【感想文】我々はなぜ我々だけなのか アジアから消えた多様な「人類」たち
書籍データ
- タイトル:我々はなぜ我々だけなのか アジアから消えた多様な「人類」たち
- 作者:川端 裕人
- 監修: 海部 陽介
- お勧め度:★★★
今日の猫
ツイッターで流れてきて読んだ本。
しばらく読んでいたら思い出したけど「3万年前の航海 徹底再現プロジェクト」の人が監修なのね。当時めっちゃ話題になったよね~。
しかしこうしてニュースで時々目にはしていたものの、こうして全体を俯瞰して情報を見たことはなかったのでなかなかおもしろく勉強になりました。
語り口が非常に軽妙で、良く言えばとっつきやすく、悪く言えば軽すぎる。
私個人の趣味としては、最初は良かったけどだんだんきついなと思ってしまいました。
普通にまじめに科学的な話を興味深く読んでいるのに、章が変わるたびに冒頭に筆者の旅行記的なものが挿入されて面食らうというか。
各章ごとに、軽い導入→専門的な話と徐々に内容が深くなっていくのですが、それが次章に行くとまたリセットされて軽くなるのがギャップについて行くのつらいというか。
まぁ好き好きかなぁ。
表題の「我々はなぜ我々だけなのか」という問いに対して、きちんと答えを表明しているのも興味深いです。こういうのってタイトル詐欺で「それは誰にもわからないのだ…」みたいな終わり方すること多いから。
ちなみに答えは<ネタばれ>ホモ・サピエンスには早い移動能力があったから。移動能力が低く狭い地域に閉じ込められると環境に対応するためそれぞれの地域で個別の進化を遂げ別種になっていくが、ホモ・サピエンスは環境に自分たちを合わせるのではなく自分たちに合う環境に移動することができたから。</ネタばれ>だそうです。
しかし「我々」ってどこまでが「我々」なんだろうね。って考えながら読んでいました。
「人間とチンパンジーの差」「イヌとオオカミの差」「黒人と白人の差」「チワワとセントバーナードの差」これらの「差」は、それぞれどの程度の距離なんだろうなぁと。どこまで違ったら「我々」とひとまとまりにすることができなくなるんだろう。
生物系は専門でないのでわかりませんが、なかなか楽しんで読めました。
主にアジアにおける人類の進化の過程を丁寧に描いて非常に面白いテーマの本です。
科学エッセイなので粗筋はありません。