人の金で美術館に行きたい+読

美術館に行った話とか猫の話とかします。美術館に呼んでほしい。あと濫読の記録。




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【ネタバレ感想】クラインの壺

書籍データ

  • タイトル:クラインの壺
  • 作者:岡嶋 二人
  • お勧め度:★★★★★★


今日の猫

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踏みなさんな

ある日青年はゲーム会社から、かつて自分が書いて別の会社に応募したシナリオを使ってゲームを作成したいとの連絡を受ける。かなり長い間待たされた結果、出来上がったのは視覚や聴覚だけでなく嗅覚、味覚、触覚まで完全に現実を再現したバーチャルリアリティーのゲームだった。
アルバイトの女性も加わってテストプレイヤーとしてゲームをプレイする青年は、ゲーム機の中から「引き返せ」という謎の声を聴く。異様に秘密主義のゲーム会社の中では徐々に奇妙な出来事が起こるようになり…

 

再読本。何度読んでもめっちゃ面白い。
1989年発表ということなのでちょうど30年前の本。さすがにVRを体験する機会は時代遅れというかいくら何でも仰々しいなぁと思うし、巨大すぎるだろう。今だったらレディ・プレイヤー1みたいに全身スーツ+ヘッドギアでできそうだし、何より「脳に直接作用」という設定ならヘッドギアだけでできそうな気がする。
しかしまぁそんなことを言ったら「彼女の部屋には電話がない」「留守番電話を買う」というのだって現代ならスマホ買えよってなるのだから、それほどの違和感でもないと思う。なにより、そんなことを吹き飛ばすストーリーの面白さがこの本にはある。
VRをテーマにした創作では一番じゃないかな。

流されがたの主人公はそれほど魅力がない、というか意図的に個性を消されているようで、それが読んでいて自分との乖離が少ないというか、この本自体がVR体験のようで面白い。ヒロインが二人出てくるのだがちょっとキャラがかぶっている。(まぁギャルゲーじゃないんだから気にすることでもないのだろうが)ヒロインはかなり魅力的だ。

非常に面白い話だからみんな読めばいいと思う。