人の金で美術館に行きたい

美術館に行った話とか猫の話とかします。美術館に呼んでほしい。

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とにかく豪華 プラド美術館展 4/21

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はい、ドーン!!!

ビセンテ・カルドゥーチョに帰属(スルバラン?)「巨大な男性頭部」

というわけでプラド美術館展に行ってきた。(導入を変えてみた)

artexhibition.jp

プラド美術館もわりとよく日本に来てる気がする。今回の目玉は、ベラスケスがいっぱいあるってことだそうです。他の展示物もだいたい同じ時代、17世紀前半の、それこそ王様に捧げられるレベルのしっかりした作品が揃っています。

70点程度と数は最近の美術展にしては少なめなのだけれど、レベルが高いのと何よりやたら大きい作品が多いのとで、物足りなさは全くないです。

ミニ図録があるのも良かった。普通の図録より解説量は断然少ないのだけれど、とにかくかさばらない!助かる。

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写真が小さいから見づらいかなってのは当然多少あるのだけれど。

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細かい絵には見開きでの表示があったりして素敵。

 

というわけで冒頭の作品(こういう構成にしたことを後悔してる)

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これ、ものすごく大きいです。縦横2mくらいある。そのサイズにすごい精密さで顔だけがどん!っとあるので迫力がやばい。

元々は王宮の女王の部屋前に、王宮道化達(小人、矮人)の肖像画とともに飾られていたのだという。ベラスケスのセビーリャの少年とか。だからこれも巨人かもしれないとか、女王の守護を意味しているのではないかとか。

この絵が心理的警備として見なされていたということは、他の道化達もそうなのだろうか。障害とかいう意識はなかっただろうなぁ。あえて汚いものを魔除けにするっていう世界中にあるアレの一種なのかな。

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ホセ・ガルシア・イタルゴ「無原罪の聖母を描く父なる神」

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この時代のスペインは世界一の大帝国と言って良いと思う。強いし豊かだし、文化的にも成熟が進んでいる。そんな中で王様が国を挙げて絵画を集めたり画家を召し抱えたりしたら。

芸術は崇高なものだって概念がうまれるんだね。

それまでは個人の自意識はともかく、画業というのは他の家具職人や金物細工と同様、職人仕事だと考えられていた。今の感覚でいうと、工業製品扱いね。

それを、芸術というのは他の制作作業よりも一段階上の、レベルの高いものだという考えが広まってきている。

現代の、芸術的絵画や工芸は大量生産品とは全く価値が異なるという概念が生まれた頃なのかもしれない。人間国宝の陶芸家が焼く皿と、ダイソーに売っている皿。機能的には同じだけれども、多くの人はその方は異なると認識しているだろう。そういう感覚だ。

 

この絵は神がマリアを描いている。つまり、神様はこの世界を作った芸術家であり、キリストはヴェロニカの布に自画像を残して聖顔布とした画家である≒芸術家は特別!という主張なのだ。

 

てのは置いといて、単純に綺麗よね。ムリーリョの無原罪の御宿りとか連想する。ちょっと圧が強くてごちゃごちゃしてるかなぁと思うけれど、実物は結構なサイズなのでそれほど違和感なく楽しめる。

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フランシスコ・デ・スルバラン「磔刑のキリストと画家」

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対してこちらは非常に簡素なスタイルの絵。描かれているのは自画像とも画家の守護聖人聖ルカとも言われているけど、自画像に一票。

死せるキリストの緊迫感、それを見つめる画家は信仰心だけではないだろう。キリストに会いたいというより、歴史的瞬間を描くためにこの目で見たいという欲求は地獄変のようだと思ってしまう。

 

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バルトロメ・エステバン・ムリーリョ「小鳥のいる聖家族」

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珍しい聖ヨセフの絵。宗教改革を経てプロテスタント達がごっそり抜けた後、カトリックも何もしなかったわけではない。教義的な部分はともかく、批判された腐敗部分はちゃんと反省してるし、内部改革も行なっている。

そんでちょっと微妙になった権威を取り戻すために、こうして宗教絵画も多く制作されたそうだ。老人ではなく壮年の、未来のキリストを思わせる聖ヨセフの絵はこの時代特有のものだそうです。

率直にいってハンサムだし、キリストはキャワワである。

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ディエゴ・ベラスケスマルス

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というわけで内部改革やなんやで結論として宗教的締め付けが厳しかった時代。カトリック国であるスペインでは異教であるギリシアローマ神話の絵画や裸体画(神話画はほとんど裸体画だ)はあまり良く思われていない。

とはいえ製作されていなかったわけではなく、個人コレクションとして扱われていたそうだ。

このマルス武装をとき、つまらなそうな顔をしている。国の力が強大で外交戦術もうまくいき、マルスが活躍する戦争が起こることのない平和さを表し、王の政治手腕を讃える絵である。

野生的狂乱の戦神であるギリシア神話のアレスがあまり好かれていなかったのに対し、ローマ神話マルスは理性を身につけたのかなかなかの人気である。王の似姿として描かれたり、マルスに扮した肖像画も多い中、全くスペイン王に似ていない(ハプスブルク家の特徴がない)のはやはり平和をもたらす王は別にいるってことなんだろうね。

 

マルスがこんな表情してるのなかなかないよね。面白い。

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フェリペ・ラミーレス 「食用アザミ、シャコ、ブドウ、アヤメのある静物

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静物画も多く描かれたということで、ブリューゲルの花なんかもあるんだけど。切り取り方の問題なんだろけど、食物が多い。ガラスや陶器といったものがあまりない。

解説によると「食物と人物を組み合わせた絵画であるボデゴン、日本語で言う厨房画」が流行っていたそうで。

ボデゴン - Wikipedia

食いしん坊?スペイン人食いしん坊なの??

 

この作品は展示室に入った瞬間こちらの目を引きつける力強さがある。大物ってほどでもない人だし、技量的なことを言えば他の作品の方が上かもなってのがいくつかある。

それでも目を離せなくなる絵はこれだし、全展示物の中で一番印象に残る絵はこれだ。

こう言うのが、好きな絵、というものなんだろう。