人の金で美術館に行きたい+読

美術館に行った話とか猫の話とかします。美術館に呼んでほしい。あと濫読の記録。




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「この画家は長い不遇時代があったんですよ」ではドヤれない単純な理由

芸術に限らず全く新しいものを始めた人がすぐに世間に受け入れられるわけがないのは当然だから。

印象派しかり、フォーヴィスムしかり、インスタントラーメンしかり。

 

昨日京都人と話してたら「今すぐドヤれる不遇の画家ベスト5って記事を書くんだ!」と言われた。ブロガーたるもの時事ネタを逃しちゃいかんと、こういうわけだ。

www.news-postseven.com

「美術館なんて出会いの場所になり得ない」と思うかもしれませんが、実は1人で美術館に訪れている女性は多い。しかも、美術館なら一人1500円程度だからコストもかからない。

熱心に鑑賞している女性がいたら、さりげなく「この画家は長い不遇時代があったんですよ」などと、ガイドのように次々と知識を披露する。そんな「アートジジ」になりきれば、自然と会話が生まれます。美術館には“おじさん”好きな知的女子や不思議ちゃん系女子が訪れていることが多いので、特に狙い目です。

まず美術館で話しかけられんの迷惑だし。
オジサン好きじゃねーし。
不思議ちゃんじゃねーし。
ナンパに「コスト」とか言っちゃうの気持ち悪いし。
不審者以外の何物でもないよね。
といってもキモーイ!キモーイ!ってのはもう老若男女全包囲から吹きあがってるから今更付け足すこともない。


つわけで不遇の画家ねぇ、と考えてみたんだけど。
まず、あんまり古い時代の画家の生涯は伝わってないでしょう?よっぽどドラマチックな人以外。
17世紀までくらいの工房制のころは、画家本人にはあまりフューチャーされてないでしょう?大成功した親方がどん!といて、あとは名もなき下っ端とか。たまに野良画家がいて、そういう人は大成功はしてないからちょっと不遇と言えば不遇。

18世紀くらいになると、サロンに落選続き、というちょい不遇な人が出てくるかな。
けどその時代は割と短くて、印象派が台頭してくるころになると不遇まみれになる理由は最初に書いたとおり。

 

私の好きな19世紀末くらいの画家って言ったらまぁ戦争がいっぱいあった時代だから、そもそもその時代に生きてた人大体苦労してるんだよね。画家に限らず。
昔は医療も遅れてたから自身の子供や兄弟、なんなら親とかも早死にするのがよくある時代だし。略歴を読んでて「○年、幼い子どもをなくす」って書いてあっても、そりゃ本人は悲しんだだろうけれど、乳幼児死亡率が今とは比べものにならなかった時代、現代と全く同じ感性で推し量ることはできないとも思うんだよね。

 

てゆーかそもそも論、ドラマチックでない生涯は忘れられるんだよね。
そんで、画家個人の生涯について注目され伝わっているのは近世以降だけなんだよね。
すごく大雑把に時系列でまとめると

中世くらい、作品は残っているが画家の生涯については伝わっていない

工房制のころ、成功した画家の生涯しか伝わっていない

個人主義になると、みんな若いころは苦労している 

 

結局みんな苦労話が好きなんだろうなぁ。
一応、苦労人画家を何人か列挙はしてみようと思うよ。

 

ゴッホ フィンセント・ファン・ゴッホ - Wikipedia

f:id:minnagi:20170614153346j:plain

自画像 (包帯をしてパイプをくわえた自画像)

いやもう、他に誰を?てくらいわかりやすい不遇の画家。
絵が全然売れないとか精神病院に入院したとか自分の耳を切り落とすとか、今更説明いる?てくらい。
でもさ、絵が売れないのに画家続けるって、その生活費どっから出てきた?て感じよね。

 

ゴーギャン ポール・ゴーギャン - Wikipedia

f:id:minnagi:20170614153521j:plain

光輪のある自画像

ゴッホを入れたらゴーギャンを入れないわけにはいかない。
喧嘩をするほど仲がいい、で済ませていいのか。全然絵が売れなくて肩身が狭い中、ゴッホと同居してみたら余りに苛烈で耐えきれずに逃亡。その後は比較的順調にキャリアを積んでいるようです。

 

セザンヌ ポール・セザンヌ - Wikipedia

f:id:minnagi:20170614153607j:plain

自画像

ロマン主義やってた頃は日の目を見ず、印象派に参加するもウマが合わず。作品が評価されるようになったのは晩年になってから。画家の間では最初から評価されていたようなんだけどね。

 

モンドリアン ピエト・モンドリアン - Wikipedia

[フリー素材なかった]

いやもう、先頭で描いたとおり。これが即座に受け入れられるわけがない。抽象を始める前はそこそこ程度の評価、コンポジションを描き始めたころはボロクソ。初個展を開いたのは48歳で、そのころにはもう画家を引退することすら考えていたという。
個展をきっかけにようやく評価され始めたものの、その2年後に死亡という悲しさ。
評価されずとも続けてくれたから今の抽象絵画があるのだろうね。

 

フリーダ・カーロ フリーダ・カーロ - Wikipedia

[フリー素材なかった]

画家としてというより個人としての生活がかわいそうな人。母親の具合が悪くうまく関係を構築できず、病気や事故で体を壊し、夫も浮気するし政治的にもトラブルを抱えるしと不幸続き。それを紛らわすために絵画に打ち込んだというけれどこの時代のメキシコ人女性ということで苦労も多かっただろうなと思う。

 

カラヴァッジオ ミケランジェロ・メリージ・ダ・カラヴァッジオ - Wikipedia

f:id:minnagi:20170614153848j:plain

バッカス

不遇…不遇?ちょい自業自得感あるけど、近世より前の人もリストアップしておこうかなって思った。
デビューから即時代の寵児となるものの、本人の素行の悪さでトラブル続き。殺人事件まで起こして指名手配されたり投獄されたり。なかなかショッキングな絵の多い画家だけれど、実体験に取材したんじゃあるまいな?

 

というわけで5つ思いつくまま出して見たけれど、どうだろうか?もうすでに時代に取り残されてはいないだろうか?
先に書いた理由で近代中心になっちゃったからもう少し考えてみたくはあります。
画家の生涯というのは絵には関係ないような、それでもその生活や精神状態は絵に直結しているような、とりあえず軽く押さえておく?てレベルの知識ですかね。
知らなくても絵画は楽しめるものね。
まぁ美術館行ったら解説されてるからそれほど必須教養ってわけでもないかな。

 

フリー画像はすべてこちらのサイトから。
古いからもうコモンライセンスなんだよね。

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