負のパワーがやばい 海を渡った古伊万里~ウィーン、ロースドルフ城の悲劇~ 1/12
やぁ、今年に入って一か月何をしていたかというと、緊急事態宣言で腐っていたよ。
ちまちま展示見てはいるけれど、今更新したとてってダラダラしているうちにもう三月になったので簡潔にまとめてみようと思う。
というわけで、まずは大倉集古館。
「海を渡った古伊万里~ウィーン、ロースドルフ城の悲劇~」展
もともと1月後半までやる予定のものを緊急事態宣言で期間短縮、というので最終日に慌てていったらなんか団体さんとかちあっちゃって。マスクしろ喋るなってそこら中にべたべた案内されてるのに団体さん大騒ぎするものだからどん萎え。
しかもそのあとなぜか緊急事態宣言中に展示再開っていうね。
何のために急いで見に行ったんだよ~という気になってしまった。
まぁ、気を取り直していこう。
ホテルオークラとその周辺はウロウロしたことがあるけれど、集古館に入るのは初めて。
入り口に大倉さんの像。
さて、ロースドルフ城って何なの?というとこちらのページがプロジェクト公式ページなので詳しいです。
ざっくりいうとオーストリアのロースドルフ城にあった膨大な数の良質な陶磁器コレクションが、第二次世界大戦時に旧ソ連軍に破壊されてしまいます。
最終的に城が持ち主に返還された後、大量に残された陶磁器の破片。普通なら廃棄処分にされるであろうそれを、ロースドルフ城では戦争の負の遺産として平和教育のために保存・展示していました。
それを日本の修復技術で元の姿にできるだけ戻そう、というのが今回のプロジェクトです。
今回の展示、破壊を免れたものやきれいに修復されたものとともに、これはもうどうしようもないのだと思い知らされるような粉々の破片も多く展示されています。
正直、意味が分からない。
戦争で多少壊れちゃうのはわかりますよ。そして末端の兵士が貴族の城に山と展示されている高級品を略奪するのもわかる。徴兵されて故郷を遠く離れて苦しんでいる貧しい一兵卒が優雅に暮らしている貴族たちを見てどう思ったんだろうかとか、いやな話ですが理解はできる。一つ持って帰って売りさばけば戦後の暮らしの助けになるんじゃないかとか考えてしまう。
でも、破壊って。
破片の量とか細かさ的に、混乱に乗じて割れたって感じじゃないんですよ。なんでそんなことするんだろう?ブルジョア的だから?
なんだかすごい気の沈む展示でした。
写真はパンフより
マイセン窯 白磁大壺(組み上げ修復)
修復技術は本当に見事です。こうして完成品を見ているとどこが壊れていたのか全くわからないほど。天使や花びらのような浮彫、というにはあまりに華やかな装飾が非常に美しいです。
色絵唐獅子牡丹文拮抗透彫瓶(部分修復)
陶磁器というのは東西ともに対で作られるものなので、複数存在するものはこうして破壊された後がわかるように部分修復としているようです。
この瓶が作られたことが歴史的価値があることならば、この瓶が一度破壊されたことも歴史的価値なわけです。たとえ負の歴史だとしても、きれいに覆い隠してなかったことにすることが良いわけでは決してなく、あったことを覚えておく必要もあるわけです。
にしても見ていてつらいなぁとどんよりした気持ちで建物を後にしました。
完全に余談だけど、ホテルオークラのカフェ、オーキッドはすごい高いのにめっちゃ両少なくてまたどんよりした気持ちになるからおすすめできないよ。