コレクションの謎 内藤コレクション&西洋常設展 10/27
国立西洋美術館の常設展と、コレクション展。
内藤コレクションって何ぞや?というと、西洋写本の本から剥がれ落ちたページを集めたもの、らしい。
「別に写本には興味がないけど価値があるから集めてる」みたいなことが書いてあってサイコパスかな?って思ったけど、こうやって見るとちゃんと好きで集めてたみたいで安心する。ツンデレかよ。
零葉ってなんてか、もののあはれだよね。
展示室入場前に、写本の複製作成動画を見ることができる。
羊皮紙にペンを使用してきっちりと写し、装飾を施していく様子はとても見ごたえがある。
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ラテン語聖書零葉:創世記(イニシアルI/創世記)
豪華!
ラテン語は当然読めないのだけれど、イラストの豪華さはよくわかります。
上から順に、
だそうです。1個目、なんか人間いっぱいいるように見えるけど、星は擬人化なのかな。それとも創世記を語る神の図なのかな。
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ラテン語聖書零葉:紙片109(イニシアルD/玉座のキリスト)
ちっちぇ!サイズ感を見てほしい。劇的に小さい。
いくら紙が基調だからって、こんな小さくするの大変なんじゃないかと思うくらい小さい。それともポケットサイズにしたかっただけだろうか。
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ページ本体もだけれど、こうやって解説があるのがめちゃ勉強になってよかったです。
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というわけで、常設展。
クロード・モネ「睡蓮、柳の反映」
もともと松方コレクションの一部。第二次世界大戦中にフランス北部の寒村に疎開して大きく破損。行方不明となっていたが2016年にルーヴルで発見され、2017年に松方家より寄贈。
なかなかに状態がとてもひどいです。そして、もともと描き込みが浅いね?実際資産価値としてはどんなもんなんだろうなぁ。やっぱモネだからどんなに劣化してもお高いんだろうなぁ。
これだけ破損しても、日本画風に装丁することで「侘び寂びです」って顔してそれなりに美しいと感じさせるの、さすがだなぁと思う。
さすが国立美術館。
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ルカス・クラーナハ(父)「ホロフェルネスの首を持つユディト」
当世風のユディト。首の断面が悪趣味で、ホロフェルネスの眠るような表情がリアル。
昔何かの本で(死刑全書だったかなぁ)斬首刑の写真を見たことがあるのだけれど、本当にこういう表情だった記憶がある。
けど肝心のユディトのスタイルがなんかみょうちきりんだなぁと感じる。腰のあたりとか、胸のあたりが。袖とかはすごくいいなって思うんだけど。
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ペドロ・デ・オレンテ「聖母被昇天」
上部テカっちゃった。
新規収蔵品です。石棺に収めたはずの聖母が消えて驚く弟子たち。そして点にあげられる聖母。
ドラマチックな構図を鮮やかに描き出していてとても美しい。
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ロヴィス・コリント「樫の木」
こちらも新規収蔵品。ドイツ印象派の代表の作品だそうです。
画面いっぱい真っ暗にうねる樫の木。力強く、なんとなく不吉なものを感じる。たぶん木の奥にうっすらと見える建物の色とかがそう感じさせるのかもしれない。
風景画のではなく、木そのものを描くってのが新しくおもしろいなぁと思った。
あと、京都人が橋本コレクションをめちゃくちゃ気にしていた。
ハプスブルグ展にも出店していたんだけれど、コレクション主である橋本さんの情報が全くない。何でそんなコレクション作れるほどお金持ちになったのかが全く不明。
なんなんだろうねぇ。