壊滅させる。
狛江はデパートの広告誤植の責任を本社から取らされそうになる。しかし竜神会と繋がりのあった銀行が岩切会に乗り換え、その舎弟である狛江をクビにしないよう圧力をかけてきた。ヤクザの一員を刺激しないようにとリストラから一転、東京本社に戻って昇進となる狛江。竜神会、岩切会との縁も切れて東京へ戻って行く狛江。
新幹線の隣の席に何故か岩切が現れて、自分も単身赴任して東京でヤクザ仕事をするつもりだと告げる。

↑粗筋終了(白文字)↑

とにかく美しいから全部許す ラファエル前派の軌跡展 4/14

ラファエル前派の軌跡展を見に行った。 
この美術館は19世紀末美術を何度も特集しているし、ラファエル前派も何回目だよって感じ。でも好きだから見る。

mimt.jp

 公式サイトや事前公開情報だと、「ラファエル前派の前後、流れ」がテーマみたいなことが書いてあったけど、ふたを開けてみたら「ジョン・ラスキン展」って感じだった。
べつにラファエル前派解散後にそれぞれがどういう風に画風を変えて行ってみたいな話はなかった。ちょっと期待しちゃったんだけどな。
ラファエル前派がどう変化していたかではなく、ラスキンをとり撒く芸術家の変化、ターナーからラファエル前派、アーツ&クラフツ運動へといったイギリス美術界の流れだった。

 

というわけで、ジョン・ラスキンとは。

ja.wikipedia.org

 19世紀イギリスの美術評論家です。ついでに本人も絵を描き(販売はしてなさそう)、芸術家のパトロンとなり、美術論の本を書き、とこの時代の美術界に多大なる影響を与えた人です。

今回の展示で初めて本人の描いた絵を見たけど、かなりうまかった。本業ではないのでスケッチ程度のものだったけれど、かなりシャープで険しい感じの自然を描く人だったよ。

そして今回メインはやっぱりラファエル前派。作品はピュアで美しいのに人間関係やばいよね…
まずラスキンに最初に目をかけられたのはジョン・エヴァレット・ミレイ。でも彼はこともあろうにパトロンであるラスキンの妻を略奪してしまいます。
「夫の身体的理由によって実際の夫婦生活は無かったとして離婚を申請」って、まぁキリスト教の離婚は白い結婚(若年等の理由で性生活がないこと)であることが基本だったりしはするんだけど、それにしても情け容赦がなさすぎないか。
その後ミレイがラスキンに冷遇されるのも仕方ないとしか言えない。
次にラスキンが目を付けたダンテ・ゲイブリエル・ロセッティは、同じくラスキンに目をかけられたアーツ&クラフツのウィリアム・モリスの妻と恋愛関係に。
ついでに言うと「アカデミーなんかクソだ!」と若き芸術家が集ったラファエル前派は、創立メンバーであるミレイがあろうことかその否定したアカデミーに入るなどして数年でグダグダの解散。
設立理由から内部いざこざから崩壊理由まで、じつに若さあふれるというか厨二感があふれていて嫌いじゃない。
作品が美しければいいんだよ、所詮百年以上前の他人事だしな。

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ジョン・エヴァレット・ミレイ「結婚通知―捨てられて」

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結婚した友人から招待状を受け取った若い女性。題名から察するに、彼女には婚約を破棄された過去があり、屈辱を社会的な不名誉をこうむったのだろう。

 おまいう、って感じ。解説文もそんなニュアンス出してた。だよね。
実にメロドラマ的なテーマがラファエル前派っぽいなと思った。あと、今回額縁がめっちゃ金だった。金色だらけだった。オリジナルの額っぽいんだけど、これもはやってたのかな。

純粋に絵的に言うと、本当にうまい。ぶっちゃけロセッティよりうまい。リアルだし、リアルだけではない詩情もある。彼女には幸せになって欲しい。

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アーサー・ヒューズ「ブラッケン・ディーンのクリスマス・キャロル―ジェイムズ・リサート家」

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全体としては動きが硬く不自然なところも多いんだけど、色がとてもきれい。そしてめっちゃラファエル前派っぽいなと思った。
若く美しく愛らしい子どもたち。登場人物全員が高貴な青を身につけて、純粋さを示しているかのよう。
右中段の女の子がやたらめったらかわいい。

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フォード・マドクス・ブラウン「待ちわびて―1854-55年イギリスの冬の炉端」
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すごいラファエル前派っぽい。メロドラマ的というか。
赤ちゃんがすそを覆い隠すようなドレスを着ているのが時代感だなと思う。そこに映った暖炉の火、その赤色がとても美しい作品。

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ウィリアム・ヘンリーハント「ヨーロッパカヤクグリ(イワヒバリ属)の巣」f:id:minnagi:20190415145256j:image

とにかく今回、純粋に絵がうまいなって人が非常に多い。え?写真?って一瞬思うような。
その中でも白眉は「鳥の巣の画家」ことウィリアム・ヘンリーハント。絵を見た瞬間京都人が“教科書で見たやつだ!”って言った。超有名。
元々は複製画家として働いていたという彼、ものを見て正確に写すということが得意なのでしょう。それにしてもうまい。巣の中の綿毛の様子とか信じられないほど。
でも近づいてよく見てみると、意外と点描っぽい感じなんだよね。苔とか。
今回油彩でも水彩でもめっちゃ細かく描かれたものが多くてどういう目と手をしてんだろうなぁってなるよ。

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フレデリック・レイトン「母と子(サクランボ)」

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これ、一番好き。
鶴の描かれた日本の屏風、アラビア絨毯、サクランボ。東洋趣味と時代感と。
凛とした白百合が気高さと清純さを、そして柔らかく描かれた人物がまるで聖母子像のようなぬくもりを感じさせる。
鋭い花、厚く温かい絨毯、そして柔らかな洋服と、さまざまな質感を描き分けた技量の高い作品。

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ダンテ・ゲイブリエル・ロセッティ「祝福されし乙女」

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もう、額からテーマから全部ラファエル前派ここにあり!って作品。

若くして世を去り、天国で恋人と再会する瞬間を心待ちにしている乙女の物語。地上の恋人は彼女を想い天を見上げている。

だそうです。中世の恋物語ですね。
地上で結ばれなかった恋人たちの心は永遠につながっているとか、もうこの時代感がすごい。厳しい道徳観念と、乙女へのあこがれ。愛の勝利。 

ロセッティの描く女性は自分の妻ではなくモリスの妻がモデル。彼女の写真もあったけど本当にそっくり。一応妻帯者で、他人の妻をモデルにするんだから少しは変えない?ってくらいそっくり。そんなんだから自分の奥さんが自殺するんじゃ。自重しろ。

 

ラファエル前派は人気だから何度も展示は見ているのですが、見たことない作品もあってよかったです。そして今回メイン展示ともいえる一室が撮影可能で、太っ腹だなぁとびっくりしました。
珍しいラスキン本人の作品も見れるし、ターナーも来てるし、そうとうお得な展示だと思います。

閑話休題・初めての“抄”

まだ読み終わってないのだけれど、初めて(抄)のついた本を読んで驚愕したので日記を書く。

 

抄を辞書で引くと以下のようにある。

長い文章などの一部を書き出すこと。また、そのもの。ぬきがき。


なんでこの本を読もうとしたかというと、そもそもはギュスターヴ・モロー展をみたからだ。図録を買ったら、「フローベールサランボーをイメージとしてモローはサロメを描いた」とあって、ふーんどんな話なんだろう?と探してみて、すぐに手に入るのがこれだけだったんですよ。
収録作品が

すっごい分厚い本の割に収録作の3/5が(抄)。ちょっとひどい。
それだったら2作くらいにして全文入れて欲しい。


私、今まで(抄)ってつく本読んだことが無いんです。
だって当然じゃないですか。読みたい話があるというのに、なんで全文読まずにわざわざ抜粋だけ読もうと思うんだって話ですよ。読むかどうか迷ってるレベルなら粗筋を読んで判断すればいいだけの話で、中途半端に長い要約を読んでどうするんだってことです。

けど、明示されてこそいなくとも、誰でも(抄)的な話って読んだことあると思うんですよね。
児童小説です。なんなら、絵本でもいい。
わかりやすい例でいえば、スウィフトのガリバー旅行記
イギリス人が小人の国と巨人の国を冒険して帰ってくるというストーリーを知らない人は少ないでしょう。
けれども、その後ラピュタに行ったり馬の国に行ったりして最終的に馬小屋で生涯を終えることになると知っている人もまた少ないと思います。
それはほとんどの人が、子供向けの省略版を読んでいるからでしょう。
子供向けの本って、結構省略版多いですよね。それって、(抄)と同じじゃないかなぁって思いまして。
まぁ要するに省略版だな。うまいとこ名場面つなげて本筋じゃないエピソード削って中編くらいの長さに収めてるのかな。
そのくらいの気持ちで読み始めました。

 

特に理由もない時は、私は本を最初から読みます。収録順にも意味はあるし。今すぐサランボー読みたくて死ぬ!ってほどでもないし。
だから普通に「十一月」を読んでから特に目当てでもないけどタイトル聞いたことくらいあるわ~と「ボヴァリー夫人」を読み始めたわけです。
話はボヴァリー少年から始まって母ボヴァリーが出てきて年上妻ボヴァリーも出てきて、「タイトルにある『ボヴァリー夫人』ってどっちのことかな?」と思いながらさらに読み進めると、やっと主人公の「若妻ボヴァリー」が出てきてひと安心。
「省略版なら学生時代の話とか削ってもよくね?」と思った。
「もしかしてこれって、私が思ってる省略本とは違うのかな?」とは思った。
けど、まさか結構なページ読み進めた後で、こんなページが出てくるとは思いもしなかった。

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マジで…?世の中の○○(抄)って話、こういう形態なの…?斬新じゃね…???

 

いや、斬新ってのも違うんでしょうが。初めて読んだので本気でびっくりしました。動揺しています。
文体の美しさで読むのは苦痛でないし、普通の小説からのいきなり箇条書きを経ていきなりクライマックスを省略してのラストシーンなので戸惑いはしましたが話はわかりました。
ただ、動揺が酷い。思わずどこかに書きださずにはいられないほど動揺している。
そうか…(抄)ってこんな感じなんだ……

 

今、続けてサランボーを読み始めています。
いつまた箇条書きが始まるか、正直ビクビクしている。

【感想】Iターン ドラマ化するらしいお

書籍データ

  • タイトル:Iターン
  • 作者:福澤徹三
  • お勧め度:★

 ドラマ化決定!!

www.tv-tokyo.co.jp

主要人物

  • 狛江:主人公。広告代理店社員。左遷されてくる。
  • 竜崎:ヤクザ。竜神会の組長
  • 岩切:ヤクザ。岩切会の組長
  • 土屋:零細印刷会社社長

 

広告代理店に勤める男。不景気のあおりを受け、リストラ要因として北九州に左遷されてしまう。何とか実績を積み上げて本社に戻ろうと奮闘するも、二つのヤクザの抗争に巻き込まれ、いつの間にか借金まみれの下っ端ヤクザとして働かされてしまう。食えない零細印刷会社社長も加わって、男の二重生活は大混乱となる。

 

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 ええとね、ドラマ化決定!って赤字で書いてみたんだけどね。て言うかそのうわさを聞いてちょっくら原作読んでみるかって手に取ってみたんだけどね。
この本すごいつまんなかったんだよ…

設定はいいと思うんだけどすごいつまんない。なんでだろうってくらいつまらない。
会社員とヤクザの二重生活なんてハラハラしそうなものだけど、だらだら書いてるなぁって思ってしまう。おかしいなぁ。

なんといっても、キャラクターに魅力がない。特に主人公に全くない。
馬鹿主人公って嫌いなんだよね。
まぁ小説だから最終的には上手い方向に転がりはするんだけど、ヤクザに脅迫されるとかもう本当に「普通に警察行けよ」としか思えないじゃない。
会社をクビになりたくないからって言うけど、家庭にも同僚にも恵まれない彼が、現在の職に縋りつく理由が正直わからない……っていうのは景気が上向いてきた2019年に読んでいるからかもしれないけれど。でも、だったらもう少し不景気の描写してくれないとさぁ。登場人物が「不景気不景気」言ってるだけで納得しろって言われても。
それに冒頭で多重債務者になるんだけど、それ返済してなくない?とか、リアリティがない。
リアリティがないならないでめっちゃコメディにすればいいものを、半端にリアル路線にしようとするからつまんないんだよな。

 

あとこういう主人公がめちゃめちゃ不幸になる話は、後半で怒涛の巻き返しをするからカタルシスが得られるんだと思うんだけど、そこがすごい少ない。
結局最後まで何故か組長達に気に入られて抗争の真ん中で右往左往するだけで、1回しか役に立ってない。率直、お前何のためにここにいるの?って感じだ。
だったらもういっそ、ヤクザの中で何故かのし上がっちゃったりする方が面白いんじゃないだろうか。

 

などと言ってしまうくらい、小説としてはつまらなかった。
でも、ドラマなら割と面白いんじゃないかな?って思う。
主演がムロツヨシさんでしょ?ということはコメディタッチでやるんでしょう?
深夜ドラマだから演出とか自由だろうし、連ドラだから一話完結的に短く起承転結でオチを付ければ、グダグタの中だるみも解消されるだろう。
個性派俳優の魅力で押し切れば、小説よりはずっと面白いものができるんじゃないかと思う。

 

って書いた後にアフィ貼っても、売れるわけないわな…w

【粗筋】魔法使いになる14の方法

訳:大友香奈子

 

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↓粗筋開始(白文字)↓

ドゥ・ララ教授と二ペンスの魔法

  • E・ネズビット

弱虫な妹と乱暴な兄。ある日兄にいじめられた妹は、魔法の店でドゥ・ララ教授からニペンス分兄をやっつけるための魔法を買う。翌朝、兄は妹のように弱虫になり、妹は兄のように乱暴になっている。お互いの学校でトラブルを引き起こす二人。帰宅後兄は昨日の行いを謝り、妹は今後弱くなった兄を守ると約束する。謝罪のキスを受け入れると教授が現れ、魔法が解けたことを告げる。元に戻った二人だが、兄は少しだけ優しくなり、妹は少しだけ勇敢になる。

学校奇譚

新しく寄宿学校に通うことになった少年が駅に着くと、不気味な上級生が通りがかって学校に送ってくれると言う。暗い建物に着くと、どこか奇妙な上級生達が現れて自分達が悪魔崇拝者であること、校長がそれを止めようとしたが失敗したことなどを語る。逃げようとした少年を先輩達が捕まえ、生き血を啜って彼もアンデッドにしようと襲いかかろうとした時、校長が現れる。校長の助けで逃げ出した少年は駅にたどり着き、そこで迎えに来ていた本物の教師に会う。教師は少年が行った方向に廃屋があり、かつて校長が発狂して不良生徒を殺す事件が起きていたこと、そしてついさっき校長が死亡したことを告げる。

悪魔の校長

  • ジリアン・クロス

カーニバルの仮装行列を楽しみにしていた少女。衣装を取りに家を開けると、カーニバルの計画会議をしていたはずの大人達が急に「カーニバルは中止」と言い出す。議事録がわり録音していた音声を再生すると、近所で校長と呼ばれる魔法使いがカーニバルの中止を命じていた。校長は目を見て特別に命ずることで、相手を従わせることができるのだ。少女は友達と対策を考える。カーニバル当日、動かない大人を尻目に少女達は仮装して街に飛び出す。校長が再び顔を出してカーニバル中止を命じようとしたとき、「カーニバルを始めるように」と聞こえるように編集した校長の声を大音量で再生する。大人も子供も入り混じるカーニバルは大盛り上がり。校長は自分の家に引きこもる。

ワルプルギスの夜

  • ハンフリー・カーペンター

魔法の世界を追放されたマジェイカ先生は人間界で教師の職についている。先生は故郷のお祭り「ワルプルギス」を恋しく思う。一緒に祝う魔法仲間はいないが、せめて一人でも祝おうと準備しているが、まさにその日泊りがけの学校行事が入ってがっかりする。一方魔法界では追放したとは言えワルプルギスを一人で過ごさせるのは可哀想だと、一人の幽霊を人間界に派遣することにする。生徒たちを引率して古城に遠足に来た先生は、観光用のホテルとなっている城の持ち主である成金夫妻が、もし幽霊が城にいたら箔がついてさらにお金が儲かるのにと望んでいることを知る。そんなところに魔法界から派遣された幽霊が到着する。先生は成金夫妻に幽霊を紹介し、幽霊も古城が気に入ってずっと城に住むことにする。

暗黒のオリバー

学校のいじめっ子に悩む少年オリバーは、夏休み家族でギリシアに旅行に行く。そこで少年は冥界の王ハデスとその妻ペルセポネの幻影を見る。幻影から覚めたとき、彼の手の中には不思議な石があった。学校に戻り、石を手にいじめっ子と対決した少年は、またハデスの幻影を見、その間、無意識のうちにいじめっ子を倒したことを知る。いじめっ子もその石に不思議な力があることを認め、二人は仲良くなる。

さがしものの神様

  • ジョーン・エイキン

ある少年の語りで物語は進行する。いつも嘘ばかりついて自分の持ち物を見せびらかしている新入生は皆に嫌われている。どう見てもガラクタだが非常に貴重なものだと自慢していた彼の持ち物がある日いくつか盗まれて行方不明になる。そんな中、地元の資料館に遠足に行った生徒たちは、資料館が新入生の子孫に寄贈されたものであると館長に告げられ、特別な収蔵品を見せられる。その一つをこっそり学校に持って帰った新入生はそれが「ヴォーン、探し物の神様の像」であると告げる。神の力に導かれるという新入生は女子寮の学級委員の部屋から、盗まれたものの一つを見つけ出す。他のものも見つけようとしたとき、教師の誰かが新入生を呼ぶ声がする。先生から隠れようとトイレにこもった新入生は大きな悲鳴を上げて姿を消す。その後彼は死んだとみなされて葬式があげられる。一族の墓には「探し出さないようにせよ。自らを見つけられることにならないように」という詩が刻まれていた。探し物の神様像は資料館に戻され、語り手の少年は新入生から盗んでいたものを木の下に埋める。

ダブラーズ

  • ウィリアム・ハーヴィー

三人の父親が、息子たちを入れた学校について、最近の学校教育について語り合う。一人が自分がかつて教職を取っていた学校に伝わる「ダブラーズ」という伝統について語る。6月のある夜、夜中に奇妙な歌を歌い歩く少年たちだ。その秘密が徐々に暴かれる。黒ミサのようなその奇妙な風習は、別の父親の子供が通う学校のことだと判明する。

飛行術入門

魔法使いの使い魔だったヒキガエルが女の子に空の飛び方を教える。ありあわせの材料で飛行用の軟膏を調合するも、魔力の弱い女の子一人では空を飛ぶことができない。ヒキガエルの助けを得て何度も奮闘し、ついに階段の上から下まできれいに飛ぶことに成功する。

中国からきた卵

日本で働く息子から、イギリスの実家に卵が送られてくる。遭難して死亡した中国人から託されたものだという…ただし、中国語がわかるものが誰もおらず、何の卵かはわからない。きらきら輝く卵からはやがて中国の龍が産まれる。しばらくは家の中で買っていた家族だが、あまりに大きくなって庭に金網を張った中で飼うことになる。その竜の気配を察知してか、イギリスのドラゴンが近くにやってくる。ドラゴンを捕まえた村の住人は中国の龍と戦わせて賭けを開催しようとするが、ドラゴンと龍はともに逃げ出してしまう。家族はきっとドラゴンは一人で寂しくて、龍が来て喜んだのだろうと思う。そのうち子供が生まれるかもしれないと。

お願い

家の中のじゅうたんで遊ぶ少年。柄の赤いところは溶岩、黒いところは毒蛇。危険を避けて黄色いところだけを踏んで進む遊びに夢中になるうちに、足を踏み外して黒いところを踏んでしまう。そして少年は毒蛇にのまれて姿を消す。

見えない少年

魔法使いを自称している老婆のところに親戚の少年が迷い込む。老婆は魔法使いになりたくて若いころから努力していたが、全く魔力を持っていなかった。ただそのふりをしてただけだ。一人暮らしの寂しさから少年を返したくなくなった老婆は、人から見えなくなる魔法をかけてやると少年をだます。少年の姿が見えなくなったふりをして、そのままではみっともなくて家に帰れないと脅し、手元に置こうとする。悲しむ少年はそのうち自棄になり、老婆から見えないのだからと彼女に暴行する。見えていないふりを続けるために反撃のできない老婆だが、少年の行動に耐えかねて魔法が時間切れで溶けたと告げる。さっさと家に帰る少年。老婆は見えない少年がまだいるふりをして、自分の寂しさを紛らわせる。

わたしはドリー

  • ウィリアム・F・ノーラン

ある夫妻の元に養女として引き取られたドリーだが、養母が死んでから養父に虐待を受けていた。耐えかねたドリーは魔法使いを訪ね、助けを乞う。魔法使いはドリーにそっくりな人形を与え、日曜日になったらそのネジを巻くように言う。ネジを巻くと人形は背中のネジを抜き、養父に突き刺して殺してしまう。養父は死の間際人形を暖炉に放り込み、片腕と片目が燃えてしまう。
……養護施設で暮らすドリーはやけどの後遺症に悩むが、自宅で養父と暮らしている時よりずっと良いと感じている。魔法使いにお礼を言いたいけれどもう会うことはできない。

なにか読むものを

本の虫の少女はとにかく読書中毒で、他のクラスメイトとうまくいっていない。その社交性のなさを心配した親から学校で開かれるディスコパーティーに行かされるが楽しむことができず、閉鎖された図書館に読みたかった新刊が納入されたのをただ指をくわえて眺めている。少女は教室に読みかけの図鑑があることを思い出し、パーティをしり目に本を持って一人で読める場所、プールに侵入することにする。しかしプールには恋人といちゃつくために先に侵入していたクラスメイトがいて、どちらがこの場所を使うかでトラブルになる。もめるうちに少女はプールに転落して死亡してしまう。幽霊となって甦った少女は自分が壁抜けをできるようになったことに気づき、喜んで図書館の中に侵入する。しかし壁抜けができるということはこの世のものに触れられないということと同義で、本をめくることもできないと気付いて絶望する。本当の地獄は本がないことではなく、本を手に入れながら決して読むことを許されないことだ。

キャロル・オニールの百番目の夢

キャロルの見る夢は録画され、瓶詰で販売される。映画のようなその世界は人気が高く、世界中でヒットを飛ばしている。でも記念すべき百番目の夢を見ようとしたとき、キャロルは全く夢を見れなくなっていることに気づく。専門医にかかっても改善されないその状態を父親が「その筋の権威」クレストマンシーに見てもらうことを提案する。最初はクレストマンシーにもその秘密を隠そうとするキャロルだが、彼とその弟子の魔法でついに真実が明らかになる。夢の世界の俳優たちが、労働環境の改善を求めてストライキを起こしていたのだ。あまりに次々に夢を発表するために内容が薄くなっていること、休む暇もなく働かされていることに不満を持っていたのだ。ヒーロー役の俳優はストライキに張り切っているが、普段悪役をやっている役者はキャロルのことを気にかけており、その橋渡しをしようとしてくれる。キャロルはもっと人間的に深みがある夢を作ることができるようしばらく新作の制作を休むことを約束し、役者たちは休暇を満喫する。そしてキャロル自身も、周りの大人たちの期待から自由になって子供らしさを少し取り戻す。

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