人の金で美術館に行きたい+読

美術館に行った話とか猫の話とかします。美術館に呼んでほしい。あと濫読の記録。




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【感想文】 不思議な少年44号

書籍データ

 

今日の猫です。

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本に興味がないので、おやつで釣ってます。

 

中世の雰囲気が色濃く残るオーストリア

文盲も多い村の城で親方の元で職人たちに混じり印刷工見習いとして働いている青年。そこにある日、「44号」と名乗る不思議な少年が現れる。親方に気に入られた44号に対する他の職人たちの嫉妬から、様々な不思議な騒動が巻き起こる。

 

マーク・トゥエインの生前は未完として発表されなかった本。ある人物が他の作品と組み合わせて捻じ曲げたものを勝手に遺稿として発表していたが、オリジナル版に近い形に直しての刊行となる。
あの冒険少年物語の王様みたいな「トムソーヤの冒険」を書いたマーク・トゥェインが晩年にはひどく厭世的な話を書いていたという。そんなん言われたら気になるじゃないですか、と入手して読んでみた。

面白いことは面白かった。けれどすごい粗い内容だなと思った。
・44号登場
・巻き起こされる騒動
・青年の恋
・エンディング
と物語はだいたい4つにわけられるのだが、それぞれのパートがちゃんとつながっていない。青年が「前から彼女が好きだった」とか言い出しても、彼女今までろくにストーリーに出てきてないぞ?とか。結局騒動は膠着状態のまま放置とか。
44号の設定もあやふやな感じが強い。
いま読むとクローン人間かな?とか思うけど執筆時にそういう概念はなかっただろうし、機械なのかもしれないがそういう描写はない。神とか悪魔とか精霊とか、人間を超えた何かであることは確かだが、明記されているわけではない。はっきりと決まらないままに書いているのかもしれない。
エンディングも派手で圧巻なのだがすごい唐突で、え?なんでこうなるの?って感じだ。神曲のラストも唐突に終わるけれど、あれは全体のトーンが合っているからこういうのもありかなと思える。しかしこの話では、それまで魔法など出てくるなりにリアリティのある書き方だったのになんでいきなりこうなるんだろうって思ってしまう。
元々作者が未発表の、校正前の下書き段階だと言われれば納得できるかなという感じ。
でもだとしたら、下書きの割に面白いだろ!って思うよ。

とはいえ冗長な部分も多いし、キリスト教を否定する概念のところは、そもそもキリスト教がわかっていないと理解しづらいだろうと思う。
なにより、いくら圧巻とはいえラストの唐突感はどうしようもないなと思う。
そういう意味ではお勧め度は低いのだけれど、それを了承のうえで読むなら結構楽しめる本だと思う。

 

私が読んだのはこれ。面白かったが万人受けはし無さそう。

岩波文庫のはだいぶ内容が違うようなので、ちょっと読んでみたくある。

こちらはあらすじ見る限り新訳なだけで内容同じなのかな?