目黒の庭園美術館に行ってきた。「庭園」といいつつ、ここの庭はずーっとずーっと整備中だ。でもいいんだ。建物がすごく素晴らしいから。
今回は現代美術の展示です。1933年にアールデコの理想形として誕生した旧朝香宮邸はもちろんクラシカルな絵画芸術や近代絵画を展示するとまるでその部屋のためにあつらえたかのようにしっくりくるのだけれど、現代アートとの親和性もとても高くて素晴らしい。
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ヴィム・デルォワ <ノーチラス(スケールモデル)>
有機的なゴシック建築。奥の方まできっちりと作り込まれていてすごいなぁと思う。
メインビジュアルになるのも理解できる迫力だけれど、すごく線が細いので軽やかな印象になっている。
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ヴィム・デルォワ 無題(タイヤ)
タイヤを手彫りしたのだという。すごい大変そう。
あまりにも整って美しいからこのまま走ってもグリップしっかり効いていいんじゃない?て思うほど。工業製品のような正確さ。もちろん穴あいてるから無理だけど、こういうの売り出したら人気出そう。
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髙田 安規子・政子 「豆本の山」
今回は書庫も解放されていて、こんな小さな本が展示されていた。
他にもドールハウスサイズの作品がいくつもあって、この古い邸宅に小人が住み着いているようで最高の世界観。
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髙田 安規子・政子 「葉」(テーブルクロス) Four Seasons lates(皿)
テーブルクロスの植物が季節の移ろいとともに散って現実の床へとこぼれおちる。
この人の作品はこういう虚構と現実の境目が揺らぐものが多くてメルヘン。
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髙田 安規子・政子 「カットグラス」
ドールサイズのキリコグラス。何でできてるんだろう?って思ったら。
横から見たらわかる、プラスチックの吸盤でした。アイディアだね。
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ニンケ・コスター「時のエレメント」
新古典主義/1800年代様式/アール・ヌーヴォー/アール・デコ
シリコンゴムでできた椅子。実際に触ったり、座ることもできる。
建築要素を閉じ込めて椅子にしているのも面白いなと思うし、単純に美しいし、それがシリコンゴムだということがめっちゃクール。
だってシリコンゴムって、型取り用の素材じゃん。ここに石膏とか流し込んで複製品を作り出すためのものじゃない。
各時代の芸術建築要素の複製品を大量生産するためのものじゃない。
芸術作品であり、そして大量の芸術作品を作り出すための道具なわけじゃない。
面白いねぇ。
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コア・ポア 「聖なる山」
ペルシャ絨毯のような絵画。
伝統的な文様で作られているように見せかけて、中央で古代エジプトと古代ローマが戦っていたり、山水画がの山の間にファラオがいたり、見るほどに面白い作品。
なんパターンもあって、好きな時代のものがあると最高だなと思う。
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すごく面白かった。
そして何より、やっぱりこの建物が最高だなと思った。
だって全室照明デザインが違ったり、ラジエータカバーがしゃれてたり、扉のちょうつがいですらきちんとデザインされてたりするんだよ!
こういう家に住みたい。