人の金で美術館に行きたい+読

美術館に行った話とか猫の話とかします。美術館に呼んでほしい。あと濫読の記録。




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緑のライオン 東京国立博物館本館 10/3

トーハクはでかい。マジででかい。

www.tnm.jp

建物も敷地内だけで本館・表慶館・東洋館・平成館・法隆寺宝物館(実は行ったことないぞ)とあるし庭園にはあずまやが複数設置されている。そしてそれぞれの建物がまぁとてつもなくでかい。
ていうか一度でも行ってみるといい。
上野の駅を出て公園を奥まで進み、突き当りにどでかい本館が見えてきたら誰でも変な笑いが出てくるはずだから。縮尺おかしいなってなるから。

 

そんなトーハクは収蔵品もマジで膨大なので、まじめに見ようとすると1つの建物に1日マジでかかる。しかしそんな時間はないぞというリピーターに便利なのが、無料配布のこの冊子だ。
初見の人はあきらめて丸一日を費やすがよい。

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中を開くと今やってる特別展や、今どの建物の何階何号室で展示替えがされているのかということが書いてある。

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というわけで今回は便殿びんでんをチェックします。
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奥にあるカーテンは、ベランダにでも続いているのでしょうか。
床の寄せ木細工が気になるけれど、カーペットは敷かれているし家具は新しいものだし、あんまり物珍しさはないな…f:id:minnagi:20201006073640j:image

部屋の位置関係やデザインの類似から、今高円宮コレクションが置かれているのは便殿の控えの間であることがわかります。

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鈴木 長吉「鷲置物(わしおきもの)」

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鈴木長吉といえばあれですね、十二の鷹。今回は鷲になります。シカゴ・コロンブス世界博覧会の出品作とのこと。重文です。
首を低く落とし、翼だけを掲げた余裕のある姿。一枚一枚丁寧に彫られた美しい羽根。さすがに見事です。

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高村 光雲「老猿(ろうえん)」

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でけぇ 。
後ろにいる人とかでわかると思うけど、めっちゃでかい。教科書で見たのと彫の細かさから想像していたサイズの何倍もある。
そう、これだけ巨大だし確かに台座部分は力強いのだけれど、毛並みとかすごい細かく彫られているのよ。f:id:minnagi:20201006073631j:image

こちらもシカゴ万国博覧会に出品された重文。「大鷲と格闘した直後の気迫に満ちた猿の姿」 だそうです。左手に鷲の羽をつかみ、飛び去ったであろう方角を興味なさげに眺めている。その姿は余裕に満ち溢れています。

鷲はアメリカの象徴で、だから鈴木長吉は鷲置物を出したのかなぁと思ったけれど、もし高村光雲が意図的に鷲と勝利した猿を出したのだとしたら面白いね。

しかしそんな裏読みなどどうでもよくなるほどの作品です。
このサイズを1本の木から掘り出したのだというから、何ともスケールの大きな話です。

三重県立美術館 高村光雲《老猿》の周辺

目に象嵌されていると書いてあるけど、なんせこのサイズのものを見上げているのだからわからなかったなぁ。

何にせよ、一度は生で見たい作品であることは間違いないです。すごくよかった。