人の金で美術館に行きたい+読

美術館に行った話とか猫の話とかします。美術館に呼んでほしい。あと濫読の記録。




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【ネタバレ感想】八月の暑さのなかで

書籍データ

  • タイトル:八月の暑さのなかで
  • 作者:ロード・ダイセイニ他
  • 訳者: 金原瑞人
  • お勧め度:★★★

収録タイトル

f:id:minnagi:20190810141803j:image

エドガー・アラン・ポー原作/金原瑞人翻案
「こまっちゃった」

ある日学校で「恐怖小説を書くように」という宿題を出された少女は、題材を求めて地元の田舎町を探索する。古い時計台にたどり着いた彼女は…

 

W・F・ハーヴィー「八月の暑さのなかで」

【ネタばれ感想】怪奇小説傑作集 1 英米編 - 人の金で美術館に行きたい+読

と同じ話。

 

サキ「開け放たれた窓」

神経症を患う男性は療養のため田舎の親せきの家を訪ねていた。
親戚の手が空かないので待っていると、その家の少女が十月になるというのに窓が開け放たれている恐ろしい理由を語りだす。

リチャード・ミドルトン「ブライトンへいく途中で」

職にあぶれ家もない男は、少しでも働き口の多い町へ行こうとブライトンへの道を歩いている。雪の夜道芝式を失っていた男は意識を取り戻し、また道を進む。そこにやせこけた少年が現れ、孤独をいやすためにともに歩いてほしいと頼まれる。

ロード・ダンセイニ「谷の幽霊」

田舎の美しい風景の中を散歩していた男は、川面に霧の柱が一本立っているのに気づく。不審に思って近づくと、柱は自分が幽霊であると語り始める。

レノックス・ロビンスン「顔」

とある崖の下に、光の加減で人の顔のように見える泉がある。水草が髪のように地形がまるで閉じた瞳や鼻筋のように。子供のころから誰にも言わずそれを見つめ続けていた少年は、大人になったある日、その泉の顔にそっくりな女性と出会う。

E・M・デラフィールド「もどってきたソフィ・メイソン」

フランスのとある一家は子供たちの子守として若い身寄りのほとんどないイギリス人女性、ソフィを雇っていた。ある夏、フランス人夫婦は仕事で忙しく、子供たちと子守女性だけで別荘へと避暑に出かけた。そこで子守女性は地元のあまり柄の良くない青年と恋に落ちてしまう。
雇い主である夫婦にそれがばれて不道徳だと責められ、別れさせられた子守女性はしかしすでに妊娠しており、元恋人へと助けを求めるが…

フレドリック・ブラウン「後ろから声が」

サーカスの砲弾男の仕事は、大砲の中に入って打ち上げられ、観覧車を跳び越す大ジャンプを見せること。彼はその日の朝妻と酷い言い争いをし、気分がふさいでいた。もういっそ別れてしまおうと自分の持ち物をすべて家に残し、書置きをして最後の仕事に出かける。衣装に着替え、大砲の音に耐えるために耳栓をし、もうここには戻るまいと彼は心に決めて…

L・P・ハートリー「ポドロ島」

男性は友人の妻と無人島に遊びに行くことにする。船頭を雇い小舟で出かけた彼らは、島で子猫を見つける。こんなところに一匹でいるのはかわいそうだと連れ帰ろうとする友人の妻だが、なかなか猫を捕まえることができない。ついには「ここで飢え死にするくらいなら一息に殺してあげたほうが猫のためだ」と言い出し、真剣に猫の命を狙い始める。彼女は一人島に上陸し…

フランク・グルーバー「十三階」

探検家の男性は、僻地への探検準備のためデパートに蒸留器を買いに行く。方々探したが売っている店が見つからず、「ボナンザにないものは、どこにもない」というキャッチコピーのその店だけが頼みの綱だった。
エレベーターボーイに蒸留器を探していると伝えると、彼は十三階へと探検家を案内する。そのフロアではなぜか皆が禁酒法時代の話をしていて…

ロアルド・ダール「お願い」

少年は家の中で一人遊びをしていた。カーペットの赤い部分は溶岩、黒いところは毒蛇、黄色いところだけが安全地帯。そう見立てて廊下の端まで渡り切ろうとする少年は…

ジェイムズ・レイヴァー「だれかが呼んだ」

ある屋敷に招かれた人々。家主が「この家には幽霊が出る」と言い出した。古くてよい家の、それも一番いい部屋に幽霊が出るのは別段不思議なことではないという。しかしその部屋に泊まっている女性は怖がりで…

ローズマリー・ティンパリ「ハリー」

子供のできない夫婦は女の子を養子にとった。もうすぐ小学校へ通い始める年齢の女の子は、誰もいないはずの庭に「ハリー」というお兄ちゃんがいるという。想像上の友達を作り出すのは自然なことだといわれても、養母は不安感をぬぐえないでいる。

 全体感想

悲しい話が多いです。「恐怖と性は切り離せない」と書かれた文章を読んだことがある(レベッカ・ポールソンのお告げ―13の恐怖とエロスの物語 )けれど、私はそうは思わない。

本当に恐怖と切り離せないのは「悲しみ」ではないかなぁ。

 

エドガー・アラン・ポー原作「こまっちゃった」は翻案と書いてあるので嫌な予感がしていたが、本当に酷い文だった。「とってもス・テ・キ」だの「だれにもナ・イ・ショ」だのいってんじゃねぇよ!時代錯誤のネカマがぶりっこしてる。気持ち悪い。
しかしなぜ翻案したかがあとがきによると「原作がつまらないから」であって、これよりさらにダメかと思うと原作読む気もしない…

ローズマリー・ティンパリの「ハリー」が一番つらいなぁと思う。こんなことが起きたら耐えられない。

レノックス・ロビンスンの「顔」、どこかで読んだ気がする。こんなSFあったよね?タイトルが思い出せない。

ロアルド・ダールの「お願い」は再読なのだけれど、すごくハラハラしてしまう。描き方がうまいので、つい引き込まれて緊張しながら読んでしまうのだ。

L・P・ハートリー「ポドロ島」が一番怖いかもしれない。優しい奥さんが豹変するところ、もともとこういう性格なのか島の影響のせいなのか。ちょっとご都合主義なところがあり、作者も自覚しているのか言い訳がましいことを言ってはいるが、まぁ許せる程度。

面白い話は多かったけど、1つ目の翻案が本当にダメ。つまらないならこねくり回さずに潔く切り捨てればいいのに。