ぐるぐる回る エッシャー展 7/9
エッシャーは19世紀オランダの版画家。特に語ることもないほどに有名だよね。
科学が発達していく時代、数学に興味をもった彼がその新しい魔術に夢中になって作品を作っていく様はとても魅力的だ。
混んでるって噂だから月曜に行ったのだけど、やっぱ結構混んでた。エッシャー人気だもんねぇ、と思いつつ上野の森はいっつも行列だよなーとも思う。企画力だろうか。宣伝がうまいのだろうか。
内部はもちろん撮影禁止(最近撮影可能なのが多かったせいか、ベタベタ禁止マークが貼られてた)だけど、外の巨大ポスターに割と作品がプリントされてた。
グッズを買うときの参考に見るのも良いし、ネタバレ防止のために敢えて見ないのもアリ。
チケット売り場も面白かった。
今回は騙し絵作家としてのエッシャー、正則分割としてのエッシャー、そしてそれらを取り入れる前の若き版画家エッシャーと、様々な側面が見れた。
しいて言うならば、「変容」が主題だろうか。徐々に姿を変えてゆくもの、という観点から集められたものが多いように思った。
各作品の横に何歳の時に描いた絵か、というのが書かれていて面白いけど年代別に並んでるわけでもなくガラリと作風が変わるって感じでもないのでフーンくらいな感想。
ポストカードはオリジナルはないみたいで、輸入物だけ。展示作品のがあるから特に問題なし。
「循環」
飛び出して逃げてくる男が階段を降りるうちに実体を失って記号化し、建物の一部へと変容する。ああ、彼は罠にはまったのだなぁと恐ろしい思いになる。
「でんぐりでんぐり」
原語題は「Curl-up」
エッシャーの産み出す生物はどれもユーモラスでかわいらしい。
「でんぐりでんぐり」という和訳も、ドリトル先生の「pushmi-pullyu」が「おしつおされつ」と和訳されたみたいなうまいこと言った感がある。
でもこれ、最初はゆっくりのそのそ歩いてきた奴が丸まったら超高速でこちらを轢き殺しにかかってくる奴だと思う。
階段の家
でんぐりでんぐりが占拠した家。だまし絵と謎生物の組み合わせ。かわいい。けどこの家にはすめない。
トップクラスでエッシャーらしい絵で好き。
「三つの世界」
こういう、あんまエッシャーらしくない「普通の」作品も結構あった。
水面、水への地上の写り込み、水中という三重世界。モネの睡蓮を彷彿とさせるね。
非常に美しく、また技術力の高い作品。
こういう、「普通」の作品が結構あった。聖書を題材にしたシリーズとか好き。
「生命力」というタイトルの俯くひまわりを描いたものも、生命と言いつつ太陽に向かって咲くのではなく地を見つめながらもどぎつくヒリつくような感じが好きだ。
初期作品では「椅子に座っている自画像」という22歳の時の作品が、まだ自分のスタイルを確立していないものの芸術家としての強い自負があるようでよい。
「空中の城」というラピュタを亀に乗った少年が見つめている作品も不思議な魅力がある。
「扁形生物」のプラナリアみたいなの、かわいいよね。
昔横浜のそごう美術館で見たメタモルフォーゼⅡも来ていた。2016年以来。やはり良い。
右から左に受け流せない話 by みなぎ | エッセイ投稿サービスShortNote(ショートノート)
公式サイト、結構作品見れていいよ。