人の金で美術館に行きたい+読

美術館に行った話とか猫の話とかします。美術館に呼んでほしい。あと濫読の記録。




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【粗筋】フローベール

書籍データ

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収録タイトル

↓粗筋開始(白文字)↓

十一月 何らかの文体の断片

主要人物

  • わたし:男性主人公
  • マリー:娼婦

舞台

現代(19世紀)フランス

粗筋

老人となった「 わたし」が過去を振り返る。「 わたし」は少年のころから感受性が強く、恋に対して非常に強い憧れを持っていた。あまりに強く憧れて、恋に恋するあまり現実の女性に対して恋をすることができずにいた。全ての女性がひとしく素晴らしく見え、誰か一人を特別と思い定めることができないでいるのだ。
ある日、思いつめて娼館に行った「わたし」は娼婦マリーと会い、一夜を過ごす。翌朝、性愛を知って気持ちが落ち着くかと思いきや、昨日と同じ一夜はもう訪れないのだと暗い気持ちになる。

再びマリーのもとを訪れた「わたし」は彼女の身の上話を聞く。田舎の美しい少女だったマリーは、幼い頃から性に憧れていた。大人になり金持ち男の愛人になることにしたマリーはついに愛を手に入れるのだと期待するが、現れたのが老人でひどく失望する。老人に満足できないマリーは何人も愛人を作るが、そんな生活に疲れて自ら娼婦となったのだという。しかし体を求められても心を愛されることがないことにうんざりしているとも。

「わたし」とマリーは愛への憧ればかり募る点で一致している。とはなす。

マリーは「わたし」の恋人になりたいと言い、思い出にと「わたし」の髪を一房切り取る。しかし「わたし」は娼館を出て二度とマリーと会わなかった。

その後どんな女と会ってもマリーのことを思い出してしまう。彼女の幻影に囚われ続けている。

 

というところで手記が終わる。手記の後の「わたし」の様子が語られる。彼は虚栄心が強く考えすぎな男で、誰とも結婚せず、恋人も作らず、まともな仕事もせずに生きた。老人になってからマリーのいた村を一度訪ねたが虚しいだけだった。そうして倦怠の中死亡した。

 

ボヴァリー夫人(抄)

主要人物

  • エンマ・ボヴァリー:主人公。シャルルの妻
  • シャルル・ボヴァリー:愚鈍な医者。エンマの夫
  • オメー:隣人の薬剤師
  • レオン:オメーの家に下宿している若い男
  • ブーランジェ:遊び人の貴族

舞台

現代(19世紀)フランス 

粗筋

「私」の通う学校に真面目だが愚鈍な少年シャルルが転校してくる。しばらく一緒に学習するが、シャルルは退学して医者になるための学校に通うことになる。一人暮らしして通学するうちに怠け癖が出て学業が一時疎かになるが、なんとか卒業して医者となる。
シャルルは親に言われるがまま金持ちの未亡人と結婚するが、新婚というよりは介護のような夫婦生活となる。

ある日シャルルは往診に行った農場でエンマと出会う。エンマのことが気にかかるシャルル。それを察知して嫉妬する妻。妻に遠慮して農場から足が遠のくシャルルだが、程なく老妻が病死する。喪が明けたのち、シャルルとエンマは結婚する。

シャルルはエンマに夢中だが、エンマは新婚にも関わらず気持ちが盛り上がらない。今まで恋愛小説などを読み、恋愛に憧れ、愛があれば幸せを感じると信じていたエンマは、シャルルを愛していないのだと思うようになる。
ある日シャルルとエンマは治療の例として公爵の家に一晩招待される。晩餐やダンスなど夢のような時を過ごしたエンマは帰宅後、侯爵家の華やかな生活と惨めで退屈な自宅とのギャップに苦しみ、躁鬱状態になる。

エンマのためにシャルルは転地療法として別の街に引っ越す。そこで小狡い薬剤師オメーと学生レオンに会う。レオンはエンマを熱烈に愛するが、エンマは彼に応えない。ただ、愛されていることは自覚しているが、恋愛とは小説にあるような劇的で激しい感情なのだと信じるが故に、何も起こらないのは恋ではないと思っていた。

エンマは女の子を生む。

エンマはいつしかレオンに恋していたが、彼と恋愛するというより理想の恋愛の投影をしていだだけだったので、実際にレオンを受け入れることはなかった。片思いに疲れたレオンは町を出てパリに行くことにする。

退屈な夫と取り残されたエンマは荒れる。そんな時田舎貴族ブーランジェはエンマと知り合い、不倫関係になる。エンマはブーランジェに駆け落ちを迫るが、体だけが目当てだった彼に捨てられる。

シャルルは仕事がうまくいかず借金をするようになる。エンマもまた、シャルルに対するストレスの憂さ晴らしに散財をし、借金をするようになる。

エンマとレオンは再開し、不倫関係になる。しかし借金が膨らみ自暴自棄になるエンマにレオンは怯えるようになる。

首が回らなくなったエンマはレオンに金を職場から盗むよういうが、レオンは彼女から逃げ出す。エンマはブーランジェのところに行くが、借金の話を出した途端冷たくあしらわれる。エンマは絶望してオメーの薬局からヒ素を盗み、服毒自殺する。

妻を深く愛するシャルルは、経済状態に見合わないほど立派な葬式を挙げる。悲しみに沈むシャルルだが、そのうちエンマの不倫相手達から送られた手紙を見つけてしまう。シャルルはブーランジェに恨んでいないと伝えるが、翌日ひっそりと死亡する。

それまでの散財で財産を使い果たした結果、シャルルとエマの娘は親戚に引き取られて工場に出稼ぎに行かされている。
(ちなみに冒頭でシャルルの少年時代を語った「私」は二度と出てこない)

サランボー(抄)

主要人物

 

舞台

紀元前のカルタゴ。第一次ポエニ戦争後。

粗筋

ハミルカルの館では大宴会が開かれていた。先の戦争に勝ったものの疲弊したカルタゴは、雇っていた傭兵達に報酬を支払えずにいたため、それをなだめるための宴だった。様々な国から来た傭兵達の前に、ハミルカルの娘、美しい巫女サランボーが現れ、彼らの言葉で祝福を告げる。感謝の意を示そうと盃を差し出すが、それを受け取ったマトーは「自分の国では盃は女からの求愛の印だ」と言い、サランボーに迫る。そのマトーを、ハミルカルの家に偶然滞在していたヌミディア王ナラヴァスが追い払う。

傭兵達は報酬は払うというカルタゴの言葉を信じ、一度カルタゴの街を出る。マトーはサランボーに魅了され、彼女への思いに苦しむ。しかしいつまでも報酬が来ないことに苛立つ。やっとやってきたカルタゴの使者は、自分の旅支度には様々な財を持ち運んでいるのにろくな報酬も運んで来なかった。怒りに震える傭兵達は、カルタゴに攻め入ることを決める。

マトーはカルタゴに潜入し、タニト神殿に忍び込んで女神像を覆う聖衣を盗み、サランボーの寝室へ忍び込む。彼女に聖衣を差し出すが、助けを呼ばれてマトーは聖衣を持ったまま逃げ出す。
マトーはナラヴァスとともにカルタゴを攻める。激しい戦争がおこり、ハミルカルは傭兵たちとの戦争に行く。

聖衣を奪われたことに責任を感じるサランボーは、シャハバリムに助けを求める。シャハバリムは純粋なサランボーに愛憎入り混じる思いをかねてから抱いていた。シャハバリムはサランボーに着飾ってマトーのところに忍んで行き、二人きりになってからの言うことに従うよう命じる。
言われるがままマトーの元を訪れたサランボーは、彼の情熱を目にする。これまで女と宦官に囲まれて育ったサランボーはマトーの男らしさに驚愕し、今までに感じたことのない気持ちになる。マトーは偶然サランボーの両足をつなぐ純潔を示す金鎖を切ってしまうが、彼女を神聖視するため愛を乞うばかりで体を求めることはなかった。サランボーはマトーから聖衣を奪い返し、すぐ近くまで攻めてきていたハミルカルの陣地に逃げ込む。

ナラヴァスはマトー達傭兵軍を裏切って、ハミルカルの部下となる。ハミルカルはナラヴァスが裏切らないよう戦争に勝利した後、サランボーを妻として与えることを約束する。サランボーカルタゴに戻され、男たちは戦い続ける。
王族として生まれ、すらりと美しく中性的ですらあるナラヴァスと粗野なマトーとの違いに戸惑うサランボー。無意識にマトーを慕う彼女はこの自分でもよくわからない気持ちはマトーさえいなくなれば消えるものと思い、傭兵軍の壊滅を望む。

カルタゴ軍に傭兵軍は圧倒され、悲惨な戦いとなる。
ある戦いでは谷間に誘い込まれて退路を断たれ、食料もなく傭兵たちはお互いを殺して食人で飢えをしのぐ羽目になる。そうしてお互い殺し合って数が減った傭兵の幸福を受け入れるとして代表を選出させたカルタゴ軍は、お互い愛し合う傭兵たちに自ら殺しあえと強いる。涙ながらに愛するものを殺し、 また相手を助けるため自ら命を捨てと半数に減った彼らを結局カルタゴ軍は殺してしまう。
袋小路に追い込んでライオンを放ったり、傭兵たちを十字架に打ち付けたりと、残虐な戦争は続き、ついに傭兵軍はマトーを残して壊滅する。

捕えられたマトーはカルタゴで処刑されることになる。この戦争で苦しんだ民衆の恨みを晴らすため、マトーは牢屋から処刑場まで歩かされ、その間カルタゴの市民から暴行を受ける。皮を剥がれ、肉を奪われて瀕死の状態で処刑場にたどりつくマトー。そこに待っていたのはハミルカル、ナラヴァス、そしてサランボー
処刑人の一太刀でマトーは命を落とす。沸き立つ群衆の中、サランボーはナラヴァスに与えられる。
しかしその時、聖衣に触れた罪でサランボーもまた命を落とす。

 

ブヴァールとペキュシェ(抄)

主要人物

  • ブヴァール:筆耕。バツイチ中年男性
  • ペキシュ:筆耕。独身中年男性

舞台

現代(19世紀)フランス

粗筋

 公園で偶然出会ったブヴァールとペキシュは非常に気が合い、親友となる。
二人は毎日食事をともにし、お互いの家を行き来するようになる。二人で話しているとあまりに意見が合うので考えが増長し、周りの人間と合わなくなる。

ある日ブヴァールの伯父が亡くなる。実はブヴァールは伯父の非嫡出児で、養子に出されていた。伯父の遺産を一部相続し、ブヴァールは非常な金持ちになる。
二人は仕事の定年をむかえ、その金で田舎の土地を買って移り住む。

田舎の地所で家庭菜園に成功した二人は気をよくし、本格的に農業に取り組もうとする。小作農にあれこれ注文をつけるが素人二人の間違った命令を小作農夫婦は無視する。怒った二人は小作農を首にして自分たちで農業を始める。
専門書をいくつも買い込んでわかったような気になりめちゃくちゃに手を動かすが、結局うまくいかずに全て失敗に終わる。
また、平行して庭の整備を行うが、隣人を招いたパーティーで悪趣味だと顰蹙を買う。

うまくいかないと農業を諦めて放り出してしまう二人。戻ってきた小作農夫妻にまた農業を任せる。
その他にも科学、医療など思い付きのまま手をつける。専門書をいくつも買い込んで読み散らかし、本人は他の誰よりも賢くなったつもりで周りを見下しつつ着手するも結局なにもうまくいかないで途中で放り出すことを繰り返す。
あるときは二人揃って女に騙されそうになったり、養子を育てて完璧な教育をしようとするも失敗して裁判沙汰になったりする。

なにもかも駄目になって二人は最終的に、元の職業の筆耕を始める。
仕事ではないので清書する必要のあるものは何もない。そこで二人は目についたもの全てを綺麗に書き写すことにする。それには書き損じのゴミも含まれるが、何もかもを書き写し続ける。反故紙の中に、自分たちの名前を見つける二人。知り合いの医者が書いた「ブヴァールとペキュシェは危険な狂人か?」という質問に対する答えの下書きで「二人は無害な愚か者に過ぎない」というものだった。どうすべきか迷うも、二人は何も考えずに全てを書き写し続けることにする。

 

書簡選

各作品を製作中にフローベールが送った手紙の抜粋です。
粗筋はありません。

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