【感想文】さかしま
書籍データ
- タイトル:さかしま
- 作者:J.K. ユイスマンス
- 訳者:渋澤 龍彦
- お勧め度:★★
そのうち読まなきゃな~と思っていた一冊。
長く続く貴族の家に生まれたデ・ゼッサント。
都会生活で放蕩の限りを尽くした彼はパリの俗物たちとの付き合いにうんざりし、田舎の城に引きこもり、自分の理想郷を作り上げる。絵画や書物など様々なものに深い見識を持ち一流の趣味を持つ彼は、古典の、そして同時代の作品についての批評を繰り広げる。
なんで読まなきゃなのかは、表紙を見ればわかるでしょう。私の好きなルドンと関連するからです。
といっても作中で触れられるだけで、大きな関係はないのですが。
ストーリーらしいストーリーのない本です。
ひたすらデ・ゼッサントが作品発表時にはやっている事柄についてあれはいいこれはクソと批評していくだけ。彼が理想の家の内装に凝っているところや絵画についてひとくさりやってるところまでは楽しめたのですが、古典ラテン文学について云々とやり始めると、もうその本手に入らないし別に読みたくないしなぁと読み飛ばしモード。だって、ひたすら作品名が連なるだけなんですもの。
「想像力さえあれば全てを脳内で実現できる。旅行案内を読みながら都会にいても真の旅行の楽しみを感じることは可能」という論旨は面白かったのですが、じゃあ実際デ・ゼッサントが旅行に行こうとするとそれを楽しむことができなくて、悟りも善し悪しだなぁと思いました。
多分、思春期に読んだら楽しめる本です。大人が読んで楽しいものではない。
最初の数章、絵画のくだりまで読んだら最終章まで飛ばしてもいいかもしれない。
ろくな筋書きもないので、粗筋はありません。