人の金で美術館に行きたい

美術館に行った話とか猫の話とかします。美術館に呼んでほしい。

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まさか国産とは ターナー展 風景の詩 6/15

皆さんお元気ですか?私は駄目です。

駄目なので、平日代休を利用してターナー展に行ってきました。

turner2018.com

よく考えたら、ここがそんな混むとも思えないからエッシャー展の方行っておくべきだったかもしれない。まあいいか。

珍しくフォトスポットがありました。
これは自画像ではなく、ウィリアム・アランの描いたターナー肖像画になります。
ちょっと悪意がある気がする。風刺画っぽさというか。

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展示室の直前にもフォトスポット。
広大で、ターナーらしい絵ですね。

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というわけで、ジョセフ・マロウド・ウィリアム・ターナーは18世紀の画家。
理髪店の息子として生まれたというので上流階級ではないけれど、その頃の理髪店はまだ医療機関としての側面を残していたはずだから、まあまあ知的階級に属していたのだろうと思う。

18世紀といえば、上流階級の子弟の間でグランド・ツアーが大流行した時期だ。そして、たび重なる戦争によって「海洋国家イギリス」という自負が国民に生まれ始めた時期でもある。

その結果として流行したのが「地誌的風景画」と「海洋画」。
イメージとしての風景画ではなく、それがどこから見たどの地域の絵画なのか、ランドマークがしっかりと描き込まれた絵画になります。
あちこちの観光名所を距離感無視して一画面に放り込んだような空想風景画がはやるのはもうちょっと後かしらね。

ターナーといえばそういったリアルで存在感のある、そして空間の広がりを感じさせる、まるでその場にいるかのような風景画のイメージが強いです。

 これとか。

サン・ゴタール山の峠、悪魔の橋の中央からの眺め、スイス

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ぞわっとする~~

スイスの難所である悪魔の橋を描いた作品。崖下の寒々とした紺色が目を引きます。
横に実際の場所の写真が掲示されており、現実よりも傾斜が強調されていることが示されています。
でも本当にこの場所に立ったなら、客観的に同行ではなく習慣的にはこんな風に切り立って感じるんじゃないかなぁ。それが臨場感になっているんじゃないかと思う。

また、こういった写実絵画としてのターナーという今までのイメージとは違う側面も最近は出ている。

たとえば、個人的スケッチではあるもののエロティックな絵画。

裸ってなんだろう 横浜美術館ヌード展 4/8 - 人の金で美術館に行きたい
たとえば、プレ印象派としてのターナー。「雨・蒸気・速度 グレートウェスタン鉄道」みたいな写実とはほど遠い夢の中のような絵画。

KIRIN~美の巨人たち~

雨、蒸気、スピード−グレート・ウェスタン鉄道 - Google 検索

今回の展示ではこういった側面はあまり強調されていなかったけれど、代わりに彼が絵画の挿絵として描いたファンタジー絵画をいくつか見ることができた。

20ヴィニェットのうちの1点―夏の夕べ(「希望の喜び」挿絵)f:id:minnagi:20180619142217j:image

20ヴィニェットのうちの1点―スイスの谷:テオドリックf:id:minnagi:20180619141823j:image

 ポストカードはなかったのだけれど、「ヘルゴラントの死の舟」など、荒れ狂う海のなか翻弄される小舟に死神がうれしそうに乗り込んでいる、というファンタジー画で撮っても素敵だった。「海辺の日没とホウボウ」ってお魚の絵もきれいで、なんだよおまえ、写実画より空想画の方がずっと素敵じゃん!!って思ったよ。

 

全体に残念だなぁと思ったのが、なんか絵が全部黄色いんだよね。
保存状態の良いものはすごく綺麗な青空が見れるのに、同じ時代でもどう見ても晴れた空を描いたはずなのに黄色い空になっているものが結構あった。
ウィキペディアではターナーが黄色好きって書いてあるけどよう出典扱いになってるし、Turner's yellowって言ってもそれは後期のプレ印象派ぽくなってきた時期のものだと思うし、初期の写実画の時代に空をあえて黄色く塗る論理的な説明はないと思うんだよね。
つまり、黄変しているんだと思うんだよね…だとしたらもったいないなぁと。

 

あ、タイトルはターナーって有名絵の具メーカーあったよな、なんか所縁でもあるのかな?って調べてみたら特に何のつながりもない日本企業だったということに衝撃を受けたという話です。あやかったのかな。あやかっただけなんだろうな。